イヌ・ネコの症状辞典

尿の色が赤い

 赤みがかった尿を赤色尿といいます。赤色尿せきしょくにょうには、赤色から褐色かっしょく、さらに濃いオレンジ色などに見える尿も含まれます。

 イヌ、ネコでは、膀胱炎ぼうこうえん膀胱結石ぼうこうけっせきなどの病気になると、血が尿に混ざって赤く見えます。しかし、ネコでは、ヘモグロビン尿(後述)を見かけることは、あまりありません。

原因
 
 尿が赤っぽい色になるのは、尿の中に「赤っぽく見える物質」が存在するためです。赤っぽく見える物質には、①赤血球、②ヘモグロビン、③ビリルビンなどがあります。
 尿が赤っぽく見える原因の物質を特定するには、尿潜血反応、尿ビリルビン、尿沈渣にょうちんさの検査が必要です。これらの検査は動物病院で受けられます。
血尿けつにょう
 尿中に赤血球が存在している状態を血尿といいます。血尿は腎臓じんぞうから尿道口(尿の出口)までの途中で出血しているサインです。
●血尿のタイプ
 排尿の始まりに認められる血尿は、主として尿道および生殖器からの出血を意味します。
 排尿の最初から尿を出しきる最後まで通してみられる血尿は、腎臓および血液凝固異常による出血の可能性があります。
 排尿の最後に血尿がみられる場合は、膀胱ぼうこうからの出血を意味します。
 排尿のたびに、血尿の現れ方が変わる尿は、尿道および生殖器からの出血が疑われます。

●血尿の原因
 血尿の原因には感染、炎症、結石、腫瘍しゅようなどがありますが、それを区別するためには尿沈渣の検査が重要です。


■ヘモグロビン尿
 尿中にヘモグロビンが存在している状態をヘモグロビン尿といいます。ヘモグロビン尿では、尿が酸性のときには褐色に、アルカリ性のときには赤色になります。
●ヘモグロビン尿の原因
 ヘモグロビン尿が現れる原因には、次の二つが考えられます。
 一つは尿の中の赤血球(尿中の赤血球の存在は血尿を意味します)が壊れて、赤血球内部のヘモグロビンが出てくる場合です。
 もう一つは、何らかの原因で血管内の赤血球が壊れて(溶血といいます)、血中に出てきたヘモグロビンが腎臓から尿中に排泄はいせつされる場合です(これを「真のヘモグロビン尿」と呼びます)。
 溶血を起こす病気には、イヌのタマネギ中毒や急性の犬糸状虫いぬしじょうちゅう症、また、免疫性溶血性貧血などがあります。


■ビリルビン尿
 尿中にビリルビンが存在している状態をビリルビン尿といいます。ビリルビンは肝臓でつくられ、多くは胆汁中に排出されます。しかし、血液中のビリルビンの量が多くなると、腎臓から尿中に排出されます。
 ビリルビン尿の多くは、濃い黄色やオレンジ色に見えます。
●ビリルビン尿の原因
 肝細胞の障害や胆汁うっ滞(胆汁の流れが悪くなること)が起こると、このような状態になります。
観察のポイント
 
●尿の観察
 日頃から尿の色を観察することは大切なことです。普段の色を覚えておかなければ、尿の色が変化しても気がつきません。
 赤色尿には、赤色だけでなく、濃い黄色やオレンジ色、赤ワインのような色、コーラや醤油しょうゆのような褐色の色も含まれます。
 飼い主がうっかりしていて、動物の飲み水がなくなっていたときなどに、尿が濃い黄色になることもあります。

●尿の採取
 尿の色がおかしいと気づいたときに、その尿を病院に持参すれば診断の手助けになります。
 排尿中の尿を食品トレイなどで受ければ採取できますが、使用する容器はきれいに洗って乾かしたものでなければなりません。水分が残っていたり、ほかの成分が混在すると、正しい検査結果を得ることができません。また、採取した尿は、できる限り早く検査を受けることが大切です。

●結石、膀胱炎の症状
 結石などがあるときには、「排尿しようとしてりきんでいるが、尿がほとんど出ない」というような状態がみられます。
 膀胱炎では、「さっきおしっこに行ったのに、またトイレに入ってる」というような、頻尿ひんにょう症状がみられることがあります。

●発情期
 雌イヌでは、発情期に尿へ血液が混じることがありますが、一過性のもので心配する必要はありません。
考えられる主な病気
 
尿結石(膀胱結石など)[イヌ、ネコ]
下部尿路感染症(膀胱炎など)[イヌ]
特発性下部尿路疾患[ネコ]
膀胱の腫瘍[イヌ、ネコ]
前立腺炎[雄イヌ]
血小板と凝固系の疾患[イヌ、ネコ]
急性の犬糸状虫症(大静脈症候群)[主にイヌ]
ハインツ小体性貧血(タマネギ中毒)[イヌ、ネコ]
免疫介在性溶血性貧血[主にイヌ]
バベシア症[主にイヌ]
肝臓の疾患[イヌ、ネコ]
胆嚢・胆管の疾患[イヌ、ネコ]
ヘモバルトネラ症[ネコ]
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