路地の「四つ子猫ちゃん」 そっと見守るギリシャのおばあちゃん
ヤーサス!
今日は、近所の四つ子の子猫ちゃんの、この上なくラブリーな成長っぷりをお送りします。
(末尾に写真特集があります)
これまで紹介してきたタヴァーンでのおねだり猫や、ショッピングストリートでの首輪のついた子猫たちと同じように、私の住んでいる路地にも地域猫がいます。中でも住民に大人気なのは、この夏生まれた四つ子ちゃんたち!
黒・茶トラ・灰トラ・白地に黒ぶちと、それぞれに個性がはっきりしているのもあって、おばあちゃんの多いこの路地、可愛いアイドルたちで話題もちきりです。
性格はそれぞれ。
黒ちゃんは勇敢だけど、自分から他の猫や人間に寄っていくことは少なく、何となく自分の世界を持っている感じ。単独行動多め。
茶トラちゃんは人なつこくて、冷静。
灰トラちゃんはとにかく怖がり! 毎日エサをくれるおばちゃんがエサを持って呼んでも、一定の距離を保ちます。
黒ぶちちゃんは怖がりでちょっと攻撃的。猫じゃらしで遊ぶのは好きだけど、ちょっと触ろうとすると飛び上がって驚き、引っかいてから逃げようとします。
私はエサをあげる訳ではないのですが、不思議と黒ぶちちゃん以外がなついてくれて、毎日のように鼻チューであいさつの後、「おひざで好きなだけ、なでると良いよ!」と乗ってきてくれます。うれしい。猫がなついてくれたことで、ご近所の皆さんとのコミュニケーションも増えました。
そんな4匹について、住民は「黒ちゃんは他の子より小さいけど元気ね」「最近グレーのが怖がりになってきた」「そろそろ一度、病院に連れていこうね」などなど、日々話題に上げつつ、みんなで温かく見守っています。
エサやりや予防接種、去勢手術などは「今日は誰が当番」といったはっきりした取り決めはないものの、飼い主のいない猫が増えない工夫を、できる範囲でしています。
エサは大抵、味をつける前の鶏肉や魚、キャットフードです。短い路地の数カ所に、水とエサのセットがあります。
田舎のおばあちゃんたちのすることなので、初めは時々、エサ場で「ありゃ…このパスタ、玉ねぎとか入ってないかな?大丈夫?」など、おやっと思うこともありました。でも、ここの方々の毎日の生活を見て、彼女たちにやみくもに注文をつけるのは控えよう、と思うようになりました。
この島には犬のシェルターはあっても、猫に関する活動へのサポートはありません。そんな中、足が悪く、持病もある、普段の買い物もスーパーの注文販売などに頼るおばあちゃんが毎朝エサをあげ続け、多くない年金の中から予防接種のお金などを出しているのはすばらしいこと。できる範囲のことを自然体で行い、地域の猫を見守っているのです。
日本やペット先進国とは文化や価値観、そして経済状況の大きな違いがあるかもしれません。
ギリシャでは、つつましく生活するので精いっぱいな人が日本よりたくさんいますし、人間自身の生き方も「できる限り、あるがままに」、あまり医療に頼らないのです。動物への接し方などは、その感覚から来るものかもしれないな…と感じる所があります。
それでも、「ここら辺の野良猫…地域猫はずいぶん減ったんだよ。完璧にとはいかないけど、長い時間かけてできるだけ病院に連れていってね」と、おばあちゃんは話を聞かせてくれました。ここに住む限り、私も猫たちの病院にかかるお金などを寄付していくつもりです。
彼らにとって猫は「ともに生きるもの」に見えます。
愛玩動物という感じではなく、まるで人と同じように接しているのです。いつも猫たちが狩りをしてくれるから、ネズミやサソリ、害虫がほぼ出ないことに感謝しています。そしてギブ・アンド・テイク、エサや必要な処置をする。
「いつもありがとうね、食べられる分だけ食べたら良い、生きられる分だけ生きたら良い。私たちと同じだよ。そして、私たちもあなた達のことを手伝える分だけ手伝うよ」。そんな姿勢を感じます。
黒ちゃんはある日、突然いなくなってしまって、「オスだったから強い成猫にやられちゃったのかな」とうわさになっているし、茶トラちゃんは人なつこさが好かれてか、近くのお宅の室内飼いの猫になったようです。最近は他の成猫たちと一緒に、お母さん猫と2匹の子猫たちを見るだけになり、少し寂しいけれど、これが自然なことなのだろうなとも思います。これからも彼らの成長を見られるのが楽しみです。
私の住む島の、他の地域にある個人運営の猫シェルターなどについては、またインタビューを重ねてから書く予定です。
それではまた。タレメ・シントマ(また会いましょう)!
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