相談・獣医師回答・コメント
クツシタ(質問主)
犬 15歳 メス ボーダー・コリー
体重:16.9kg
飼育歴:14年4ヶ月
居住地:東京都文京区
飼育環境:室内
2ヶ月程前、口内(上顎の外側の歯茎)に腫瘍を発見し、
かかりつけ医に相談したところ、
切除して病理に出さないとどういったものかが分からないということで手術に向けて血液検査をしました。
結果、Lipの値が高く(当時1000以上)リスク高いということで
口内の腫瘍については切除見送り、膵臓の治療を優先ということで薬を投与しております。
現在700程度まで下がっておりますが、(正常値160以下と聞きましたので、十分高いと思いますが。。泣)
口内の方が大きくなってきてしまっており、
食欲は若い頃と同様にあるのですが、たまに食べづらそうな時があり、、
かかりつけ医は痛みもあるだろうとのことです。
飼い主としては、きれいに切ってあげたいのですが
やはり膵臓と年齢のこともあり麻酔や手術のリスクが心配です。
かかりつけ医からは、リスクはあるので手術の実施有無は飼い主の判断になりますということで、、
今年で15歳、かなり高齢なので仕方ない部分も多々あると思いますが、
「手術後、目覚めなかったらどうしよう」とずっと悩んでいます。
もちろん私は素人ですのであまりにも判断材料が少なく、、
手術リスクについて、ご意見お聞かせ願えますと幸いです。
本人はいたって健康で、昼間ははしゃいだり食欲はかなり旺盛で、若い頃とほとんど変わらないくらいです。
(さすがに寝る時間は増えましたが、、)
2021-04-09 00:51:33
専門の獣医師からの回答
ご投稿内容を拝見させて頂きました。
リパーゼの高値(>1000)にも係わらず、元気、食欲が認められるようでしたら、急性ではなく慢性膵炎という診断になると思われます。術後に急性膵炎が認められたという報告があり、麻酔(プロポフォールという麻酔薬)や手術手技(膵臓近傍の手術や心血管系手術)が急性膵炎発症の誘因として疑われていますが、因果関係については、まだ明らかにされていないというのが現状だと思います。主治医の先生は、術後に慢性膵炎の急性増悪が生じることを心配されているのだと思われます。慢性膵炎の急性増悪は、術後に必ず生じるわけではありませんので、膵臓以外の臓器(心臓、肝臓、腎臓、肺等)に異常が認められなければ、麻酔リスクはそれほど高くないと判断できるかもしれません。ただ、高齢犬の場合、検査では評価しきれない異常が潜んでいる可能性があるため、慎重な判断が必要です。麻酔リスクと手術による治療効果を比較して、どちらを優先するかで手術の適否を判断する形になると思われます。
口腔内の腫瘍が2ヵ月で大きくなってきているとのことでしたら、悪性腫瘍の可能性も考えられると思われます。もし、無麻酔での細胞診が実施可能でしたら、腫瘍の診断に有用な情報が得られるかもしれません(診断の確定には病理組織学的検査が必要ですが、悪性か良性かの鑑別には細胞診が有用です)。手術の適否を判断するには、麻酔リスクの評価以外に、転移の有無を調べる必要があり、既に転移が認められる場合は、手術適応外と判断することもあります。手術につきましては、悪性腫瘍であっても完全切除出来れば根治が期待できますが、口腔内の悪性腫瘍が骨に浸潤していた場合は、上顎骨と共に腫瘍を切除しなければ、完全切除が難しい場合もあります。完全切除出来なかった場合は、再発の可能性が高く、術後補助治療(化学療法や放射線治療)の検討が必要となることもあります。
15歳というご高齢犬なので、積極的な治療を希望されるか、緩和的な治療を希望されるかを主治医の先生とよくご相談し、方向性をご検討ください。
2021-04-11 10:56:41
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