相談・獣医師回答・コメント
ララ(質問主)
猫 13歳 メス アビシニアン
体重:3kg
飼育歴:13年8ヶ月
居住地:大阪府大阪市北区
飼育環境:室内
子宮蓄膿症の手術後の腎不全発症について
13歳の猫を飼っています。発情期が長く続いたので、病院へ連れて行ったところ、子宮蓄膿症と診断され、2月に手術を受けました。
高齢のため、手術のリスクを心配していましたが、事前の検査では腎臓などに異常は見られず、心配ないとのことでしたので、安心しておりました。
手術は無事終わりましたが、腎臓の機能が低下し、腎不全を発症したと説明がありました。
事前の検査では異常はなかったが、高齢の猫では数値に現れない腎不全を発症している場合があり、手術が引き金となって、悪化したためだと言われました。
1,2日で数値が正常値に下がれば急性腎不全になるとのことでしたが、数日経過後も正常値までには下がらず、慢性腎不全と告げられました。
慢性腎不全は治らない病気だと知り、手術を受けたために、不治の病にさせてしまったと、自分を責めました。
当初の予定よりも長引いた6日間の入院の後、約1日おきに通院しました。
元気も食欲もなく、診察の度に体重が減っていきました。
何度目かの診察時にレントゲンを撮り、水腎症と診断されました。
原因は不明、治療法もないため、様子を見るしかないと言われました。
食事を療法食に変え、薬はラプロスを1日2回、与えました。
数値が高い時は皮下輸液をしてもらいました。
約2週間後にはやっと食欲も戻り、元気も取り戻し、クレアチニンとBUNの数値は正常値を少しオーバーする位の値になりました。
現在は療法食とラプロスのみで数値は横ばいを保っています。
いつまでこの状態を保ってくれるのか、あとどのくらい一緒にいられるのか、不安で仕方がありません。
子宮蓄膿症のこと、腎不全のこと、水腎症のこと、色々と調べているうちに、水腎症の原因として子宮卵巣摘出術の際の不慮の尿管結紮があるとの気になる解説を見つけました。(現在は水腎症の症状は見られないようです)
そこで色々と疑問が沸いてきました。
・手術前には症状のなかった子が手術後に腎不全を発症することは、よくあることなのでしょうか?
・手術前の検査で異常がなかったとはいえ、高齢の猫は腎機能が低下しているリスクを考え、手術の際、腎臓に負担が掛からないように処置できなかったのでしょうか?
・腎不全の原因が不慮の尿管結紮によるものである可能性は高いでしょうか?
・腎不全の原因が尿管結紮の場合、その原因を取り除くことは出来るのでしょうか?(手術によって結紮を解くことは出来るのでしょうか?)出来る場合、腎不全が治る可能性があるのでしょうか?
・万が一、不慮の尿管結紮があった場合、それは経験不足によるものなのでしょうか?
・現在の療法食とラプロスのみという治療は充分でしょうか?
たくさん質問してしまい申し訳ございません。
どうぞ宜しくお願いいたします。
2019-09-12 04:03:40
専門の獣医師からの回答
手術後の腎不全発症に対する質問ですね。
・手術前には症状のなかった子が手術後に腎不全を発症することは、よくあることなのでしょうか?
術前検査で異常がなくとも術後に腎不全を発症することはあります。麻酔による腎血流量の低下が原因として考えられますが、多くの子はもともと隠れた腎不全があることが多いです。一般的に腎不全はクレアチニン、BUNなどの血液検査で判断しますが、これらの数値は腎機能が7割から8割失われてからではないと上昇しません。血液検査には表れないが、かなり腎機能が失われていた場合などに術後腎不全が表に出てくることがあります。
・手術前の検査で異常がなかったとはいえ、高齢の猫は腎機能が低下しているリスクを考え、手術の際、腎臓に負担が掛からないように処置できなかったのでしょうか?
実際に手術をしたわけではないので術中の事はわかりません。一般的に静脈点滴、麻酔深度、血圧などに注意して手術は行います。
・腎不全の原因が不慮の尿管結紮によるものである可能性は高いでしょうか?
可能性としては低いと思われます。ネット、獣医学書籍などに卵巣子宮摘出の合併症として尿管結紮とは記載されていますが、尿管の解剖学的位置関係から考えると通常の手術で尿管を結紮してしまうことは非常に稀だとおもいます。私自身、どのような手術をしたら尿管を結紮してしまうのかわからないぐらいです。ただ、水腎症が見られたとのことなので炎症、尿管結石など尿管が閉塞する他の原因があったのかもしれません。今の腎臓に水腎症がなく、正常な腎構造、腎血流が認められるのであれば尿管結紮は除外されます。
尿管を結紮すると尿の排出する経路がなくなりますので、水腎症がどんどん進行し、腎臓の構造破壊が生じます。さらに進行し腎臓が完全に破壊されると腎臓自体が萎縮消失する場合もあります。
・腎不全の原因が尿管結紮の場合、その原因を取り除くことは出来るのでしょうか?(手術によって結紮を解くことは出来るのでしょうか?)出来る場合、腎不全が治る可能性があるのでしょうか?
2月に手術をしたのならば、今結紮した糸を取り除いても腎臓は元には戻りません。
・万が一、不慮の尿管結紮があった場合、それは経験不足によるものなのでしょうか?
上記にも記載しましたが、よほどのことがない限り尿管を結紮してしまうことはないと思います。
・現在の療法食とラプロスのみという治療は充分でしょうか?
腎臓の数値が正常値をすこし上回るぐらいであれば、今の治療で大丈夫だと思います。
定期的に血液検査をうけ、上昇する、嘔吐・食欲不振などの症状がでるようなら点滴などもひつようになります。
子宮蓄膿症は命に係わる病気です。手術をして治らない腎不全にしてしまったといわれていますが、手術をしなければ今頃は亡くなっていた可能性が非常に高いです。可能性をあげればきりがないですし、すべて憶測の域でしかありません。色々過去のことを考えるより、今猫ちゃんにできる事をしてあげてください。
2019-09-13 13:49:17
ネコのため、日頃から動物病院で受診することを習慣にしませんか?動物病院の写真を投稿して、プロジェクトに参加しよう!
みなさんの心配事に似ている過去の事例がないか、症状、病気、体の部位、薬、犬種・猫種など気になるキーワードで、相談・回答を検索してみましょう。