相談・獣医師回答・コメント
31(質問主)
犬 15歳 メス チワワ
体重:2.6kg
飼育歴:14年10ヶ月
居住地:東京都世田谷区
飼育環境:室内
15歳になるチワワを飼っています。抗がん剤治療をするか迷っています。
1年ほど前に乳がんと診断を受け、手術で乳腺を切除しました。手術は成功し、食欲もあり毎日元気に暮らしています。
今年の梅雨頃から、レントゲンで肺などに薄い影が見受けられました。暫く経過を観察していましたが、影が明確になってきているため、転移の可能性が高いとの診断を受けました。
主治医の先生には、癌がもっと進行したら内臓を圧迫したり、肺に水が溜まってとても苦しい思いをしてしまう、と飲み薬の抗がん剤を用いて進行を止める(遅らせる)治療を勧めていただきました。
今、抗がん剤治療をさせるか迷っています。懸念点は主に3つあります。
1.元々薬と相性が悪いことが多く、今までも抗生物質や消炎剤を飲むと途端に食欲を無くしたり吐いてしまう
2.共働き故に留守番が多く、何かあった時にすぐに見てあげられないことが多い
3.元々あまり食欲旺盛ではない中、最近はよく食べ老犬ながら元気に暮らしている。抗がん剤によって数少ない楽しみを奪ってしまうのではないか。
抗がん剤を服用する場合は吐き気どめや、下痢止めを飲ませつつ、、になるようですが、今のような暮らしはできなくなるのかな、と感じています。
ただ進行による辛さも勿論味わわせたくなく、どうするべきか決めかねています。
今は元気ですが、肺水腫や心臓病、失明など様々な思いを頑張って乗り越えてきてくれた子です。
長生きしてくれたら嬉しいですが、寿命そのものより楽しい、幸せな時間が多いことを望んでいます。
ご意見頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。
2019-09-15 21:06:36
専門の獣医師からの回答
乳癌の肺転移という前提(高齢犬のため肺原発腫瘍の可能性もあるかもしれませんので)でお話をさせて頂きます。乳癌が肺転移を起こした場合、補助療法として抗癌剤や分子標的薬(抗癌剤が癌細胞に直接作用する薬であるのに対して、分子標的薬は癌細胞が増殖するのに必要な血管の新生などを抑制する薬です。抗癌剤に比べると副作用は少ないとされています。)を検討する場合があります。補助療法という位置づけになるのは、肺転移した乳癌に対する抗癌剤や分子標的薬の効果が様々で、まだ実証されているものではないためです。生存期間の延長は期待できる可能性はありますが、根治は難しいというのが現状だと思います。
獣医師が積極的な補助療法を行うかどうかを判断する際に、考慮しなければならないポイントとして、以下の3つが挙げられると思います。
1. 飼い主様が積極的な補助療法を希望されているかどうか
2. 在宅での充分な観察が可能で、副作用等の異常がみられた場合はすぐに来院できるかどうか
3. 重篤な合併症がないかどうか
癌と戦うには、飼い主様と獣医師の信頼と協力が不可欠だと思いますで、これらの問題がクリアできて、初めて癌と戦う体制が整ったことになると思われます。
今回のご相談で懸念材料とされている3点の内容と心疾患のある15歳の高齢犬であることを考慮させて頂いた場合、個人的には積極的な補助療法をお勧めする対象ではないように思われます。ただ、ご投稿頂いた文章の内容だけでは、現在の正確な病態を把握できませんので、主治医の先生に飼い主様が不安に思われている点等をしっかりとお伝えし、納得した上でご判断して頂けますようお願い致します。
2019-09-22 16:03:14
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