イヌ・ネコの健康医療相談

犬の好酸球性肺炎に対する治療方針と薬の副作用が心配です

飼い主からの相談に専門の獣医師が回答します

スカーレット(質問主)


犬アイコン 犬 2歳 メス シベリアン・ハスキー

体重:29kg

飼育歴:1年3ヶ月

居住地:千葉県流山市

飼育環境:室内

お世話になります。当方、現在アメリカ在住です。(居住地の選択には海外はありませんでしたので実家の住所にしてあります。)

現在15ヶ月になる♀のシベリアン・ハスキー (体重65パウンド。ステロイド剤服用前は55パウンド)について相談致します。

去年の8月の末頃から咳をし始め、獣医に連れて行ったのですが、 最初はアレルギーか軽い気管支炎と言われ (検査は何もせず。同時に逆くしゃみがあり。) 抗生物質を処方されましたが良くならず、 その後肺のレントゲンを撮った際に薄い陰があるということで、 別種類の抗生物質とステロイド剤と処方されました。

ステロイド剤は短期間(10日ほど)の服用で その間は咳も止まっていたのですが 服用を止めたその夜にまた咳をし始め、 鼻も詰まって呼吸が苦しそうでした。 また獣医に連れていき、今度はステロイドを2週間服用と言われ 言われたとおりにしましたが、やはり服用を止めると咳をぶり返すので 別の獣医に連れていき、今度は全身麻酔下で喉に管を通し、 肺の中のサンプルを取って検査してもらいました。



その結果”好酸球性肺炎” (Eosinophilic Pneumonia or Pulmonary Infiltrates with Eosinophils)と 診断され、1月末からプレドニゾロンを服用し、 最初は15mgを12時間おき、これを始めて 5日目に下血がみられましたので、服用量を1日毎10mgに減らし20日間服用、その後5mgを毎日20日間、そして5mgを1日置きに1ヶ月服用しました。


薬を服用中は咳もせず、先週再度獣医に診てもらい”プレドニゾロン”の服用をやめても良いと言われ、服用を中止しましたが2日後にはまた咳をし始めました。 獣医はもう一度プレドニゾロン5mgを毎日20日服用、その後1日置きに5mgを20日、その後様子を見てプレドニゾロンを2日間隔で服用するか、Cycosporineという薬に切り替えるか決めると言われました。この薬はとても高額なようです。



ちなみにこの受診の際にプレドニゾロン服用中にも関わらず狂犬病、DHPP 5way、レプトスピラ症、ケンネルコフのワクチンを投与されました。獣医に”プレドニゾロン服用中での問題ないか”と確認しましたが”問題ない”との回答でした。私的にはこのワクチンが咳をぶり返すトリガーになってしまったのではと心配しています。




好酸球性肺炎はアレルギーや真菌、薬等が引き金で起こる病気だと聞きましたが、多くは原因不明ということで、特にアレルギー検査などはしていないのですが、もしアレルギーが原因の場合、それを突き止めてアレルゲンを排除することでステロイド剤等の服用を止めることはできるのでしょうか? まだ若いのですが、長期服用となると副作用がとても心配です。 それともこのまま一生薬を飲み続けないといけない場合も あるのでしょうか?


また、この獣医の治療方針についてどう思われますか? 他の治療法(例えば体質改善)でのアプローチを 試したほうがいいと思われますか?


ちなみにステロイド剤の副作用で水を大量に飲む副作用と、 体重が増えましたが5mgを1日置きにしてから 水も普通量飲むようになり、食欲も投薬前に戻り 体重も戻りつつあります。 元気で毎日2時間トレイルでオフリーシュでの散歩をし、 薬を飲んでいる以外は至って健康です。


どうぞ宜しくお願いいたします。

日時2018-04-21 02:07:59

専門の獣医師からの回答

ご質問ありがとうございます。
さて、まずは的確なご質問の文面に感心いたします。
現状はよく理解できました。また、アメリカ開業獣医の診療状況もだいたい理解できました。

おそらく、細菌培養と気管支洗浄液分析の結果から、現状は好酸球増加性肺疾患との理解で良いと考えます。現在の一番の問題は、そもそも何に反応して好酸球増加が生じているのかということと、大型犬ほどステロイドの副作用が出やすいことにあると思われます。

前者の疑問に関しては、ワンちゃんの年齢が若いため、できれば原因を特定できればと考えます。IgE検査やリンパ球反応試験の結果は、これらを明らかにしてくれる可能性が少しはあると考えますが、正解を書物に見つけることができません。どちらの検査もやってみる価値はあると考えます。

次にステロイドの使用に関してですが、現状の5mg一日おきという量は、ワンちゃんの体重を考慮しても十分に少量と考えます。この量であれば、数年間継続しても、クッシング症候群などの副反応は最小限度と想像します。さらに減量が可能であれば、ほぼ長期投与の副作用の心配もなくなります。このため、この体重のわんちゃんに、さらにステロイドを減少させることができるかどうか怪しいシクロスポリン製剤は、高価すぎることのデメリットしか生まないと考えられます。通常、大型犬に免疫抑制を実施する際には、アザチオプリン製剤を用いるのが基本的と考えますが、今回のような好酸球増加性疾患に対してこれらの薬剤が効果的か否かは想像しかねます。

最後に、ワクチン接種は甚だ疑問が残ります。これは飼い主さんの心配とまったく同様の心配です。抗体価の測定ができれば、心配のタネのワクチン接種は合理的に避けることが可能と考えます。

以上、ご検討ください。

日時2018-04-27 13:08:57

スカーレット(質問主)



お忙しい中、回答をいただきありがとうございます。

やはり少しでもやってみる価値があるという事であれば、病気の原因を特定する為に教えていただいた”IgE検査やリンパ球反応試験”を試してみたいと獣医師に話してみようと思います。


また、現在のステロイドの服用量では副反応の心配が少なく済むであろうとのことで安心しました。

ワクチンの件は、もう過ぎてしまったことですがこれからはやはり完全な健康体でない場合は”今はワクチンをしない”とハッキリ伝えようと思います。この辺はアメリカはハッキリ言ってもそれ程角が立たないので助かるところです…。

長引く病気の原因がわからないでいるのは、私達飼い主だけでなく、言葉も話せず状況が理解できない犬にとっても大きなストレスだと思いますので、傷口にバンドエイドを貼るだけような治療だけではなく、根本を突き止めて治せるようできるだけの事はしたいと思います。

専門家の方の貴重な意見を聞くことができ、感謝しています。ありがとうございました。

日時2018-04-28 00:30:40

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