便秘になる
便秘とは、普段の排便に比べて便が極端に硬く乾燥し、排便時に強くいきんだりしないと便が出にくくなっている状態です。
食事をせず2~3日排便がないような状態を便秘とはいいません。ところが、排便がないことを便秘と思い込んでいたり、しぶりを便秘と混同していることが多々見受けられます。
しぶりとは、便意があり排出しようといきむにもかかわらず、排出できない状態をいいます。しぶりがみられるときは、泌尿・生殖器の病気、下部尿路の病気にかかっているかもしれません。
しかし、便秘としぶりの違いは、一般の飼い主には判断が難しく、獣医師の診察が必要です。
- 原因
-
便秘は《考えられる主な病気》に示したような病気が原因でイヌ、ネコに起こります。なかでも、ネコは巨大結腸症による便秘が起こりやすいようです。しかし、なかには次のような理由で便秘になることがあります。
●異物の摂取
骨やグルーミング時の毛、異物の摂取などで起こります。
●環境の変化
引っ越し、トイレの場所の変更や撤去による周辺環境の変化によって起こります。
●水分不足、食事内容の変更
水分不足や食事内容の変更で起こることがあります。また、運動不足によって起こることもあります。
●薬の影響
以前から、薬(抗コリン作動薬、抗ヒスタミン薬、抗けいれん薬、バリウムなど)を服用している場合は、薬の影響で便秘になることがあります。
●大腸の閉塞
肛門周囲の異常(肛門嚢炎 、肛門周囲瘻 、肛門狭窄 )などで、便秘になることがあります。
骨盤骨折によって骨盤が変位し、その結果、直腸が圧迫され狭小化すると便の通過が障害されて便秘になったり、後ろ足の骨折、股関節脱臼 など後ろ足の機能不全によっても便秘になることがあります。
●その他の病気
神経障害(脊髄 の病気、椎間板疾患 、巨大結腸など)、代謝・内分泌の病気(結腸平滑筋 機能の停止、甲状腺 の病気など)などでも便秘がみられます。
また、衰弱して、全身の筋肉が虚弱し脱水を起こせば、便秘になることもあります。
- 観察のポイント
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●便秘が続く
便秘が続く場合は病気を疑います。便秘でも少しずつ排便していれば、比較的軽い便秘で、一時性のものかもしれません。しかし、まったく排便できないような場合は病的と考えるべきです。
●便の回数
便の回数は、1日1~3回であれば正常と考えます。ただし、個体差がありますので、普段から排便の回数を把握しておいて、健康なときに比べて回数が減ってきたら、ほかに異常な症状がみられないか注意してください。
●便の硬さ
便の性状(硬さ)を観察することで、症状と併せて便秘を疑うヒントになります。
●ほかの症状を伴う
排便姿勢をとっても排便がない、おなかがガスで膨らむ、食欲がないなどの症状が便秘に伴ってみられます。進行すると嘔吐 などの症状が現れてきます。
- 考えられる主な病気
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■大腸周辺の閉塞による便秘
〈大腸内〉
腸閉塞[イヌ、ネコ]
腫瘍(結腸腫瘍、直腸腫瘍)[イヌ、ネコ]
ヘルニア(会陰ヘルニア)[イヌ、ネコ]
〈大腸外〉
骨折(骨盤骨折)[イヌ、ネコ]
前立腺肥大[雄イヌ]
生殖器系の腫瘍[イヌ、ネコ]
■神経性障害による便秘
〈中枢神経機能不全〉
脊髄の疾患[イヌ、ネコ]
椎間板ヘルニア[イヌ、ネコ]
椎間板脊椎炎[イヌ、ネコ]
〈内在性結腸機能不全〉
巨大結腸症[主にネコ]
〈骨盤周囲の病気〉
肛門嚢炎[イヌ、ネコ]
肛門周囲瘻[イヌ、ネコ]
肛門狭窄[イヌ、ネコ]
肛門異物[イヌ、ネコ]
〈外傷〉
骨折(骨盤骨折、後ろ足の骨折)[イヌ、ネコ]
股関節脱臼[イヌ、ネコ]
会陰部の腫瘍や異物[イヌ、ネコ]
〈代謝・内分泌の病気〉
甲状腺機能亢進症[主にネコ]
甲状腺機能低下症[主にイヌ]
上皮小体機能亢進症[イヌ、ネコ]
発熱など消耗性疾患による脱水[イヌ、ネコ]

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