奄美のノネコ捕獲数、8カ月で38匹 目標を大きく下回る

国の天然記念物ケナガネズミをくわえる奄美大島の猫=環境省奄美自然保護官事務所提供
国の天然記念物ケナガネズミをくわえる奄美大島の猫=環境省奄美自然保護官事務所提供

 奄美大島で希少動物を襲う野生化した猫(ノネコ)の捕獲数が、捕獲が始まった昨夏から8カ月で計38匹にとどまり、目標の月間約30匹を大きく下回った。捕獲の対象地域に相当数のノネコがいるのは撮影データから確認できており、事業主体の環境省は「想定よりも捕獲が難しかった。エサやワナの工夫を行い、捕獲の効率を上げていきたい」としている。

 6日に鹿児島県奄美市であった捕獲状況などの検討会で報告された。捕獲は同省と県、島内5市町村が共同で策定した管理計画に基づき、昨年7月に開始。当初は1地域(16平方キロ)に約100基の生け捕り用のワナを置き、2カ月ほどで次の地域に移っていく予定だった。

 だが8月に11匹を捕らえた以外は毎月1桁の捕獲数にとどまり、周辺に設置した自動撮影カメラにはノネコが映る状況が続いたため、同じ地域での捕獲を継続。今年1月から作業員を1人増やして計4人としたうえで、新たな1地域を加えた計2地域を対象にした。

 あわせて、ノネコの目撃情報があった地点にワナを置く「ピンポイント捕獲」も続けている。捕獲した38匹のうち36匹は、責任を持って飼ってくれると確認できた個人や団体に譲渡され、残る2匹も引き取り手との面会を待つ状態という。

 同省によると、島の森林部にいるノネコの推定生息数は600~1200匹、推定密度は1平方キロあたり約1~2匹で、捕獲対象の1地域には20~30匹ほどがいると想定されている。

 最初の対象地域では実際に20匹以上が捕獲されており、検討会の座長で東京女子大の石井信夫教授(保全生態学)は「捕獲効率に課題はあるが、推定通りにノネコがいることが分かったのは一つの成果だ」と話した。

(外尾誠)

朝日新聞
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