東京で犬を飼うなら… 動物と飼い主の「マッチング」を考える
前回のコラム から、“私が東京で犬を飼うなら”と、シミュレーションしています。前回は、東京都動物愛護相談センター主催の譲渡事前講習会を受け、譲渡対象者として登録されたので譲渡会に参加できることになりました(あくまでもシミュレーション上のお話です)。そして、譲渡会に参加!という段階で困ってしまいました。というのも、センターから譲渡を受けようと思っていましたが、東京都動物愛護相談センターでは団体への譲渡も行っているのです。そのため、“センターに保護された犬を飼う”と考えると、候補は47団体にものぼります。……私にとって最適な犬はどこにいるのでしょうか?そのような犬に出会えるのでしょうか……(ここでいう最適とは、いわゆる“飼い主と犬のマッチング”という意味で使っています)。
私は「保護動物の譲渡を普及させるにはどうしたらいいか」を考えるにあたり、これまで行政やボランティア団体の譲渡の取り組みについていろいろと調べてきました。実際に譲渡会を調査したり参加したり、自治体によって呼び方は異なりますが譲渡対象者になるために必要な講習会にも参加しました。一般的な市民の中では譲渡についての知識は豊富な方だと思います。そんな私も、実際に犬を飼うとなるとパニックです。
これまでに2匹の犬との出会いがありましたが、1匹目は小学校の帰りに拾ってきた犬ですし、2匹目は飼育放棄されるところを引き取った犬です。犬のぬいぐるみを本物の犬だと思って接するほど飼いたくて飼いたくて仕方がありませんが、自分のライフスタイルを考えたうえで飼わない選択をしています。そのため、能動的な選択においてはこれまでの経験は役に立ちません。
保護動物との出会いの場所は確かに増えました。そして、保護動物のことや、譲渡も徐々に普及してきました。これはとても良いことだと思いますが、一方で、選択肢が増えたことで新たな悩みも出てきます。そんな時、ふと仲介してくれる人がいれば……と考えました。例えば賃貸住宅の場合、仲介業者が存在し、「家を借りたい人」と「家を貸したい人」をつないでくれます。楽天市場を使えば、ほしい商品を簡単に探すことができます。まさに売り手と買い手をつないでいます。
アメリカに「Meet Your Match」というプログラムがあります。これは、「『その人に合った動物を探そう』というプログラムで、譲渡したい人たちの生活習慣や好みに適合したペットを飼うことによって、一度シェルターから引き取ったあともその絆を長続きさせることが目的です」(※田中、2008、p.55)。動物には個性があります。飼い主にも個性があります。したがって、マニュアル化が難しい部分はありますし、譲渡をする前にはトライアルや面会に行ったりと、相性を確かめる時間も必要でしょう。でも、その前の段階としてこのようなものがあれば、自分にとって最適な犬に出会える助けになるのでないでしょうか。
時間の経過とともに犬と飼い主は関係性を構築し、パートナーになるでしょう。飼う前からベストマッチは難しくてもマッチングは考える必要があります。マッチングを重視しなければ、“一目ぼれ”といった、衝動買い(飼い)と同じになってしまいますもんね。私も将来のパートナーに出会えるよう、しっかり勉強します!
※参考文献:田中亜紀(2008)「シェルターメディシン第10回 シェルターメディシンの行動学―猫の場合―」『mvm』17(108), 2008年9月号, pp.54-57
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