ペット保険、3年で契約数1.5倍 犬猫の高額医療に備え
ペットの病気やけがに備える「ペット保険」への加入が増えている。人口減で飼育数は減っているが、医療技術が進んで高額な治療費がかかるケースが増えているためだ。市場拡大で損害保険大手も力を入れるが、一部で保険金を巡るトラブルも出ている。
「以前は『ペットにも保険があるんですね』と意外に思われることが多かったが、最近はめっきり減った」。ペット保険で大手のアニコム損害保険の営業担当者はそう話す。
ペットの治療は公的な保険制度がなく、飼い主の全額負担が原則。最近はCTなど高度な技術も広がり、治療費は増額傾向だ。アイペット損害保険によると、8歳のフレンチブルドッグのMRIを含む検査代が14万円を超える例もあった。
そうした費用をカバーするのがペット保険。富士経済によると、2016年末時点の契約件数は約123万件の見込みで、13年末の約1.5倍。17年末には135万件に伸びるとみられる。
犬や猫の飼育頭数は2千万頭ほど(ペットフード協会)で、保険加入の比率はまだ低いが、飼育頭数が減る中で、加入件数は伸び続けている。
保険は治療費の5~7割を補償するものが多い。アニコムでは、3歳のチワワに5割の補償をかける場合、保険料は月2510円。高齢の大型犬なら1万円を超えることもある。
ペット保険を扱うのは、損害保険会社のほか、保険金額と契約期間に制約がある保険を扱う少額短期保険会社で、新興企業が多い。最近はあいおいニッセイ同和損害保険やT&Dホールディングスといった大手も力を入れる。T&Dは、「まだ普及率は低く、今後も成長の余地がある」(広報)とみる。現在の市場は数百億円規模とみられるが、野村総合研究所は「2千億~3千億円規模まで拡大する可能性がある」(野崎洋之上級コンサルタント)と予測する。
市場拡大とともに、保険金の支払いを巡るトラブルも出てきた。国民生活センターによると、「保険金が支払われない」「ペットショップで無理やり加入させられた」といった相談が寄せられている。センターは「補償内容をよく確認して契約してほしい」と呼びかけている。
(河合達郎)
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