猫の投薬、「お手」も簡単?! 科学的なトレーニング
トレーニングは、犬にはできるが猫には難しそう。しかも若い猫でないと無理なのでは?そんな常識(思い込み)をくつがえし、科学的に、楽しく、猫とトレーニングができるようになる遊び(レシピ)がある。そのヒントやアイデア満載の本「猫との暮らしが変わる遊びのレシピ」(誠文堂新光社)が4月に発売された。
著者は、キャットインストラクターで、猫とのコミュニケーションや健康管理、生活の質の向上やストレスの軽減を目的にしたトレーニングなどを提唱する教室「Happy Cat」主宰の坂崎清歌さんと、動物の行動コンサルタントの青木愛弓さん。
内容は、〈猫と遊ぶための準備編〉〈猫との絆を強くする小さなふれあい編〉〈猫の心と体を健康にする小さなエクササイズ編〉〈猫と過ごすゆったりタイムのお楽しみ編〉など7章に分かれ、レシピも「ハイタッチ」「お手を拝借」「名前を好きになる」というお楽しみものから、「来客に慣れてもらう」「身につけるものに慣らす「キャリーバッグに入る」というお役立ちものまで28項目。さらに〈震災時のチェックリスト〉を含めた実践的ミニレクチャーも11項目が織り込まれている。
坂崎さんの愛猫が最初にしたレシピは「ハイタッチ」だったという。文字通り、これは空中で飼い主の手と猫の前足を合わせる遊び。一日の始まりにそんな挨拶ができれば気分もハイになる!「お手を拝借」は、ハイタッチよりも低い位置で、飼い主の手に前足を乗せる「お手」。これをするうちに、肉球をモミモミされるのも好きになってくれそうだ。
たとえば「名前を好きになる」というレシピは、自分の名を呼ばれると(音で認識して)猫が嬉しくなる遊び。名前と、猫にとってよいことを結びつけことが大切だという。家にきて慣れていない猫であれば、①手におやつを3~5粒握り、はっきり一度名を呼ぶ。②猫にゆっくり近づく ③斜めの位置から視線を外しておやつを猫の前に置く。(名前を呼んでおやつを置くことを繰り返し)最後のおやつを置いたら立ち去る、というもの。
これについて坂崎さんは、こうアドバイスする。
「(名前の遊びでは)猫に何かを求めるのでなく、いつも一緒にいてくれてありがとうという気持ちを込めて、名前を呼んで大好きなおやつをあげましょう」
本書では、ほとんどのレシピで、「クリッカー」といわれるカチッと音の出る道具(ペットショップなど500円ほどで買える)、ターゲット棒(割り箸やマドラーも可)、おやつ(ごほうび)を使う。まずは「ウチの子の大好きな食べ物」を探すことから準備したい。おやつで、猫に「正解!」と伝えるため、クリッカーの音を好きになってもらえるように、おやつとクリッカー音を結びつける作業が何より大切になる。
本の中に、坂崎さんの愛猫「だいきち」が、腕に抱かれながら上手に錠剤を飲む写真があるのだが、そのすぐ横で、同居猫「にゃんまる」が、遊びを待つかのように“投薬の準備”を待っている。病気のケアに苦労する飼い主にとって、目を疑う(羨ましい)光景だ。
猫とのゲームは、一瞬にしてマスターできるものではないだろうが、飼い主が「ウチは無理かも」という概念をはずしてみることが、まずは第一歩なのかもしれない。
(藤村かおり)
定価:本体1400円+税
出版社:誠文堂新光社
著者:坂崎清歌・青木愛弓
オールカラー
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