木彫りの動物たち、星空を見つめる はしもとみお展

動物肖像彫刻家のはしもとみおさんと、宇宙旅行を初めてした犬「クドリャフカ」の彫刻。壁はクドリャフカが宇宙旅行に出発した1957年11月3日の星空を再現した=三重県四日市市安島1丁目の市立博物館
動物肖像彫刻家のはしもとみおさんと、宇宙旅行を初めてした犬「クドリャフカ」の彫刻。壁はクドリャフカが宇宙旅行に出発した1957年11月3日の星空を再現した=三重県四日市市安島1丁目の市立博物館

 今にも動き出しそうなリアルな動物の彫刻作品を作り続ける動物肖像彫刻家、はしもとみおさん(39)=三重県いなべ市=の特別展「星をみつめるどうぶつたち はしもとみおの世界展」(四日市市立博物館、朝日新聞社主催)が20日、四日市市立博物館(三重県四日市市安島1丁目)で開幕した。県内での大規模な展覧会は初めて。はしもとさんは「三重の自然豊かな空気を感じ取ってもらえたらうれしい」と話す。

 テーマは「宇宙」。はしもとさんは同博物館に併設するプラネタリウムのファンで、「動物たちが星空を見つめるような展覧会にしたい」と着想したという。彫刻490点、モデルとなった動物のスケッチ136枚を展示する。

 新作のメインは、1957年に人類より前に動物で初めて宇宙旅行をした旧ソ連の犬「クドリャフカ」。宇宙船は地球に帰還せず、宇宙で生命を全うした。その犬が地球に、四日市に帰って来たというストーリーだ。作品には触れることもでき、はしもとさんは「頭をなでてお帰りと言って」と話す。

 15歳の時、兵庫県尼崎市の自宅で経験した阪神・淡路大震災がきっかけになり、彫刻の道に進んだ。毎朝、通学路であいさつしていた犬や猫が一瞬にして周りから姿を消した。「私の記憶にあるうちに可愛い子たちを残したい」と絵にたくさん描き残した。獣医師を目指していたが、「医学では失った命は取り戻せないが、美術は再現できる」と感じるようになった。

 独自の作風は人気を集め、「長期入院する妻にプレゼントしたい」「嫁に行く娘に渡したい」などと制作の依頼が舞い込む。あるときは、アラブ首長国連邦から依頼があり、航空券が送られてきて現地に1カ月滞在した。飼い犬や猫、ガゼルなどの作品を約50体制作したという。

 いなべ市に移り住んだのは6年前。友人の紹介だった。なじみのない土地だったが、居心地が良く、彫刻の材料のクスノキが取れる。夢だった「地産地消」の制作ができ、一生住み続けたいと考えている。

 展覧会は6月2日まで(一般千円、高校大学生800円、中学生以下無料、月曜休館(祝日の場合は翌平日))。問い合わせは同博物館(059・355・2700)へ。
(大津正一)

朝日新聞
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