相談・獣医師回答・コメント
AK(質問主)
猫 15歳 オス 雑種
体重:6.6kg
飼育歴:12年10ヶ月
居住地:埼玉県志木市
飼育環境:室内
今後の治療選択の参考として、ご相談させていただきたいと思います。
現在の主な症状は、食欲・体重減少、お腹の調子が不安定(時々下痢や軟便)というものです。
かかりつけの病院には、
・慢性腸症疑い
・甲状腺機能亢進症(確定診断)
と診断されています。
経過としましては、
おととし(2019年)の12月にひどい下痢になり、投薬を試みましたが完治はせず、2020年に入ってもたびたび下痢や軟便を繰り返していましたが、投薬はせずに処方食(他フードと併用)を与えながら経過観察していました。
その間、血便が出たこともあり、その都度通院して投薬治療(下痢止め・整腸剤)をしました。
今年に入ってからは、下痢や軟便の頻度が減ってきて改善傾向に見えるものの、元のよい状態までは戻ってはいませんが、ひどい下痢が何日も続くことはほぼないので、引き続き経過観察しています。
ですが、たまにお腹の調子を崩して同時に食欲も消失すると、その都度体重が減少して、元の体重には戻らないため、少しずつ体重が落ちていっているのがとても気がかりです。
もともと食欲旺盛で常に太り気味で、8.5kgを数年キープしていたのが、2018頃を境に体重が少しずつ減り始めました。
2019年の間は、食欲は問題なくよく食べていたのですが、2020年に入り、ごはんの選り好みが激しくなったり、ちょこちょこ食べをするようになったりと以前とは食べ方が変わり、だんだんと食が細くなってきて、今では一定量食べさせるのに、つきっきりで毎日苦労しています。
体重変化は、約2年半の間に2kg近く減ってしまいました。
(2017.11月:8.5kg → 2018.11月:7.8kg → 2019.11月:7.16kg → 2020.12月 → 6.74kg → 2021年4月:6.62kg)
2019年のはじめに兄弟猫を尿管結石による急性腎不全で亡くしてから、こちらの猫も体質が似ているため不安に思い、かかりつけの病院で腎臓を中心にほぼ毎月のように定期検査(一般血液検査、SDMA、エコー検査等)を受けてきて、現在まで継続しています。
体重減少が続いたため、今年1月に甲状腺機能亢進症を疑われ、検査したところT4が5.98という結果から確定診断となりました。
副作用と腎臓への影響を考慮して、少しずつゆっくりチアマゾールの投薬を始め約3か月間、T4の変化はわずかです。(T4:5.98→5.46→5.36→5.78)
チアマゾールは1/4錠?を2日に1回から始めて、現在は1日1回です。
血液検査の結果は、肝臓の数値が少し高め(ALP:92/基準値38~58)ですが、腎臓や他の数値は問題ないそうです。
今後の治療について、主治医には、甲状腺のほうはまだそれほど症状が出ていないようなので、これ以上薬量を増やして積極的な治療をすることで腎臓への悪影響が出る可能性も考慮し、とりあえず現状のままとして、それより先に、慢性腸症の疑いにより、ステロイドによる投薬治療を試してみてはどうか、と勧められました。
治療を選択する前に、今回お聞きしたいと思うことは以下です。
1. 甲状腺機能亢進症で食欲減少と下痢という症状もあるとのことですが、そちらが原因と考えるよりもまず慢性腸症を先に疑うのが普通なのでしょうか?
また、消化器症状以外、他に特有の症状(活動性の上昇や顔つきなど)がみられない場合、高齢猫であっても早い段階で甲状腺機能亢進症を疑うことはないものなのでしょうか?
2. 慢性腸症の確定診断せずに疑いでステロイド投薬を始めるのは一般的な治療なのでしょうか?
(慢性腸症の確定診断には麻酔下での内視鏡検査が必要とのことですが、高齢ということもありそこまですることはあまり考えておらず、確定診断せずに疑いでのステロイド投与に抵抗があります)
3. 慢性腸症のステロイド治療を先に行う間、甲状腺機能亢進症の投薬治療はストップさせるとのことなのですが、そちらを後回しにしてしまってもよいのでしょうか?
目立った症状がない間は、積極的な治療はせずともよいものなのでしょうか?
甲状腺の治療は他臓器とのバランスを見ながら、きめ細かに進めなければならないという情報を目にして、より専門性の高い病院でセカンドオピニオンを得ることも考えています。
長くなり読みづらい文章で申し訳ありません。
何卒よろしくお願い申し上げます。
2021-05-12 01:32:24
専門の獣医師からの回答
愛猫が甲状腺機能亢進症で体重減少傾向とのこと、ご心配のことかと思います。ご質問の件ですが、甲状腺機能亢進症による消化器障害はあまり一般的な症状とは思われません。慢性的に下痢をしているということであれば他の要因を考慮して然るべきかと思います。二つ目のご質問ですがこの年齢の猫において内視鏡検査による組織検査を実施するかどうかは獣医師の考え方によるかもしれませんが、高齢の猫で慢性的な下痢がある場合には腸の高分化型リンパ腫なども考慮する必要があります。経口の抗がん剤で良好な結果が得られる場合もありますが、内視鏡生検による確定診断をせずに抗がん剤に投与を行うことは難しいかもしれませんので、内視鏡検査を実施することも一案かと思われます。3つ目の質問ですが、ステロイド投与中であっても極端な腎機能低下などがない場合はある程度甲状腺ホルモン値が下がるまではチアマゾールを増量することも検討してもいいかと思われます。愛猫さんの症状が快方に向かうことをお祈りしております。
2021-05-15 00:40:52
AK(質問主)
この度は質問へのお答え、ありがとうございます。
リンパ腫については以前主治医から聞いたことがあったかと思いますが、再度確認してみたいと思います。
その他のアドバイスも、今後治療を選択するうえで参考にさせていただきたいと思います。
うちの猫も高齢になり、様々な不調や老いと向き合わなければならない時期となり、とまどったり迷ったりしていますが、できるだけ納得したうえで悔いのないよう対処していきたいと思います。
ありがとうございました。
2021-05-15 19:02:17
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