「デブ猫ちゃん」、愛媛を大冒険 人気作家が絵本原作

絵本を持つ早見和真さん=松山市
絵本を持つ早見和真さん=松山市

 ぽっちゃりした猫が愛媛県内を旅する創作童話絵本「かなしきデブ猫ちゃん」が人気を集めている。ふてぶてしくも愛らしい猫の冒険記。3月下旬の発売から約1カ月半で売り上げは累計2500部を突破し、女性誌でも取り上げられた。

 グレーと白の毛並みにクールな性格。物語の主人公は、松山市に住む一家の飼い猫「マル」だ。

 ある日、とあることからふてくされて家出。松山市から四国中央市、今治市、宇和島市へと大冒険が始まる。砥部町では県立とべ動物園の人気者、ホッキョクグマの「ピース」と泳ぐシーンも。しまなみ海道や道後温泉本館など、マルが旅する各地の風景がアクリル絵の具で鮮やかに描かれている。

 文は松山市在住の小説家早見和真さん(41)、絵は今治市出身の絵本作家かのうかりんさん(35)が担当した。

 横浜市出身の早見さんは2008年、高校野球の経験をもとに書いた「ひゃくはち」でデビューし、15年に「イノセント・デイズ」で第68回日本推理作家協会賞を受賞。翌16年、当時住んでいた静岡県河津町から心機一転、松山市に移り住んだ。

「文学のまち」松山に引っ越してきて、小説家として何ができるか考え、「愛媛の人が幼いころから物語に親しみ、文学の薫りが漂う町づくりのきっかけを作りたい」と思い至った。自身の飼い猫を眺めつつ、「将来の愛媛の成人式で新成人全員が知っている物語」を絵本で表現しようと決めた。

「知られざる愛媛を教えてください」。東予や南予へ足を運び、材料を集め、構想を練った。知り合いだった愛媛新聞社の社員を通じてかのうさんと出会い、昨年4月から愛媛新聞で連載をスタート。32回の連載が同年11月に終了し、連載を加筆・修正して今年3月25日、刊行した。

「物語を通して他人を想像できる人が育つ町は将来強くなる。愛媛の人たちにはこれが自分たちの物語だと思ってもらいたい」。早見さんは期待を込める。

松山市内で開催された原画展で作品を紹介するかのうかりんさん=松山市
松山市内で開催された原画展で作品を紹介するかのうかりんさん=松山市

 かのうさんは絵本プロジェクトが始まった直後、夫の転勤に伴い、米ロサンゼルスへ。慣れない異国の地でも連載に合わせて絵を描き続けた。出身の東予はよく知っているが、南予にはなじみがなく、一時帰国の際に早見さんの取材に同行した。「改めて愛媛には良い場所がある」と気づかされ、思いを絵に込めた。

 ロスで開いた原画展では、作品を見た人から「今度愛媛に旅行に行くよ」と言ってもらった。「描いた場所が『私の地元』と紹介でき、貴重な経験になった」と笑顔を見せる。

 愛媛新聞社刊。税抜き1800円。県内の書店を中心に取り扱っている。
(寺田実穂子)

朝日新聞
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