「モフモフ」は犬や猫への愛情! 共感を呼んで広まった表現
犬や猫、ウサギ、アルパカ……。動物の豊かな毛並みの様子を、「モフモフしている」と表現しているのを見たことがありませんか? 毛足の長い動物をなでることを「モフる」、動物そのものをさして「モフモフ」と呼ぶこともあるようです。
いかにも柔らかそうな雰囲気のあるこのことば、書籍の国語辞典にはまだ見当たりません。一方で、NHKでは動物番組のタイトルとして使われたり、SNSでは動物の写真に添えられていたりと、何かと目にする機会が増えています。
ことばが人に与える印象について研究する電気通信大教授の坂本真樹さん(認知科学)によると、モフモフが使われるようになったのは2000年代に入ってから。10年あまりであっという間に広がったそうです。「音の響きそのものが、それまで使われることの多かった『フワフワ』や『フサフサ』よりも優しく、あたたかいのが特徴。柔らかさを表すだけではなく、対象への愛情をこめて使われることが多いのでは」
モフモフやフワフワなど、物事の様子を表す擬態語や、動物の鳴き声などをさす擬音語を「オノマトペ」といいます。国語学者の中村明さんの「語感の辞典」によると「通常、擬声語と擬態語との総称」で、「物事を感覚的にとらえるオノマトペの豊富なことが日本語の語彙(ごい)の特徴の一つ」とされます。
モフモフのような新しいオノマトペが作られる背景には、既存のことばでは言い表せない、自分が感じているままの感覚を相手に伝えたいという、ことばの使い手の強い思いがある、と坂本さん。
「新しい表現が受け手の『そうそう。まさにそんな感じ』という共感を生むと、たくさんの人が使うようになる」。モフモフは動物の毛という具体的な手触りのあるイメージと結びついたことで、共感が生まれやすくなったのではと指摘します。(市原俊介)
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