相談・獣医師回答・コメント
mori-coco(質問主)
猫 11歳 メス マンチカン
体重:3kg
飼育歴:10年5ヶ月
居住地:東京都板橋区
飼育環境:室内
■相談内容
猫の胆石について
■猫の特徴
- 10歳になる、マンチカンのメス
- 身体は3kgちょっと
- 痩せ型
- 小さな頃から吐きぐせがあり
- 今まで生死に関わる病気や怪我はなし
■症状
2月に、食欲不振で少し痩せてきたので心配になり、病院に行ったところ「胆石」が見つかりました。
血液検査の結果は、正常値で医師が言うには、もう手術を検討するか、胆石が身体に悪さをしないことを願って、定期でしばらく様子を見るかと言われました。
私としては、早期で手術した方がいいかと思いました。
しかし、不安があります
■不安材料
-10歳と言う年齢
-もともと体はそんなに強くはない
-3kgちょっとの小さな体
と言う点で、手術に耐えられるのか心配です。
医師は年齢的な面で、若干懸念してるようでした。
少しでも健康になって欲しいので、こちらのサービスに相談させていただいた次第です。
ご意見、アドバイスをお願いいたします。
2021-02-15 08:33:26
専門の獣医師からの回答
まず,胆石についてですが,人と異なり犬や猫では極めて稀な疾患です。
胆石にはいくつか種類があり,犬や猫の胆石は人と異なり,発生機序についても十分に解明されていません。少なくとも人の胆石と犬猫の胆石は,発生原因や成分が異なります。
もともと栄養状態が悪く間欠的嘔吐など慢性的な消化器症状があるとなると慢性腸炎や慢性膵炎などの基礎疾患が存在し,胆管炎を併発して,胆石の形成に関与している可能性を考慮する必要があります。
犬猫の胆石の治療に関しては,無症状で血液検査などにも異常が認められない場合には様子をみることもしばしばですが,人のコレステロール結石で行われる溶解療法は無効です。
胆石の部位にもよりますが胆嚢内胆石であれば外科的な胆嚢切除術が根本的治療となります。
人では胆嚢切除術は,腹腔鏡手術が主流であり,安全性も高く治療成績も極めて良好です。
一方で犬猫における胆石の外科的治療成績については,人に比べて稀な疾患であるため,まとまった報告が少なく,猫では症例報告レベルの報告しかありません。
参考までに犬における胆嚢切除術や胆石の外科的治療成績については,死亡率や合併症も含め高いのが実状です。特に肝外胆管閉塞を併発した閉塞性黄疸の症例では,死亡率が極めて高くなるため,手術のタイミングも重要となります。なお,最初に述べたように原因究明のための精査も重要で,事前にCT検査と内視鏡検査による腸生検を行ったり,手術時に肝生検,腸生検,膵生検などをまとめて行うこともあります。
無症状胆石の症例では,専門的な病院での手術成績は悪くありませんが,もともと一般病院では症例数が少ないため,多くの手術経験のある施設で行うことをお勧めします。
もし,肝外胆管閉塞を発症して緊急手術が必要となった場合には,より専門性の高い動物病院での施術が望まれますが,いずれにしても死亡率は著しく高くなります。年齢的に10歳はまだ老齢とはいえませんので,手術を躊躇する理由には該当しません。リスクを伴う治療に関しては,その必要性や有用性とを天秤にかけるしかないので,主治医の先生とよくご相談されるか,セカンドオピニオンをお願いして,飼い主様が後悔のない選択をされるしかないように思います。
2021-02-19 06:55:27
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