イヌ・ネコの症状辞典

おなかを痛がる

 動物は「おなかが痛い」状態になると、動きたがらず、背中を丸めてじっとしていることが多くなります。これは腹部を無意識に保護しようとする状態で、こうすることで痛みを少しでも和らげようとしているわけです。

 また、痛みのために落ち着きなく、うろうろと動き回ることもあります。ときに激痛が走ると、思わず鳴き声をたてることもあります。

 おなかのどこが痛いのか、多くは外見から判別するのが困難です。また、腹痛は突然起こることが多く、早急に獣医師の鑑別診断が必要となります。

原因
 
 腹痛の原因には、様々なものがあります。なかでも、腹腔内臓器ふくくうないぞうきの損傷が激しい場合は、死に至ることもあり、十分に注意して観察することが重要です。
●外傷、事故
 事故や転落後に起こった腹痛では、腹膜炎、腹腔内臓器の損傷が原因と考えられます。

●内臓の異常
 嘔吐おうとや下痢を伴うものでは、胃腸、肝臓などの消化器系、泌尿器系の異常が推測されます。
観察のポイント
 
●緊急を要する腹痛
 とくに交通事故や転落、けんかなどによる腹部臓器の損傷、異物の摂取による腸閉塞ちょうへいそく捻転ねんてんは救急疾患ですから、早急に診察を受ける必要があります。

●慢性に経過する腹痛
 慢性に経過する場合は、診察を受けるタイミングを逃すことがあります。手遅れとならないように注意深い観察と判断が必要です。あまり改善がみられない場合は、獣医師の診察を受けましょう。

●痛みの程度をはかる
 腹痛の程度によっては、抱き上げたときに痛みのためにみついたり、うなったりすることがあります。
 痛みが軽い場合には、あまり症状を示さず、元気がない、うずくまって寝ているといった状態が多くなります。
 しかし、症状が進み激痛があるような場合には、さわろうとすると怒ることがあります。
 また、活発さや食欲の有無は健康状態のバロメーターになりますので、つねにチェックすることが大切です。

●ほかの症状を伴う
 嘔吐や下痢がみられる場合、排便・排尿姿勢をとっても排泄はいせつできない場合、痛みを示す場合は、獣医師の診察が必要です。
 明らかにいつもと状態が違うとき、たとえば、おなかが痛そうにしていて、元気、食欲もなく、部屋の隅でうずくまっていることが多い場合は、十分な観察が必要です。
考えられる主な病気
 
〈肝臓〉
慢性肝臓病(慢性肝炎)[イヌ、ネコ]
肝臓の腫瘍[イヌ、ネコ]
創傷[イヌ、ネコ]

〈胆嚢〉
胆石症、胆泥症[イヌ、ネコ]
肝外胆管閉塞症(総胆管閉塞症)[イヌ、ネコ]
胆嚢破裂、肝外胆管破裂[イヌ、ネコ]

〈胃〉
胃拡張[イヌ、ネコ]
胃捻転[イヌ、ネコ]
胃拡張胃捻転症候群[主にイヌ]
急性胃炎[イヌ、ネコ]
慢性胃炎[イヌ、ネコ]
胃潰瘍[イヌ、ネコ]
胃内異物[イヌ、ネコ]
毒物摂取[イヌ、ネコ]
腫瘍[イヌ、ネコ]
胃破裂・胃穿孔[イヌ、ネコ]

〈膵臓〉
膵炎[イヌ、ネコ]
膵臓の腫瘍[イヌ、ネコ]

〈脾臓〉
脾腫(脾捻転、うっ血、腫瘍、感染)[イヌ、ネコ]
脾臓の腫瘍[イヌ、ネコ]

〈小腸〉
腸炎(細菌、感染症、寄生虫)[イヌ、ネコ]
腸閉塞(イレウス)[イヌ、ネコ]
腸重積[主にイヌ]
腸捻転[主にイヌ]
小腸の腫瘍[イヌ、ネコ]
毒素[イヌ、ネコ]

〈腎臓〉
腎盂腎炎[イヌ、ネコ]
尿細管間質性腎炎[イヌ、ネコ]
糸球体腎炎[イヌ、ネコ]
腎臓の腫瘍[イヌ、ネコ]
水腎症[イヌ、ネコ]
尿結石(腎結石、尿管結石)
泌尿器系の外傷[イヌ、ネコ]
尿管閉塞[イヌ、ネコ]

〈副腎〉
肥大[イヌ、ネコ]
副腎の腫瘍(クロム親和性細胞腫)[イヌ]

〈卵巣〉
卵巣の腫瘍[雌イヌ、雌ネコ]

〈子宮〉
子宮蓄膿症、子宮内膜炎[雌イヌ、雌ネコ]
子宮捻転[雌イヌ、雌ネコ]
子宮破裂[雌イヌ、雌ネコ]
子宮脱[雌イヌ、雌ネコ]
雌の生殖器の腫瘍[雌イヌ、雌ネコ]

〈膀胱〉
下部尿路感染症(感染、炎症)[主にイヌ]
特発性下部尿路疾患[ネコ]
尿結石(膀胱結石)[イヌ、ネコ]
膀胱の腫瘍[イヌ、ネコ]

〈前立腺〉
前立腺炎[雄イヌ]
前立腺膿瘍[雄イヌ]
前立腺嚢胞[雄イヌ]
前立腺の腫瘍[雄イヌ]

〈精巣(睾丸)〉
潜在(停留)精巣[雄イヌ、雄ネコ]
精巣炎、精巣上体炎[雄イヌ、雄ネコ]
精巣の腫瘍[雄イヌ、雄ネコ]

〈大腸〉
腸炎(細菌、感染症、寄生虫)[イヌ、ネコ]
腸閉塞(イレウス)[イヌ、ネコ]
大腸の腫瘍[イヌ、ネコ]
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