相談・獣医師回答・コメント

猫風邪というのが、そもそも曖昧です。通常、俗に言う猫風邪は、ウイルス性疾患のウイルス性鼻気管炎というヘルペスウイルスによる感染症です(カリシウイルス感染症等を含めることもあります)。それらは急性のウイルス性疾患です。
　今回の猫風邪の同居猫は、新たに家に入れた新入りの猫ですか。そうであれば、たとえワクチン接種をしていても、潜伏期間後に発症することもあります。しかし記のウイルス性疾患には基本的に抗生物質は効果がありません。ウイルス性呼吸器疾患に罹患して細菌が関与する二次感染には効果があります。
　猫風邪の同居猫がずっと前から同居して新たに感染する心当たりがない(室内飼育)であれば、その症状は以前に罹患した例えばヘルペスウイルスが日和見感染的に鼻炎または結膜炎として症状がでているのであれば、多くは外にウイルス排泄は少ないので感染させるリスクは少ないと思います。
　ということで、症状のない時に抗生物質を念のために与えるのは一般的ではありません(効果もない)。
ワクチン接種と同時に抗生物質を投与することは、ワクチンからの免疫を得るメカニズムには大きな問題はないと思いますが、意味不明です。
　以上のことから、抗生物質を中断することは問題ありません。そもそも、必要であったのか疑問です。ただし、いろいろな獣医師がいて、いろいろな経験でいろいろな治療をしてもいい現状では、今回行った処置が間違っているということは言い切れないのが事実ですので、そのへんを斟酌してください。