イヌ・ネコの症状辞典

鳴き方がいつもと違う

 通常、イヌやネコは瞬間的な激しい痛みのとき以外は、鳴き声を発することがあまりありません。

 ところが、病的な原因ではなく、生理的に普段と異なった声を発することがあります。

 たとえば、発情期のネコの声や、救急車などのサイレンに呼応してイヌが遠吠とおぼえをしたり、けんかなどで相手を威嚇いかくする場合の声は、普段とは異なるものです。

 また、ネコには伝染性鼻気管炎という病気があります。その病気のせいで、声がかすれることもあります。

原因
 
●ネコの発情
 夜中に「ウァーオ、ウァーオ」というような特徴的な大きな声で鳴いていることがよくあります。人間の赤ちゃんの泣き声のように聞こえることもあります。これは雌ネコが交尾を求めて鳴く声です。

●激しい痛みによる鳴き声
 ネコの歯周病や口内炎には、非常に強い痛みを伴うことがあります。食事中に、炎症を起こしている部位に食べ物があたって、非常に強い痛みが起こり「ギャー」という奇声を発することがあります。
 また、椎間板ついかんばんの病気にかかっているイヌが激しい痛みから奇声を発することもあります。さらに、排便困難なイヌが排便時に苦しそうな声を発することもあります。
 痛みによると思われる場合は、その原因を明らかにして取り除いてやる必要があります。

●興奮時の鳴き声
 ネコは激しく怒ったときに「ハァー」とか「ウー」という声で相手を威嚇することがあります。
 同様に、イヌも相手を威嚇する場合に「ウー」というようなうなり声を発します。

●分離不安、認知症(痴呆ちほう
 飼い主が留守にしている間、ずっと鳴き続けるイヌがいます。飼い主と離れた不安から鳴き続けるのです。
 また、イヌには認知症があります。意味もなく夜通し鳴き続けて飼い主を困らせる例が増えています。
 認知症に対する治療は困難を伴いますが、いくつかの薬物が発売されているので、動物病院に相談するとよいでしょう。

気管虚脱きかんきょだつ軟口蓋なんこうがいの異常
 小型犬によくみられる病気で、気管虚脱があります。この場合は、「ガーガー」とアヒルやカモが鳴くような声を発します。興奮したり運動の後に激しくなることがあります。
 軟口蓋の異常はとくに短頭種のイヌによくみられます。つねに「ガーガー」という声を発していることがあります。
観察のポイント
 
●鳴き声を発する状況の観察
 どのような状況にあるときに聞きなれない声を発するか観察します。たとえば、イヌはよく寝言をいい、どこか痛いような声を発することがあります。

●ほかの症状を伴う
 鳴き声以外の全体的な様子(歩行状態、呼吸状態、食欲)をよく観察します。
考えられる主な病気
 
気管虚脱[主にイヌ]
軟口蓋過長症[主にイヌ]
短頭種気道閉塞症候群[主にイヌ]
猫伝染性鼻気管炎[ネコ]
口内炎[主にネコ]
歯周病[イヌ、ネコ]
喉頭炎[イヌ、ネコ]
腫瘍[イヌ、ネコ]
喉頭・気管の腫瘍[イヌ、ネコ]
骨折[イヌ、ネコ]
脱臼[イヌ、ネコ]
認知症(痴呆)[イヌ、ネコ]
サイレンに呼応した遠吠え[イヌ、ネコ]
発情期の鳴き声[イヌ、ネコ]
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