食べる量・回数が増える
食べる量や回数が増えることを多食といいます。多食になるには、次のような理由が考えられます。
たとえば、体の代謝が活発になると、エネルギーを必要以上に消耗するので、エネルギー補給が必要になります。
また、糖尿病や腸の消化吸収障害のように、食べたものが効率よくエネルギーに変換されない場合は満腹感が得られず、食べ過ぎる傾向があります。
さらに、好物を与えすぎて(病気ではなく)、エネルギー過剰になる場合などがあります。
- 原因
-
多食には、生理的なものと病気によるものがあります。また、多食でも、太る場合と太らない場合があります。次のような原因が考えられます。
●多食になって太った
【成長期】 一般的に成長期は体重が増えます。成長に伴って骨量や筋量が増えるためですが、太ったようにみえるかもしれません。
【妊娠期】 胎子の成長に伴って体重が増加します。
【薬の副作用】 もともと、ある病気にかかっていて、治療のために服用している薬(ステロイド薬、抗ヒスタミン薬、抗けいれん薬など)の副作用として、太ることがあります。
【競い食い】 同居しているイヌどうしで競い食いをするため、多食になることがあります。
【病気】副腎皮質機能亢進症 にかかっていると、腹部が張ってくることがあります。また、突発性後天性網膜 変性症やネコの末端肥大症では、病気の症状の一つとして多食になることがあります。
●多食なのに体重に変化がない
授乳中の雌イヌや雌ネコ、多食にもかかわらず運動量が豊富なイヌ、寒冷な環境(冬季に屋外で飼育されている場合など)におかれている動物は、多食になっていても太りません。
●多食なのに痩 せる
普段の食事が低カロリー食の場合は、多食にもかかわらず、痩せることがあります。
- 観察のポイント
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多食となってから、体重などに変化がないか観察してください。
●妊娠・授乳中、成長期である、運動量が豊富である
健康な状態です。ほかに変わった症状がなければ、心配する必要はありません。様子を観察し続けてください。
●環境が変わった
新しくほかの動物を飼い始めた、新しい家族が増えたなど、精神的な出来事も多食の原因となることがあります。
寒い季節に外につないだままにしていないかどうか、環境をチェックしましょう。
●食事の内容が変わった
食物の種類を変えてから食欲が増進した場合は、嗜好性 の問題かもしれません。
●薬を飲んでいる
病気による投薬中の薬の種類によって、食欲が増進することがあります(ステロイド薬など)。
●飲水量とおしっこの量が増える
糖尿病、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能亢進症 、突発性後天性網膜変性症などの病気が原因になることがあります。
●下痢をしている
膵外分泌不全 、炎症性腸疾患、消化管内寄生虫症、リンパ管拡張症などの病気が考えられます。
●腹部が張っている
肝臓の腫大 を起こす副腎皮質機能亢進症が考えられます。ほかにも、腹水 がたまる猫伝染性腹膜炎 やリンパ管拡張症など、多くの病気が考えられ、その鑑別が重要になります。
- 考えられる主な病気
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糖尿病[イヌ、ネコ]
甲状腺機能亢進症[主にネコ]
副腎皮質機能亢進症[主にイヌ]
膵外分泌不全症[イヌ、ネコ]
慢性特発性腸疾患(炎症性腸疾患、腸リンパ管拡張症)[イヌ、ネコ]
消化管内寄生虫症[イヌ、ネコ]
インスリノーマ[主にイヌ]
猫伝染性腹膜炎[ネコ]
突発性後天性網膜変性症(中年から老年のブリタニー・スパニエル、ミニチュア・シュナウザー、ダックスフンド)[イヌ]
末端肥大症[イヌ、ネコ]
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