「保護犬・保護猫を飼う」を一般的に! 学生たちとプロジェクト

ゼミで保護犬・保護猫について活発に議論をかわす学生たち
ゼミで保護犬・保護猫について活発に議論をかわす学生たち

 現在、大学のゼミでは公益社団法人アニマル・ドネーションさんとコラボレーションさせていただき、保護犬・保護猫マーケットの特徴と課題を調査するプロジェクト、その名もHOGO animal future projectを進めています。日本では犬や猫を飼おうと思ったときにはペットショップからの購入が中心で、保護犬・保護猫を飼うことは認知されつつあるものの、まだ一般的ではありません。そこで「ペットショップなどでペットを買う」ことから、「ペットを飼う(引き取る)」という行動変革ととらえ、ペットを飼おうと思ったときの選択肢として保護犬・保護猫を飼うことがスタンダードになる、そんなことを目指しています。

 このプロジェクトをゼミの学生とやるのか、それとも興味のある学生を集めてやるのか、当初は悩みました。というのも、ゼミ生は企業のマーケティングに興味がある学生です。私が動物好きなことはゼミ生みんなが知っていることですが、動物が好きな学生が集まっているわけではありません。保護犬・保護猫に関心がある学生でもなければ、社会問題に関心がある学生が集まっているわけではありません。興味のある学生とやれば問題点も認識しているからスムーズにプロジェクトが進むだろうし、何しろ意欲的に取り組んでくれるだろうと考えつつも、一応、ゼミ生にも声をかけておこうと話してみたところ、「やってみたい!」「興味ある!」「知らないことだけれどなんか面白そう」…良い意味で裏切られました。まさかの反応に驚きつつもゼミの活動としてプロジェクトを始動させることになりました。

 動物の飼育経験がない学生も多く、もちろん、保護犬・保護猫の存在を知らない学生もいます。そこで、日本の保護犬・保護猫の現状や問題点、海外でのペットの販売などについて学ぶことから始めました。「保護犬・保護猫ってどんなイメージ?」という質問に対して自由に話し合ってもらったところ、ネガティブな意見がたくさん出て、私の心が折れそうになりましたが、「知らないとこういうイメージなんだ、これでは譲渡が一般的になるのは難しいな」と再確認しました。

 先日行われたゼミ合宿では、宿題として学生全員に異なる課題を出し、調べてきた内容を共有しました。課題の内容は犬猫の入手方法やペットショップでの購入について、動物愛護センターやNPOから引き取るときの条件やその流れなどなど…。なかには動物保護に関するチラシを持ってきてくれた学生もいました。各自が責任をもって意欲的に取り組んでおり、改めてゼミの活動として取り組んでよかったと思っています。別のワークの時間なのに、「どうしたら保護犬・保護猫を飼うことがスタンダードになるのか」についての熱いディスカッションを始めるグループもあり、動物たちの明るい未来が見えた気がしました。自慢のゼミ生です!

 このプロジェクトに学生を巻き込んだのは大きく2つ理由があります。第1に社会問題に関心をもってもらうことです。企業や市場の華やかな面だけではなく多面的に物事を見てほしいと思っています。第2に学生が他者や動物の命を大切にする人に育ってほしい、そして、学生が将来、お父さんお母さんになったときには、自分の子供たちに自分たちより小さな命を大切にする、そんな優しい心を持ってほしいという願いを込めています。

 今回をもって私の連載は終了しますが、保護犬・保護猫の認知度向上と普及は引き続き個人の研究として進めていきます。ちなみに私の夢であるワンちゃんとの生活ですが、譲渡会に参加したり行政のウェブサイトを見たりしていますが、どの犬も魅力的で決められず、未だに一緒に生活できていません。一生のことなのでじっくり探していきます。

 最後にこのコラムを読んでくださった皆様、執筆に声をかけてくださった朝日新聞記者の太田匡彦さん、どうもありがとうございました。

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