相談・獣医師回答・コメント
ゆりあ(質問主)
犬 11歳 オス ペキニーズ
体重:7.1kg
飼育歴:10年0ヶ月
居住地:福岡県田川市
飼育環境:室内
左頬のしこりで最初の細胞診で炎症との診断で1週間の抗生物質を投薬しましたが改善が見られず今日2回目の細胞診で肥満細胞腫でした。しこりを小さくする薬を1週間服用して手術をする予定です。かかりつけの先生の話しではまだハッキリとは言えませんが細胞診の画像を見た感じだと抗がん剤が良く効くタイプだと思うので手術後に抗がん剤のお薬も服用しましょうとの事でした。まだグレードなど詳しい事は全然わかりませんが細胞診の画像である程度の事はわかるものなのでしょうか?
しこりが頬なので手術であまり広く切除出来ないかと思ってましたが切除部分はそんなに広くしなくても大丈夫だと言われましたがそのような事もあるのでしょうか?
ご回答よろしくお願い致します。
2020-03-24 04:09:57
専門の獣医師からの回答
肥満細胞腫かどうかの診断は、ほとんどが細胞診で可能です。細胞診で採取された腫瘍細胞(肥満細胞)が、顆粒をたくさん含んでいる場合は悪性度が低く、大型であまり顆粒をもたない場合は悪性度が高いという一つの指標はありますが、細胞診だけで正確な悪性度を評価することは出来ません。肥満細胞腫の悪性度や予後の判定には、病理組織学的検査による組織学的グレード分類(腫瘍細胞の形態だけではなく、広がりや脈管浸潤なども評価する方法で、グレード1~3に分類され、数値が大きいほど悪性度が高く予後も悪いと判断します)が必要となるため、手術で腫瘍を摘出した後でないと、正確な判断はできません。
肥満細胞腫の治療は、完全切除できれば根治が期待できるため、外科手術が第一選択となります(既に転移が認められており、外科手術だけで根治が期待出来ない場合は、内科治療が第一選択となる場合もあります)。外科手術は完全切除を目指すため、できるだけ広範囲に切除(腫瘍の周囲2~3cmの正常組織をつけて切除)する方法が推奨されています。今回のように、広範囲の切除が難しい場合は、可能な範囲で切除するか内科治療で腫瘍を小さくしてから切除するという方法が選択される場合もあります。
広範囲の切除が出来なかった場合でも、切除後の病理組織学的検査の結果で、肥満細胞腫のグレードが1~2で、完全切除されており脈管浸潤もなかった場合は、術後の補助療法(抗癌剤や分子標的薬の投与など)は必要なく、根治が期待できます。不完全切除や脈管浸潤が認められた場合は、術後の補助療法が必要となります。
転移が認められない状態でも、抗癌剤や分子標的薬での治療を選択することも可能ですが、外科手術に比べると根治に至る可能性は低くなると思われます。
手術の方法や予後につきましては、主治医の先生とよくご相談し、納得してから手術を受けられることをお勧め致します。
2020-03-25 22:44:08
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