イヌ・ネコの健康医療相談

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tateyoko(質問主)


犬アイコン 犬 14歳 メス フレンチブルドック

体重:8kg

飼育歴:13年8ヶ月

居住地:大阪府吹田市

飼育環境:室内

フレンチブルドック13歳、IBD で2日に1回のステロイド服薬中。下痢が続いたため、サラゾピリン、タイラン等を約3週間服薬。ヘルニアもあったため、7/12,にはじめてレーザー温熱療法実施。その後嘔吐があり血液検査を行うと、肝機能の数値が上昇しており、7/15 日ALT4700 AST597 ALP8010 GGT30 総胆汁酸が65.2 となり、入院はせずステロイドをエントコートを1日1回に変更し、ウルソ、スカパールを服薬中です。その前の血液検査では、6/22日ALT92 ALP106でした。胆嚢粘液嚢腫で、本来は切除が望ましいが、高齢と低タンパク、肝機能悪化で手術中に亡くなる可能性が高いだろうとの診察でした。日中は若干呼吸が荒い程度なのですが、夜間から朝方にかけて眠れないようで、呼吸も荒く苦しそうに喘いでいます。肝機能の急激な悪化が薬によるものならば、徐々に抜けていくため数値は改善されてくるものなのでしょうか? また、レントゲンとエコー画像検査から肝臓から胆嚢への流れが悪いため、改善されるようウルソ、スパカールを服薬しています。もともと、胆嚢には胆泥が溜まっていましたが、治療する程ではないとのことで、未治療でした。今後の予後が心配です、何が原因でこのようになったのでしょうか。

日時2019-07-16 06:57:26

専門の獣医師からの回答

高齢のフレンチブルドックがIBDで治療中に下痢や嘔吐に加えて顕著な肝酵素異常が発現したとのこと,心配ですね。
1カ月前との検査を比較すると現在の状態は急性の肝障害と胆汁うっ滞が起こっている可能性があります。
ステロイドの投与は肝腫大や肝酵素の上昇を誘発しますが,急性の悪化となると胆嚢粘液嚢腫の悪化や膵炎の併発の有無をチェックする必要があります。
もし,肝酵素異常に加えて白血球数やCRPの上昇を伴っているようであれば,胆嚢粘液嚢腫の進行による胆嚢壁壊死および腹膜炎の併発が懸念されます。
胆嚢粘液嚢腫は通常は不可逆的な病態なのでウルソやスパカールなどの投薬での改善は期待できません。
胆嚢粘液嚢腫の唯一の治療は外科的治療なので,麻酔がかけられる状態でない場合はお手上げです。

また,フレンチブルドックのIBDは他の犬種よりも重症化しやすく,治療の反応や予後も悪い傾向があります。
さらにIBDの治療薬で最も効果のあるステロイドは,胆嚢粘液嚢腫の発現リスクを高めます。
IBDの治療を強化すれば,胆嚢粘液嚢腫を悪化させ,ゆるめればIBDが悪化し,治療は困難を極めます。
こういった症例において胆嚢粘液嚢腫が末期的で症状を発現しているのであれば,外科的治療を行うか,あきらめるのかの選択肢となります。

胆嚢粘液嚢腫の手術成績は,外科専門医でも周術期死亡率が2割前後と非常に高く,
高ビリルビン血症(黄疸)が発症してからの手術となるとさらに死亡率は高くなります。
本症例ではIBD,低アルブミン血症,高齢といった麻酔リスクを高める要因があり,手術となるとそれなりの覚悟が必要になるかと思います。
ただ,現在の症状がもし胆嚢粘液嚢腫の終末期であれば,手術以外に救命できないかもしれません。
肝酵素異常の原因が,胆嚢粘液嚢腫によるものかどうか,腹膜炎の併発があるのかないのか,主治医の先生にご確認頂き,
必要により二次診療機関でのセカンドオピニオンも相談されたら良いかと思います。

日時2019-07-20 23:44:07

tateyoko(質問主)


入院、点滴を行い肝酵素、CRP、GGT
が高いながらも下がりはじめ退院となりました。ご回答頂きありがとうございました。

日時2019-07-21 11:48:31

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