未発表カット満載! 岩合光昭の『あのネコに会いたい』見どころととっておき裏話

カバーボーイは映画『ねことじいちゃん』『夏への扉 -キミのいる未来へ-』などの名演で名高いベーコン君(辰巳出版提供)

 世界各地の名物猫を追いかけた人気番組『岩合光昭の世界ネコ歩き』(NHK BSプレミアム)や、雑誌『猫びより』(辰巳出版)中の連載が人気の動物写真家、岩合光昭(いわごうみつあき)氏による最新写真集『あのネコに会いたい』(辰巳出版)が、8月30日に発売された。今回は、写真集の企画・編集に携わった辰巳出版株式会社『猫びより』編集部の斎藤実さんに、制作の裏話や見どころを伺った。

猫たちのドラマに焦点

――今回の企画はどのような経緯で生まれたのでしょうか?

 岩合さんが出されている猫写真集の中で、猫たち1匹1匹のキャラクターやドラマに焦点をあてた『岩合さんの好きなネコ』(辰巳出版)という写真集があるんです。それが国内の猫たちを集めたものだったので、「今度は“世界選抜”をやってみませんか?」と私の方からお声がけしました。

――制作の流れやこだわった点を教えてください。

 岩合さんは最近あまり海外の猫がメインの写真集を出していらっしゃらなかったので、私の方からは2点提案させていただきました。ひとつは「海外の猫たちを多めにしたい」ということ、もうひとつは「近年撮影した目新しいメンバー(猫)を多めに構成したい」、ということです。

 岩合さんがこの方向性を了承してくださったので、まずは私の方で膨大な猫写真のストックから条件に合う猫たちを探して原案を作り、それをもとに岩合さんと話し合ってブラッシュアップしていく、という方法で編集しています。

 構成の際に気をつけていたのは、単調にならないようにいろんなタイプの猫を入れることですね。岩合さんは、顔が大きくて体格のいい、オス猫が大好きなんです(笑)しかもなぜか柄は茶白が多い。そういう子を魅力的に撮られるからこそ、そのまま選んでいるといかにもボス然とした立派な茶白のオス猫だらけになってしまいます。ですからできるだけいろいろなタイプの猫を見ていただけるよう、前後の流れを意識しながら登場順を考えていますね。

スイス・アルプスを弟のジェリーとともに駆け巡るトム(岩合光昭撮影、辰巳出版提供)

――掲載されている約30匹の猫たちは、どのような基準で選ばれたのですか?

 ひとつの基準となったのは、『猫びより』の読者や岩合さんのファンの方から「あの猫どうなった?」「あの猫がまた見たい」というお問い合わせが多かった子ですね。もうひとつは、岩合さんの思い入れのある子たちです。

 タイトルの通り、「読者のみなさんや岩合さんが会いたい、有名猫たち」が勢ぞろいした内容になったと思います。

お気に入りの「ベーコン君」

――岩合さんが特に思い入れを持っていらっしゃる猫を教えてください。

 もちろんどの子もそれぞれに思い入れがあると思うのですが、表紙に起用された俳優猫の「ベーコン君」(※岩合さんが監督された映画、「ねことじいちゃん」で主演を務めた)には並々ならぬ思い入れを持っていらっしゃいましたね。

 まず、今回の企画が決定した時に真っ先に決まったことが、最初はベーコン君で始まって、最後は岩合さんの愛猫の「玉三郎と智太郎」で終わる、ということだったんです。自身の飼い猫と並ぶくらい岩合さんにとってベーコン君は大切な猫なので、ほぼ暗黙の了解で表紙もベーコン君になりました。

――ベーコン君の写真に関するエピソードがあれば教えてください。

 表紙の写真は、最初に提案したレイアウトではもう少し引きでトリミングをしていたんです。それは、もともとの写真の構図を生かして左側の景色を多く取ることで余韻を感じさせたい、という私なりの意図があってのことだったのですが、岩合さんが見たときに、「ベーコン君の顔をもっと大きくして」と修整が入ったんです(笑)

 結果としてベーコン君の顔を大きくした現在の形になったのですが、できあがったものを見たときに「岩合さんはベーコン君の顔のインパクトを生かしたかったのだな」、と納得しました。

 写真の良さが伝わるのは最初のレイアウトだと思うけれど、岩合さんはそんなことよりもベーコン君の顔を見てほしかったんですね。岩合さんほど、ベーコンくんの顔をまじまじと見てきた人はいないので、“ベーコン君の顔で成立する”ということをわかっていらしたんだと思います。きっと心の底からほれ込んでるんですよ。

生の魅力、生き生きと

――編集を担当した斎藤さんから見て、岩合さんの撮る猫の魅力とは? 

 やはり、その瞬間、瞬間の生の輝きを切り取られてるところではないでしょうか。岩合さんは動物写真家なので、アフリカなどで野生動物の死も含めて厳しい弱肉強食の世界を撮影されることもあるのですが、猫に関してはのびのびと生きる姿を見せたいという強い思いを感じます。

 実は今回掲載した猫の中にはすでに亡くなっている猫もいるのですが、岩合さんは本文中であえてそのことに触れていません。また、岩合さんと話をしていた時、現在の世界情勢に非常に心を痛めていらっしゃるように感じたので、私のアイデアで終盤の構成に“ある展開”を取り入れたのですが、岩合さんはこの部分に関しても文中では全く触れていなかったんです。

 ここに時事性やメッセージ性、岩合さんの思いを感じてくれる人がいるのはいいんです。でも、主役はあくまでも猫なんです。「自分の写真集では猫の輝いている姿を見てほしい」という、岩合さんのプライドを感じましたね。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ内戦の激戦地、モスタルの猫。猫が安心して暮らせるほど平和になった街の景色も見どころ(岩合光昭撮影、辰巳出版提供)

――本書全体の見どころを教えてください。

 今回集めた猫たちはもともとファンの多い有名な猫ばかりなんです。中には印刷物としては初登場の猫もいますし、これまで岩合さんの写真集に登場してきた子の写真も、未発表カットをたくさん入れて構成されています。

 例えば、『岩合光昭の世界ネコ歩き』(NHK BSプレミアム)のファンの方であればご存じの「シキンニョとキイロ」や「義経」も、他の本では見られないカットが掲載されています。アイルランドの「ボディシャス」も、単独で本にもなっている有名猫ですね。

 また、表紙を始めベーコン君や愛猫の玉三郎と智太郎に関しては新たに撮り下ろしたカットも見られます。推し猫がいる方はぜひ見ていただきたいですし、いない方も魅力的な猫たちの中から推しを見つけて楽しんでいただけると思います。

京都府南丹市美山町の有名猫・義経と子猫たち(岩合光昭撮影、辰巳出版提供)

NFT版特典も必見

――制作中に印象的だった裏話があれば教えてください。

 実は、岩合さんの愛猫の玉三郎と智太郎のページはもともと、私好みのワイルドなカットが多めの構成だったんです。けれど岩合さんから「かわいい写真にしよう」というご提案をいただき、セレクトが大きく変わりました。「たくさんの猫を撮影している岩合さんでも、あの2匹のことは特別にかわいく見せたいのだな」と意外に感じたと同時に、2匹への親心が伝わった瞬間でしたね(笑)

――今回、通常版とともに部数限定の「NFTデジタル特典付特装版」が発売されるそうですが、2つの違いを教えてください。

 特装版は通常版よりも300円高く、「NFTデジタル特典」がついています。これは動物写真集では初めての試みで、特典カードのQRコードをスマートフォンやタブレットで読み取り16桁のコードを入力することでミニ写真集が見られます。

 今回は、ベーコン君の未発表カットを集めた『蔵出しベーコン 元気いっぱい』と、玉三郎と智太郎の撮り下ろしカット、『玉三郎&智太郎の休日』のいずれかがランダムで当たる仕組みになっているので、どちらが当たるのか楽しみにしていただければと思います。

デジタル・ミニ写真集のパッケージ(ボックス)(辰巳出版提供)

――Sippoの読者の方にメッセージをお願いします。

 猫好きの方も岩合さんのファンの方も、みなさんが買ってよかったと思っていただける内容になったと思いますので、ぜひご覧ください!

あのネコに会いたい NFTデジタル特典付特装版
著者:岩合光昭
発行:辰巳出版
単行本:128ページ
本体価格:2,200円(税込み)
(画像、書名をクリックするとAmazonにとびます)
原田さつき
広告制作会社でコピーライターとして勤務したのち、フリーランスライターに。SEO記事や取材記事、コピーライティング案件など幅広く活動。動物好きの家庭で育ち、これまで2匹の犬、5匹の猫と暮らした。1児と保護猫の母。猫のための家を建てるのが夢。

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