イヌ・ネコの健康医療相談

相談・獣医師回答・コメント

のりちゃん(質問主)


猫アイコン 猫 6歳 オス 雑種

体重:6.0kg

飼育歴:6年4ヶ月

居住地:栃木県足利市

飼育環境:室内

初めてご相談させて頂きます。
宜しくお願い致します。

うちでは現在3匹のきょうだい猫(♂猫1匹と♀猫2匹)を飼っています。
今年の4月14日に6才を迎え、病院へ連れて行ったのは去勢・避妊手術以来なかったのでそろそろ健康診断を受けさせたほうが良いのかなと思っていた頃、♂猫のぺーいちの1回のおしっこの量が前よりも減ってきたことが気になり始め、体重が1㎏増えたことや最近何となく食欲や元気がなくなってきたことも心配になったので病院へ連れて行ってきました。
触診と血液検査の結果、泌尿器系は特に問題ないと言ってもらえたのですが、肝臓の数値がALT268、AST102で高いと言われ、先生曰く「猫で肝臓の悪い子はあまりいない。こんなに数値が高いのも珍しい。原因は体質でしょう。まだ6才でこれからが長いのに。すぐに療養食に切り替えるように」と言われました。
これまで元気に過ごしてきただけに基本的な知識以外あまり詳しくない私は先生にそう言われて不安でいっぱいになりました。
それに療養食…と言われてもどうしたら良いか分からなかった私は帰り際、受付の人に相談し、病院にあったロイヤルカナンの肝臓サポートをすすめられ買ってきました。
ただ、買ってきたものの食べてはくれず、先生は今までのご飯から切り替えて療養食のみ…と言っていましたが、一気に食事を切り替えることは難しく、逆にストレスを感じさせてしまってもと思い、かと言って今までのご飯の何をどの程度までならあげても良いのか等全く分からず色々頭を悩ませています。
また帰ってきてから不安だった私はネットで肝臓の数値の高い猫について色々調べたところ、肝臓の数値が高い子は割と多くて原因も多岐で体質とは限らないこと、その為、ロイヤルカナンの肝臓サポートが必ずしも適切ではない場合もあること、肝臓の数値を下げる注射もあること等、先生から治療法や病気についてほとんど説明してもらえなかったのでが色々知る事が出来ました。ただその中で心配になったのは、肝臓の状態が重篤化すると血液が凝固するとあり、うちの子が採血の際、気泡が入ってしまって血液が上手く注射器に入らなくて先生が首を傾げながら手間取っていたので、もしかしたら血液凝固してしまっている状態だったのではと心配です。
うちのこの子の場合の肝臓の数値が高い原因も知りたいですし、ロイヤルカナンをあげても大丈夫なのかも分かりません。
今の状態はいつもと比べるとやや元気や食欲が落ちているように感じていて、肝臓の数値を下げる注射があるならしてもらいたいと思うのですが、注射するには何か条件が必要なのでしょうか?

お忙しい中すみませんがご回答頂けましたらありがたく思います。
どうか宜しくお願い致します。

日時2021-05-14 13:30:23

専門の獣医師からの回答

6歳の雄猫において,健康診断でALTとASTの高値が認められたことに関して,検査の精度と治療に関するご質問と理解しました。
まず,血液検査での異常として示されたALTとASTは,肝酵素検査の一つで,その数値は,血清(血液)中の酵素活性を示しています。ALTやASTなどは肝細胞内に多く含まれており,何らかの原因で肝臓が障害を受けると,血液中に漏れ出るため,逸脱性肝酵素とも呼ばれています。
ちなみに肝酵素検査ではALTやASTなどの逸脱性肝酵素の他に,ALPやGGT(γ-GPT)などの誘導性肝酵素も同時に検査することが多いです。
不適切な採血(溶血や過度のストレス)は血液化学検査に少なからず影響はありますが,今回のケースではこちらでは判断できません。

前置きが長くなってしまいましたが,たまたま行った検査で,ALTやASTが軽度から中等度に上昇している場合,この数日間で肝細胞が許容範囲を超えるダメージがあったことを示しています。
ただ,逸脱性肝酵素上昇の原因は多岐にわたり,さらに必ずしも肝臓疾患とは限りません。
また,肝酵素検査は,細胞レベルでの肝細胞の状態を評価する検査であり,肝臓の機能を評価しているわけではありません。
このため,肝酵素異常が認められた場合には,肝機能検査や肝酵素に異常を認めやすい様々な疾患について鑑別が必要となります。
肥満や不適切な食事なども逸脱性肝酵素の原因となることがあります。
また,今回のALTやASTの上昇が持続性であるか一過性であるかも極めて重要で,持続性の場合には,精密検査が必要となります。
肝臓は沈黙の臓器ですので,元気食欲に問題がないからといって,肝酵素異常を軽視することもできません。

治療に関してですがロイヤルカナンの肝臓サポートを奨められたとのことですが,肝臓サポートは肝不全用の食事ですので,今回のケースでは適切かどうかは,より詳しい情報がないと判断できません。
肥満が認められるのであれば,まずは減量用の食事やシニア食に切り換えるて様子をみる場合もあるかと思います。

注射薬に関しては,どのようなお薬のことを言われているかわかりませんが,有効性が示されている強肝剤としてはミノファーゲンCがあります。
通常,重症例において入院下で1日2回静脈内投与します。
元気食欲のある動物に対しては,利胆剤であるウルソデオキシコール酸など副作用の少ない肝庇護剤や同様の効果が期待できるサプリメントを内服処方されることも多いかと思います。

本ケースの病態に関しては,肥満傾向にあることと逸脱性肝酵素の異常が判明しているのみで,その他の検査がどこまでなされているのか,特に肝臓腫大の有無や胆嚢あるいは膵臓や腸管などの画像所見などに異常が無かったのかなどの情報がありませんので,疑われる疾患名はもとより,専門的な治療方法に関してもアドバイスが難しいことをご理解下さい。
いずれにしても,まずは肥満の解消,適切な食事管理を行い,今回の異常が一過性か持続性か再検査してもらうのがよいかと思います。

日時2021-05-19 07:42:59

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