市民「保護を」「そのまま」 高崎駅・けがの猫、対応で両論
群馬県の高崎駅西口に住み着き、前脚に大けがをしている1匹の猫をめぐり、市民から様々な声が動物愛護のNPO法人に寄せられている。「早く保護して」「その場で穏やかに過ごさせて」――。NPOメンバーは戸惑いながらも、「治療のため」と理解を求める表示をして7月末から捕獲器を仕掛けている。
猫が時々姿を見せるのは、駅ビルと屋外2階通路の間で、コンクリートや金属で囲まれた場所だ。動物愛護のNPO法人群馬わんにゃんネットワーク(飯田有紀子理事長)は、JR東日本高崎支社の許可を得て二つの捕獲器を置いた。通路側には、「左手(前脚)のケガの治療のためネコを保護します」と表示した。仕掛けるのは5月下旬に続き2度目だ。
しかし、今月10日、1枚の貼り紙が表示パネルに貼りつけられていた。ネットワークに対し、「(猫が)あの場所で生きることは過酷ですが、強制的に保護しようとする行為により、恐怖心から外に出てこなくなることを一番心配しています」「今まで通り穏やかに過ごしていけるようご配慮いただきたい」などと捕獲器の設置をやめるよう求めている。
飯田理事長によると、猫は左前脚を骨折しており、途中から「ブラブラの状態」で神経も切れているとみている。「痛そうに見えなくても、感染症にかかって死ぬ可能性がある」として、「治療を優先し、その後、飼い主を捜すか、元の場所に戻すかは、猫の状態や性格を見て考えたい」と保護に理解を求める。
ネットワークに寄せられる多くは、「早く治療して助けて」「痩せてきて心配」という声だという。猫のけがが確認された今年5月以降、高崎市への情報を合わせると、保護を求める電話やメールは50件前後に上る。
猫が警戒して捕獲器に入る可能性が低いため、ネットワークは市や消防などに保護を要請しているが、いずれも慎重姿勢だ。
市の動物愛護センターは「けがで動けない場合や著しい衰弱が見られれば保護するが、猫は俊敏に動けている。現状は行政による保護の対象にはならない」との見解だ。(遠藤雄二)
(朝日新聞2015年8月22日掲載)
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