脱水を起こす
健康な動物は、体重の約60%が水分(体液)で占められています。体液は、水分のほかに電解質、タンパク質、酸あるいは塩基を多く含んでおり、神経や筋肉の興奮性や筋収縮、尿量や体液量の調節など、様々な生理作用に関与しています。
体液は細胞内液(細胞内に存在する体液)と細胞外液(細胞外に存在する体液)に分かれます。さらに、細胞外液は、血管内に存在する
何らかの原因で、体から大量の体液が減少した状態を脱水症といいます。脱水を起こすと、体に様々な障害を起こすようになります。
- 原因
-
脱水は様々な原因で起こります。必要な水分量を摂取できなかったり、体からの水分を失ってしまう状態、あるいは
腎臓 の病気により水分を再吸収する能力が低下した場合などに起こります。
- 観察のポイント
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●つまんだ皮膚の戻り具合(皮膚の弾力性)
背中あるいは腰の皮膚をつまんで離し、皮膚の戻り方を観察してください。首の皮膚は、脱水を起こしていなくても皮膚の戻りが悪いことが多いので、判定が不正確になります。
また、太っている動物では、脱水があるのにわかりづらいことがあり、逆に、痩 せている動物では、正常でも脱水があるようにみえることがあります。
正常であれば、皮膚は1.5秒以内に戻り、脱水の程度は体重の5%未満と判定されます。つまんだ皮膚の戻りが2秒以上かかる場合は脱水を疑います。
●粘膜の乾燥状態
口腔 内の粘膜が乾燥しているかどうか観察します。
●時間的推移
脱水が急激に起こったのか、時間をかけて徐々に起こったのか、脱水の経過を獣医師に伝えると診断に役立ちます。
●体重の変化
体液量が減少して脱水状態に陥ると体重が減少します。健康なときの体重から現在の体重を引くと脱水量が計算できます。この方法は比較的短時間に起こった脱水にのみ行うことができます。なぜなら、脱水を起こしてから時間がたっていると、体重の減少が脱水によるものなのか、痩せたことによるものなのか判断できないからです。
体液が腹腔 内や組織の一部に貯留している場合は、脱水が起こっていても体重に変化が現れないことがあります。
●飲水量の変化
飲水量が不足して脱水を起こしている場合と、非常に口渇感が強く飲水量が増える場合があります。
●消化器症状を伴う
嘔吐 や下痢などにより水分を消失し、脱水を起こす場合があります。
●尿量の変化
体液量が減少したために尿量が減少する場合があります。また、腎臓における水分再吸収能の低下のため、尿量が増加する場合があります。
●ほかの症状を伴う
食欲の有無、呼吸が速い、ぐったりしているなど、全身状態に異常をきたしていないか観察します。
- 考えられる主な病気

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