相談・獣医師回答・コメント
くっきー(質問主)
犬 12歳 オス チワワ
体重:3.8kg
飼育歴:12年3ヶ月
居住地:島根県松江市
飼育環境:室内
こんにちは。12歳雄です。生まれたころからBUN高めでしたがクレアチンは基準値内のチワワです。お尻を上げるポーズをし膵炎が疑われた為犬膵特異的リパーゼ検査(SNAP)をしたところ高値判定出ました。しかしCRPは基準値内ということで膵炎ではないであろうという診断をうけました。下痢をしています。こういった場合疑われる病名は何でしょうか?今後の生活の指導がいただければ幸いです。
2018-08-02 14:03:17
専門の獣医師からの回答
12歳を過ぎると老犬の仲間入りですね。早速ですがリパーゼという膵臓の酵素が上昇しているということは,膵臓に何らかの問題が起こっているといえます。
その原因は,必ずしも膵臓が根本とは限らず,腸や肝臓からの胆管の異常など,膵臓に隣接した周囲の臓器の異常で膵臓がトラブルに巻き込まれる場合もあります。
CRPが正常範囲内とのことで膵炎は否定的とありますが,そもそもCRPは急性炎症のマーカーであるための,慢性炎症では1mg/dl以下の範囲でわずかな上昇を示すことの方が多いです。
BUNが高めであったり,下痢などの消化器症状もあるとのことなので,消化管内出血などを伴う慢性腸炎,慢性膵炎あるいは慢性胆管炎や胆嚢炎なども考慮する必要があります。
また血液検査で低コレステロール血症や低アルブミン血症が認められていれば腸リンパ管拡張症なども鑑別が必要となります。
さらに12歳ですので膵臓癌や小腸腺癌あるいはリンパ腫などの腫瘍性疾患の鑑別も必要となります。
確定診断を望まれる場合には精密検査が必要となり,目的の組織をとって顕微鏡で調べる病理組織検査が必要となります。
これらの検査は生検と呼ばれますが,腸生検は内視鏡検査で,膵生検は腹腔鏡や開腹下で,肝臓は経皮的あるいは開腹下にて行うことが多いです。
ただ,これらの検査には全身麻酔が必要であり,検査にリスクを伴い,また患者様にも結構な負担をかけることになりますので専門的な二次診療機関で行われることが多いかと思います。
少なくとも下痢などの臨床症状が改善しない場合や低アルブミン血症が持続する場合などは内視鏡検査による腸生検ぐらいはやっておいた方がよいかもしれません。
治療に関しては,精密検査を実施できる場合は診断結果に基づいて行われますが,現状では対症療法としてまずは下痢を止めてあげることが重要です。
また,膵臓は脂肪を分解吸収するための消化液である膵液を分泌する臓器なので,膵臓や腸管に負担をかけないために低脂肪食を与えるのがよいかと思います。
脂っこい食事やジャーキーなどのおやつは控えて下さい。
症状が改善し,病態が落ちついていればかかりつけで血液検査とエコー検査を定期的に行ってもらって様子をみられてもよいかもしれません。
2018-08-08 18:53:28
くっきー(質問主)
丁寧な回答ありがとうございます。いただいたコメントを参考に検査をしていきたいと思います。わかりやすくとても的確な回答で心強いです。今後もどうぞよろしくお願いいたします。
2018-08-16 17:02:10
記事への感想や、愛犬のかゆみで悩んでいることをお聞かせください。5月末までにご回答頂いた方の中から、抽選で10名様にAmazonギフト券500円分をプレゼントします。
みなさんの心配事に似ている過去の事例がないか、症状、病気、体の部位、薬、犬種・猫種など気になるキーワードで、相談・回答を検索してみましょう。