相談・獣医師回答・コメント
Yukatl(質問主)
犬 9歳 メス ミニチュアダックスフンド
体重:5kg
飼育歴:9年9ヶ月
居住地:神奈川県横須賀市
飼育環境:室内
9歳メスのミニチュアダックスです。
今年7月ごろから、下痢と嘔吐をすることがあり、最初は様子を見ておりました。
9月ごろから毎日のようにタール状の下痢と嘔吐をして、食欲もなくなりました。
病院にて、エコー検査の結果、腸に3つほど腫瘍があるとの診断。
しかし、手術をして検査してみなければ腫瘍の種類がわからないとのこと。当方、手術には慎重でしたので、とりあえず医師の勧めにより投薬タイプの抗がん剤を試してみることに。2日に一度投与。
2週間ほど続けたが効果なし。ぐったりする。エコー検査は腫瘍が大きくなっている。
その後、医師の勧めにより、ステロイド投与。
ステロイド投与により症状が安定。食欲があり、便も通常。
食欲増加はステロイドの副作用と言われる。
この頃より、家でのストレス緩和(新入り動物より本犬を優先する)に努める。
医師が注射器により腸の細胞採取を試みるも難しく、やはり手術を勧められる。しかしこの度再度行ったエコー検査の結果、腫瘍が1つに減る。その1つも小さくなっている。しかし、医師は手術してみなければわからないとのこと。
現在、手術の日程を決定して待っている状態。
手術に向けてステロイドをやめているが、症状が出ず、毛づやもよい。とても元気。
以上が現在の状況です。
ご質問したい点は2つです。
1、今までの治療の経緯を見ても、医師も治療法を模索しておりたまたまステロイドが効果的だったように思いますが、症状が軽くなっている今、簡単ではない開腹手術をすることは一連の治療として獣医師としてはよくある決定なのでしょうか。
(本犬9歳とシニア犬ですので、できるだけ手術は避けたいと獣医師には伝えてあります。)
2、セカンドオピニオンを求めたいと考えております。
以前の経験で、セカンドオピニオンを求めると元々担当して頂いていた医師もセカンドオピニオンを求めた医師も良くない反応をされてしまったのですが、どんな点に気をつけて病院を探せばいいでしょうか。また、担当医師にセカンドオピニオンを求めたい旨、求めた結果、伝えた方がいいのでしょうか。
長々と申し訳ありません。一度はダメかと思ったほど悪化しましたが元気になった今、あまり意味の大きくない手術をさせたくはありません。
よろしくお願い致します。
2018-10-26 13:38:40
専門の獣医師からの回答
まず,一般論でお話しすると,慢性的な嘔吐や下痢の臨床症状が認められる場合,
腸管の腫瘍以外にも慢性腸炎や慢性膵炎あるいは腸管以外の腫瘍などを鑑別する必要があります。
腫瘍性疾患ではリンパ腫が最も多い疾患ですが,通常は診断がついていない状態でいきなり抗癌剤を使用することはありません。
抗癌剤を使用し,ステロイドで状態が改善したとすると,おそらく主治医の先生はリンパ腫の仮診断の根拠をお持ちなのかもしれません。
本症例で慢性腸炎や腫瘍の鑑別診断が必要と思われ,詳しい血液検査やエコー検査に加えて,内視鏡検査や必要によりCT検査などが必要かと思います。
もし,リンパ腫疑いであればタイプ鑑別のための遺伝子検査(リンパ球クロナリティー検査)も行います。
質問1に関係しますが,開腹手術による生検(病理検査材料の採取)あるいは外科手術(腸管の部分切除)は,小腸腺癌や腸閉塞や潰瘍穿孔の危険がある腸リンパ腫の場合には必要な場合があります。
ただ,消化器型リンパ腫の多くは外科手術の適応ではなく内視鏡検査や経皮的針吸引(FNA)で診断可能な場合が多いです。
また,二次診療施設では生検が目的の場合には,全身麻酔は必要ですが開腹せずに腹腔鏡などを用いて腹腔内の臓器を採取する事も可能です。
今回の質問に対す回答ですが,質問1に関しては先に述べた通りです。
飼主さまからの情報のみですと主治医の先生がどこまでの病態を把握されており,どのような検査や治療方針がベターなのかは把握しかねますが,
最も疑われる慢性腸炎やリンパ腫であれば深刻な疾患ですので質問2に関連するセカンドオピニオンをお願いすればよいかと思います。
セカンドオピニオンを依頼するに当たっては,同レベルの病院を渡り歩いてもしかたがないので,
大学病院など専門的な検査や治療方針のノウハウのある施設や先生をご紹介頂くのがよいかと思います。
神奈川県在住とのことなので大学病院をはじめ二次診療専門病院が複数ありますので,主治医の先生にご相談下さい。
セカンドオピニオンの際には,これまでの検査結果や治療履歴が必須ですので,主治医にお願いて紹介という形をとらないと
二次診療機関は受け入れてくれません。
2018-11-12 18:45:03
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