イヌ・ネコの健康医療相談

相談・獣医師回答・コメント

(質問主)


猫アイコン 猫 13歳 メス 雑種

体重:3.5kg

飼育歴:0年3ヶ月

居住地:北海道札幌市北区

飼育環境:室内

今年の五月に病院に連れて行った時に乳首付近にしこりがみつかり、七月にはリンパ付近にも小さなしこりが複数あり、おそらくガンだろうと言われました。実際に乳首も一個腫れ、たまーに乳液らしき透明な液も出る時があるので乳腺腫瘍もとい乳ガンだと覚悟しています。
手術にしても一回では済まない可能性があり、寿命が長くなるとは限らないと言われ、高齢なのでしない方向でいこうと考えています。
ただ何かできることはないかと探し、最近近くに低価格で免疫療法をしてくれる病院を見つけたので、そこで処置をと考えていたのですが、一緒にお世話をしている母が
「ストレスなく過ごしてほしい。病院に行くストレスでかえって寿命が縮む」
と言い反対しています。
実際うちの猫は出かけることを嫌がりケージや車の中でも頻繁に鳴き、病院でも恐怖からかとてもおとなしく、家に帰るとものすごい勢いでご飯を食べ、数日は病院に連れて行かれるのではと警戒するくらいにはストレスを感じます。
ただ、私としては免疫療法によって少しでも健康な体作りをした方が結果的にはストレス(病による痛み、苦しみ等)を和らげられるのではと考えています。(ただ、免疫療法が合わない猫もいるようなので、その場合はすぐさま止めるつもりです。)
そこで質問なのですが、月に一回(移動時間往復30分、点滴等の処置30分)のストレスはそこまで寿命に悪影響を及ぼすものなのでしょうか。
ちなみに今の猫の状態は上記に加え食欲、便・尿ともに問題なし、ただ後ろ足の一部や、その間のお腹の毛がなめ過ぎでハゲている状態です。

日時2020-10-04 23:58:03

専門の獣医師からの回答

 猫の乳癌治療の第一選択は外科手術です。転移がなく、外科手術の結果が完全切除であった場合は、根治が期待できます。外科手術で不完全切除であった場合は、カルボプラチン、ドキソルビシン、ミトキサントロンなどの抗癌剤を用いた補助療法を検討することがあります。抗癌剤の効果は様々で、実証されている(効果が保証されている)ものではありませんが、補助療法を実施した場合に生存期間が延長したという報告はあります。
 高齢のため外科手術を選択せずに、免疫治療を検討されているとのことですが、乳癌に対して非特異的免疫調整薬や免疫賦活薬の効果を検討した報告では、いずれも有効性は認められていません。
 猫の乳癌に対して、外科手術を行わずに補助療法や免疫療法を行っても、効果は期待できないと思われますので、在宅でストレスの無い生活を送ることが一番の治療になるかもしれません。もし、高齢でも転移がなく、麻酔リスクにも問題がなく、根治の可能性が残されているようでしたら、外科手術を再検討されても良いかもしれません。担当の獣医師と良くご相談ください。

日時2020-10-07 01:02:35

(質問主)


非特異的免疫調整薬や免疫賦活薬等について詳しくないのですが、それらには活性化リンパ球療法、樹状細胞療法も含まれるのでしょうか?

日時2020-10-07 01:27:35

 免疫療法には、アクセル(免疫を増強する)とブレーキ(腫瘍周辺の免疫抑制状態を解除する)が必要であるということが、ノーベル賞を受賞された本庶先生が開発されたオプシーボという抗体薬で証明されています。ただ、アクセルとブレーキを制御できたとしてもその効果は人医学でも20~30%(腫瘍の種類による)とされています。活性化リンパ球療法や樹状細胞療法は、このアクセルに該当する治療になります。動物では抗体薬が開発されていないため、アクセルのみの治療を行うことしかできておらず、その効果は実証されているものではない(疑問視されている)というのが、現状だと思います。

日時2020-10-07 13:16:18

(質問主)


そうなんですね。勉強になります。
正直乳腺腫瘍は根治は難しいと聞いたので、少しでも穏やかな方法で延命できればと思ったのですが・・・
やはり延命やQOLの向上等もあまり期待できないと言うことでしょうか?
また、穏やかな余生を送ってもらうために、病院や在宅でなにか他にできることはないものでしょうか?
何度も、それに長々と申し訳ありません。

日時2020-10-07 15:47:12

外科手術を希望されないか、或いは手術不適応と判断された場合、通院が可能でQOLの維持を最優先に考えられる場合は、緩和的な抗癌剤治療(抗癌剤の投与量を下げることで副作用を軽減させつつ、進行を遅らせる効果を期待するもの)を検討しても良いかもしれません。この治療は、一般的な抗癌剤治療に比べて副作用が少なく、同程度の生存期間の延長がみられことが効果の根拠となっています。ただ、生存期間以外に効果を客観的に評価する基準がないため、本当に抗癌剤が効いているかどうかを個別に判断することが難しいというのが欠点になります。通院が難しい場合、サプリメント等も考えられますが、これも効果を判断する基準がなく、連日の投与を嫌がる場合は、かえってストレスになるかもしれません。  猫の前で飼い主さんは悲しい顔をせず、笑顔で接してあげ、栄養バランスのとれた食事を与えて、日々大切にのんびりと生活することが、猫にとっては一番良いのかもしれません。  あまり役立つ情報が提示できず申し訳ありません。

日時2020-10-08 00:51:35

(質問主)


いえ、とても貴重な情報の数々、とてもありがたいです。
今回頂いたアドバイスを参考にしつつ、猫にとって何が良いかを考えお世話していきたいと思います。
本当にありがとうございました。

日時2020-10-08 01:04:00

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