油断しないで!猫の目やにには要注意 その原因と対処法を紹介【獣医師監修】
猫の目に、何かついているな、ぬれているなと感じたことはありませんか?それは、目やにです。
猫の目やにの原因はさまざまです。自己判断で対処せず、正しい知識を身につけておくことが大切です。猫の目やにの原因と、正しい対処法をご紹介します。
猫の目やにの原因とは?
猫の目やにには、2種類あるといわれています。ひとつは、猫の生理現象で作り出される分泌液です。分泌液で作り出される目やには、瞬きするときにでる涙で目の外へと押し流されます。
もうひとつは、病気でできる目やにです。ウイルス感染やアレルギーによって起こります。大量の目やにが出るときは、目の不調や何らかの病気が疑われます。猫の目をチェックして、不調を取り除いてあげることが大切です。
猫の目やににはこんな病気が隠されているかも?
猫の目やにに隠れているかもしれない病気には、このようなものがあります。
結膜炎
結膜とは、まぶたの裏側の粘膜のことです。ウイルス感染、アレルギーなどによって結膜炎になると、 涙ができにくくなったり、多くなったりして目やにが出ると考えられます。
結膜炎の場合、黄色い目やにが多く出たり、目のかゆみ、結膜が赤く腫れたりするといった特徴があります。
角膜炎
角膜は、黒目の上にある透明な薄い膜のことです。角膜炎は、目に異物が入ってかゆくてこする、けがをするなど、なんらかの原因で目の中を傷つけてしまうことで起こります。また、猫ヘルペスウイルスによる感染でも角膜炎になることがあるので、注意が必要です。
角膜炎の場合、目を痛がります。また、目やにがたまり、目を全開にできません。目をしょぼしょぼしたり半開きの状態になったりすることもあります。
猫風邪
猫風邪はウイルスや細菌の感染によってかかり、黄色い目やに、くしゃみ、鼻水、せきなどの症状が現れます。しかし感染していても症状が出ないこともありますし、潜伏期間を経て2~10日後に症状が出ることもあります。再発することもあるので、症状が治まっても経過観察が大切です。
飼い猫でも外に出て猫風邪にかかっていた猫と接触したり、飼い主が持ち込んだウイルスなどからかかったりすることがあります。飼い主さんは、自宅の外で猫を触ったら、飼い猫か野良猫かを問わず、必ず手洗いをしましょう。愛猫の猫風邪を予防できます。
感染症(ヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジア)
・猫ヘルペスウイルス
鼻炎、結膜炎による黄色い目やに、くしゃみや鼻水、せきや呼吸困難などの症状がみられます。結膜炎により目やにが増加し、涙の量も増えます。
・猫カリシウイルス
生まれたての子猫や体力のない猫に発症しやすいといわれています。カリシウイルスで特徴的なよだれを伴った口内炎や、くしゃみ・鼻水といった症状が起こります。生後2~3カ月の免疫力の低い子猫が発症し肺炎を起こすと、命の危機にかかわります。
・猫クラミジア
鼻炎、結膜炎などの症状の原因となる細菌です。
猫ヘルペスウイルスと猫カリシウイルスは、命に関わりませんが完治はしません。体内に潜伏し、体力が奪われたときに再発します。この二つのウイルスは、混合ワクチンの接種で予防できます。
目やにをチェックしよう
猫の目やにには色があります。目やにの色で病気と判断できる場合もあるのでチェックしてみてください。
色は茶色、赤、白、黒、緑、黄
生理現象からくる目やにの色には、ミルク色または茶色、赤茶です。
注意するべき目やには、粘り気のある、黄や緑色の目やにです。このような目やには、ウイルスや細菌感染が原因です。乾燥すると黒く変色する場合もあるので、日々のこまめなチェックを欠かさないようにしましょう。
猫の目やにを取る方法
目やにを取るときにはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか?猫の目元はとてもデリケートな部分です。細心の注意を払って取りましょう。
目やに自体を取ってあげる
ガーゼを人肌くらいの温度でぬらし、目元を傷つけないように優しくふき取ります。炎症があって痛がり、嫌がる子もいるのでできるだけ目元を傷つけないよう、注意しましょう。怖がったり、嫌がったりするときは、無理強いは禁物です。猫の背後から目やにをとってあげると、比較的スムーズにできます。
どうしても目やにが取れないときは、2人で行いましょう。1人が猫を抱っこして、もう1人がガーゼで優しくふき取ります。前脚と後ろ脚を持って抱っこすると、ひっかかれません。
目を傷つけないように顔周りを保護する
目やにが出続ける時には、なめたりひっかいたりして悪化するといけないので、エリザベスカラーをつけることをおすすめします。
「おかしい」と思ったら受診を
猫の目やには、さまざまな理由で出てきます。大量の目やにが出ている、色がおかしいと思ったら、かかりつけの動物病院を受診しましょう。
自宅でできる猫の目やにケアが分かる
目やにが気になって病院へ連れていったら、結膜炎と診断された――。病院に連れていくべき目やにの色や量、注意すべきポイントが分かります。ほんの少しの知識があれば、大切な猫の異変に気づけます。
- この記事の監修者:石村拓也獣医師
東京農工大学農学部獣医学科卒業。横浜市内の動物病院などを経て、2017年3月にシリウス犬猫病院開院。川崎市獣医師会、日本獣医皮膚科学会、耳研究会、日本獣医輸血研究会所属。
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