イヌ・ネコの症状辞典

よだれを垂らす

 よだれを垂らすことを流涎りゅうぜんといいます。よだれを垂らすことは、イヌ、ネコにみられる一般的な状態です。たとえば、空腹のイヌの前に食事を置いて「待て」をさせると、そのうちよだれを垂らしますが、これは生理的で健康な反応です。

 しかし、なかには「流涎症りゅうぜんしょう」と呼ばれ、病的によだれを垂らすことがあります。異常な流涎は、唾液だえきの量が多くて口の外に流れ出る場合と、唾液の分泌量は正常範囲内にもかかわらず口の外に流れ出てしまう場合があります。後者は偽性流涎症ぎせいりゅうぜんしょうと呼ばれます。

 唾液は主に耳下腺じかせん下顎腺かがくせん舌下腺ぜっかせんの3種類(イヌは頬骨腺きょうこつせんもあり4種類)の腺から分泌されます。これらの分泌は食べ物のにおいなどで活発になりますが、口腔粘膜こうくうねんまくの機械的刺激(食べ物や口腔内異物こうくうないいぶつなど)によっても誘発されます。

原因
 
●口腔内の病気
 口内炎、舌炎、腫瘍しゅよう、外傷、口腔内異物、舌に絡んだ糸状異物、扁桃炎へんとうえんなどにかかっていると、流涎の原因になることがあります。

●偽性流涎症
 偽性流涎症を起こす原因には、次のような場合が考えられます。食道梗塞しょくどうこうそく咽頭麻痺いんとうまひなどでは食物を飲み込めず(嚥下障害えんげしょうがい)、唾液が食道に流れていかないことがあります。また、口唇に形態的な異常があり、唾液が漏れることがあります。

●感染性の病気
 狂犬病や神経性ジステンパーなどの感染性の病気では、麻痺性まひせいの嚥下障害が起こります。飲み込めない唾液が口の外に流れ出て流涎となります。

●有機リン剤中毒
 有機リン剤中毒では、神経刺激伝達物質(アセチルコリン)の分解が妨げられることで唾液分泌が盛んになり、結果として流涎が起こります。

●その他
 ネコでは、いやな味の薬物を経口投与したときや、強度の緊張があるときに、よだれを垂らすことがあります。
観察のポイント
 
●口の周囲を
 口の周囲を前足で掻いたりしているときは、口の中の異物が考えられます。

●よだれに血が混じる
 よだれに血が混じっている場合には、口の中に外傷があったり、重度な口内炎があるかもしれません。

●けいれんを伴う
 流涎がひどく、けいれんを伴っているときは、有機リン剤中毒が疑われます。
考えられる主な病気
 
口内炎[主にネコ]
舌炎[イヌ、ネコ]
口腔内異物、外傷[イヌ、ネコ]
腫瘍[イヌ、ネコ]
扁桃炎[イヌ、ネコ]
有機リン中毒(殺虫剤中毒)[イヌ、ネコ]
食道炎[イヌ、ネコ]
食道内異物(食道梗塞)[主にイヌ]
咽頭麻痺[イヌ、ネコ]
口唇裂[イヌ、ネコ]
口蓋裂[イヌ、ネコ]
狂犬病[イヌ、ネコ]
犬ジステンパー[イヌ、ネコ]
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