イヌ・ネコの健康医療相談

相談・獣医師回答・コメント

猫ママ(質問主)


猫アイコン 猫 19歳 オス 雑種

体重:4kg

飼育歴:18年6ヶ月

居住地:愛知県名古屋市西区

飼育環境:室内

2年ほど前に歯茎に悪性腫瘍が出来て、手術で除去しました。再発は無かったのですか、去年の11月月に突然体の麻痺で立てなくなり病院へ連れて行きました。
症状は足腰が全く立たず、立ち上がれない。体が右側に倒れた状態だと、首の向きが左へ傾く。
診察では明らかに、脳神経系の麻痺と見られて、悪性腫瘍が脳に転移した可能性が一番高いのでは?ということでした。
その時はステロイドを注射しました。
19歳という高齢で、病院が苦手な猫なので、負担になる検査や抗がん剤などは諦め、緩和処置としてステロイド投与を続けています。
徐々にステロイドの量を段階的に減らし、現在は1mgのプレドニゾロンを1日一度与えています。あと週に一度100mlの自宅点滴。肝臓の負担を考えて、ウルソ50mgを1日2回です。
現在の症状は、下半身がヨロヨロですが、転びながらも何とかトイレに行きます。いまでも左に体を倒して横になっていると、首の向きも左に曲がることはあります。それ以外は寝てばかりですが、ご飯はよく食べ、4kgの体重は維持されています。飲水量は200mlほど。たまに多い時で250ml以内。
不安に思うことは、いつまで1mgのステロイドを毎日与えるこてが出来るのか?もう少し量を減らすべきなのか?という点です。
お医者さんは1mgならよほど大丈夫で、逆に減らす事はリスクが高いと言われます。
頻繁に血液検査をした方が良いとはずですが、採血にすごいストレスを感じる子で、採血によるショック死が怖いくらいです。
年齢も年齢なので、このままステロイドを続け、細く長くストレスフリーな生活が一番なのか?と悩んでいます。
ステロイドの投与期間、量など、適正なのか、他に方法はあるのか等ご意見を、お聞かせ下さい。
何卒宜しくお願い致します。

日時2019-06-30 14:18:23

専門の獣医師からの回答

 19歳という高齢のため緩和治療を選択されたとのことですので、現行のステロイド投与についてコメントさせて頂きます。
 猫の場合、ステロイドの長期投与で最も注意しなければならない副作用は糖尿病だと思われます。血液検査で血糖値が上昇してきているようでしたら、糖尿病のリスクを回避するために、ステロイドの減量あるいは中止が必要となります。血液検査が難しいようでしたら、飲水量が糖尿病発現の目安になると思われますので、毎日の飲水量を測定してください。飲水量が1日200ml(体重×50mlまでを正常とみなしますので、体重4kgなら200mlまでは正常です)以下なら、現時点においては糖尿病の可能性は低いと思われます。ただ、昨年の11月に症状が発現し、その後ずっとステロイドを飲まれており、漸減した現時点の投与量が1mg/kgということですので、少し無理をしてでも血糖値を測定し、糖尿病のリスク評価をされた方が良いと思われます。検査の結果、血糖値に異常がなければ、現時点で減量する必要はないかもしれませんが、長期になればリスクは増加すると思われます。
麻痺の原因につきましては、悪性腫瘍の転移、脳の原発腫瘍、脳血管障害、炎症などが考えられますが、MRI検査を実施しないかぎり、診断の確定は難しいと思われます。ただ、腫瘍の場合は病態が進行する(時と共に悪化する)可能性が高いと思われますので、長期にわたり病態が安定しているようでしたら、脳血管障害の可能性も考えられ、その場合、ステロイドの長期投与は必要ないかもしれません。

日時2019-07-04 00:05:14

猫ママ(質問主)


ご返答頂きまして、ありがとうございます。
ステロイドの投与量ですが、1mg/kg =4mgではなく、4kgの体重に対し1mg/1日です。誤解がありましたら、申し訳ありません!
1mg/1日は、長期に渡るとやはりリスクは高いでしょうか?もしそうなら、0.5mgまで減らしてみようかとも考えています。
また、長期にわたり症状が悪化しないなら、悪性腫瘍の可能性が低くなるとの事ですが、どれほどの期間で長期と見込めば宜しいでしょうか?
お医者さんからは高齢の為、腫瘍であったとしても進行は遅いかもしれないと聞いています。
発病してから約半年経ちましたが、病状は一定していて、完治もなければ悪化も無い状態です。
このまま出来る限りの低容量でのステロイド投与を考えていますが、いかがでしょうか?
重ねてご意見を頂けますと、大変助かります。
何卒宜しくお願い致します。

日時2019-07-04 08:27:50

 ステロイドの投与量を誤解しており、申し訳ありません。1mg/4kgでしたら、0.25mg/kgになりますので、糖尿病発現のリスクは少ないと思われます。ただ、ステロイドに対する感受性には個体差がありますので、長期投与の場合はやはり血糖値のチェックは必要だと思います。また、減量についてですが、これ以上投与量を下げると効果事態が疑わしくなりますので、投与量を下げるよりは今の投与量のまま投与間隔を変更する方が良いと思います。具体的には、毎日投与→1日おきの投与→2日おきの投与→3日おきの投与というように間隔をあけて行きます。投与間隔を変更した場合は、1ヵ月ぐらいは同じ投与間隔で継続してください。3日おきの投与でも状態が安定しているようでしたら、休薬を検討されても良いかもしれません。もし、間隔をあけていくことによって、症状の悪化がみられた場合は、間隔を詰めるか、投与量の増量をご検討ください。
 歯肉(=歯茎)の悪性腫瘍とのことですが、手術で摘出した腫瘍の病理組織学的検査は実施されましたでしょうか?病理組織学的検査の結果、診断が確定しており、完全切除、脈管浸潤なし(腫瘍細胞が血管やリンパ管の中には認められない)ということでしたら、転移の可能性は低いと思われます(病理組織学的検査も絶対ではありませんので、転移の可能性が0ではありません)。一方、完全切除であっても脈管浸潤有り(腫瘍細胞が血管やリンパ管の中に認められる)ということでしたら、転移の可能性は高いと思われます。もし、病理組織学的検査を実施されていないようでしたら、腫瘍が悪性か良性かを診断すること自体難しいと思われます(細胞診を行うことによって、明らかに悪性であると診断できる場合もありますが、細胞診だけで脈管浸潤の有無についてはわかりません)。
長期に経過が安定しているという「長期」がどれくらいかという明確な定義は無いと思われますが、半年間投与を継続し、ステロイドを0.25mg/kgまで漸減できており、症状が安定しているようでしたら、悪性腫瘍転移の可能性はあまり高くない(今のステロイドの量で悪性腫瘍の増殖を半年抑えることは難しい)と思われるため、休薬を検討されても良いように思われます。
 適切な検査を実施し、診断が確定している場合、我々獣医師は治療の方向性について迷うことはありませんが、様々な理由により、推察で治療をしなければならない場合、診断的治療(治療の反応をみながら診断を探っていく)を行うことがあります。その場合は、治療への反応によって、治療方針を変更する必要が生じることもあり、獣医師と飼い主さんとの情報の共有が大切になります。疑問に思われていることは、実際の治療を担当する獣医師にきちんと伝えて、より良い関係を築かれることが大切だと思います。

日時2019-07-05 02:13:36

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