仮設住宅に残された猫たち 獣医師らが去勢・避妊手術

高瀬西石山原仮設住宅で暮らすネコたち=2月、宮城県山元町
高瀬西石山原仮設住宅で暮らすネコたち=2月、宮城県山元町

 宮城県山元町の高瀬西石山原(たかせにしいしやまはら)仮設住宅でネコが増えている問題を受け、仙台市宮城野区の獣医師、菅原康雄さん(69)が、ボランティアで去勢・避妊手術を始めた。繁殖を防ぎ、地域住民みんなに可愛がられる存在になればいい、と願っている。


 同住宅は被災者の退去が進む一方、餌付けなどでネコが居着き、行き場をなくしている。菅原さんはこの状況について取り上げた朝日新聞社会面の記事を読み、心を痛めた。


 ボランティアで被災地の仮設住宅を回り、飼われる動物たちの健康診断や狂犬病の予防接種をしてきた。「被災者の震災の傷を癒やしてきたネコが放っておかれている。繁殖を止めるのが獣医師の使命だと思った」。一緒に活動してきた蔵王町の県動物愛護推進員、小野恵さんとともに、ネコの面倒を見ている元自治会長の引地とも子さん(69)に手術を申し出た。

 

ボランティアで避妊・去勢手術をする菅原康雄さん
ボランティアで避妊・去勢手術をする菅原康雄さん

 今月10日に仮設を訪ねて確認できた生息数は、約40匹。小野さんが1回に3~4匹を捕獲し菅原さんの動物病院に連れて行き、手術をして戻す。これまで20匹の処置を済ませた。


 町には「餌代を援助したい」「ふるさと納税をするから対策を取ってほしい」といった問い合わせが相次ぎ、引地さんにも義援金が寄せられた。仮設は7月ごろには閉鎖される見通し。引地さんは「良い知恵を出していきたい」と話す。


(桑原紀彦)


<関連記事>

仮設住宅にネコ残されて エサやりに通う夫婦、「全員退去したら、どうすれば……」 東日本大震災6年

朝日新聞
朝日新聞社の媒体に掲載されたおすすめの記事を紹介しています。

sippoのおすすめ企画

sippoの投稿企画リニューアル! あなたとペットのストーリー教えてください

「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!

Follow Us!
編集部のイチオシ記事を、毎週金曜日に
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。


動物病院検索

全国に約9300ある動物病院の基礎データに加え、sippoの独自調査で回答があった約1400病院の診療実績、料金など詳細なデータを無料で検索・閲覧できます。