イヌ・ネコの健康医療相談

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ニャンギラス(質問主)


猫アイコン 猫 16歳 オス ロシアンブルー

体重:3.3kg

飼育歴:16年7ヶ月

居住地:東京都江東区

飼育環境:室内

2019年5月に治療開始
消化器系悪性リンパ腫
NC25プロトコール5回まで治療
2回目で完全寛解
注射のストレスと高齢の為、打ち切り
プレドニゾロンを3週間ほど服用

その後暫く落ち着いていましたが、2週間ほど前から嘔吐するようになり皮膚や爪に爛れが出てきました。
口内炎もあり口が痛いようで食欲もありません。
病院での血液検査結果は肝臓値ALT498、ALP220、総白血球数は65
エコーでは消化器に所々黒く映っているが、それほどひどくはない。
元々あった肝臓の腫瘍が大きくなっているが白く映っている。
リンパ腫の再発か肝臓が原因かの判断は難しい。
肝臓の腫瘍が悪性かどうかの判断は針検をしないとわからないとのこと。

治療の状況
1日目:ステロイド、ビタミン剤、抗生剤 → 少し落ち着く
2日目:ステロイド、ビタミン剤 → 皮膚の状態が悪化の為リンパ腫の皮膚転移を疑う
3日目:ステロイド、ロイナーゼ → 少し落ち着く
4日目:ステロイド

今後の治療についてどうするのがよいのか悩んでいます。
1.肝臓の針検で良性か悪性かがわかったら治療の選択肢はどんなものがあるか
2.リンパ腫の再発の場合、治療の選択肢はどのようなものがあるか。

高齢の為、きつい治療はあまり選択したくありません。
・ステロイド剤のみ
・副作用が少ないと言われているクロラムブシル
・ロイナーゼは何回位まで効果が期待できるのか

等々考えておりますが、何か良い治療法がありましたらご教示頂けますでしょうか。
また、皮膚の塗薬で良いものはありますでしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。



日時2019-10-08 21:09:35

専門の獣医師からの回答

消化器型リンパ腫には高悪性度リンパ腫と低悪性度リンパ腫があります。NC25プロトコールで治療されていたとのことですので、高悪性度リンパ腫という前提でお話しさせて頂きます。高悪性度消化器型リンパ腫の治療で、多剤併用化学療法(NC25プロトコールなど)を何らかの理由で中断し再燃した場合は、通常は寛解に至った最初のプロトコールをやり直します。今回は、注射のストレスと高齢のために打ち切られたとのことですので、再開が難しいようでしたら、ロムスチン投与が選択肢の一つとして考えられます。ロムスチンは3週間に1回経口投与する抗癌剤なので、ストレスの軽減になると思われます。消化器型リンパ腫に対してロムスチンを単剤で使用した場合、全無病期間の中央値は180日であったという報告があります。ロムスチンの主な副作用は、骨髄抑制と肝障害であるため、肝酵素値の上昇(ALT498,ALP220)がリンパ腫に起因するものである場合は、使用を検討しても良いかもしれませんが、リンパ腫以外の原因で上昇している場合は、現時点での使用は控えた方が良いと思われます。また、白血球数が65とのことですが、65/μlでしたら、抗癌剤は使用できません。プレドニゾロンとクロラムブシルの併用は、低悪性度消化器型リンパ腫が対象となりますので、高悪性度リンパ腫での効果はあまり期待できないと思われます。ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ)は、高悪性度消化器型リンパ腫に対して使用する場合、プレドニゾロンとロムスチンを併用するプロトコールがあります。このプロトコールは静脈内注射を必要とする薬剤を含まないため、ストレスの軽減には繋がると思いますが、長期の寛解はあまり期待できないと思われます。ロイナーゼ単独での効果につきましては、副作用の発現や効果の減弱がみられるまでは、使用できると思われますが、寛解に至らない可能性が高いと思われます。
肝臓腫瘍の針生検は、リンパ腫を除外するという意味はあると思います。ただ、肝臓腫瘍がNC25プロトコールでの完全寛解時に無くなっていなければ、リンパ腫の可能性は少ないと思われます。リンパ腫以外の肝臓腫瘍は、良性、悪性に関わらず、外科的な摘出が基本的な治療となりますので、今の状態での外科手術は難しいかもしれません。
皮膚の状態に関して皮膚型リンパ腫が疑われる場合は、スタンプ標本の作製や生検を実施して診断を確定する必要があります。また、院内の検査で、細菌感染、真菌感染、毛包虫感染などは鑑別可能だと思われますので、検査結果に応じて抗生物質、抗真菌剤、抗炎症剤などが含まれた軟膏を選択する形になると思われます。
現時点で積極的な治療を希望されないようでしたら、嘔吐止め(マロピタントなど)の注射、口内炎による痛みを和らげるための抗生物質やプレドニゾロンの投与などが緩和治療の選択肢になると思われますが、投薬そのものがストレスとなる可能性もありますので、担当の獣医師と何をしてあげるのが良いのか、よくご相談ください。

日時2019-10-18 20:26:52

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