犬猫の殺処分、5年で8割減 法改正・譲渡取り組み、効果
栃木県内で殺処分された犬猫の数が、この5年間で8割減ったことが県のまとめでわかった=表。飼い主が自治体に安易に犬猫を持ち込むのを防ぐ法律改正や、自治体が引き取った犬猫を動物愛護団体がしつけて個人に譲渡する仕組みが整ったことが背景にある。
■栃木県・宇都宮市による犬猫の引き取りと殺処分の数(県集計)
年度 2012 2017
引き取り数(頭) 3268 1559
殺処分数(頭) 2593 486
殺処分率 79.3% 31.2%
栃木県動物愛護指導センター(宇都宮市)では、飼い主から逃げ出したり、飼い主の都合で飼えなくなったりした犬猫を引き取っている。中核市の宇都宮市では市保健所が同じ役割を担う。
県によると、県内で2017年度に自治体が引き取った犬猫は1559頭。5年前の12年度と比べて半減した。
その理由として、13年9月の改正動物愛護法の施行が挙げられる。改正法は、自治体に引き取った動物の返還や譲渡に努める義務を定めた。これにより、自治体は犬猫を持ち込む飼い主に対し、引き取りをせず飼育を続けるよう説得しやすくなった。
センターでは現在、飼い主が長期入院をしたり、介護状況が深刻だったりする場合などにのみ、やむを得ず引き取るようにしている。飼い主による持ち込み数は、5年前より約40頭減ったという。
引き取った犬猫については、飼い主や新たな譲渡先が見つからない場合は殺処分されるが、その数と割合についても5年間で大きく減った。県内で17年度に殺処分された犬猫は486頭で12年度の約2割。17年度の殺処分率は31.2%で、79.3%から急減した。
センターの場合、譲渡を進める二つの取り組みが奏功した。まず、12年1月から始まった「団体譲渡事業」。引き取った犬猫を、県内11の動物愛護団体の要望に応じていったん引き渡した上で、個人に譲渡する仕組みだ。愛護団体は犬猫が人間になつくようにしつけるため、譲渡がスムーズに進むという。また、センターは15年12月から、引き取った犬猫の飼い主をホームページで募る期間を4日間から9日間に延長した。
県全体で犬猫の譲渡率は12年度に13.3%だったが、17年度は62.4%に上昇。飼い主を失った犬猫がより長く生き延びられるようになった。センターの永峯晃夫・愛護管理課長は「愛護団体の協力も得ながら『殺処分ゼロ』を目指したい」と話す。(池田拓哉)
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