イヌ・ネコの健康医療相談

犬の僧帽弁閉鎖不全症の治療とお薬について教えてください

飼い主からの相談に専門の獣医師が回答します

春福空ママ(質問主)


犬アイコン 犬 15歳 オス ミニチュア・シュナウザ-

体重:5.3kg

飼育歴:13年11ヶ月

居住地:静岡県焼津市

飼育環境:室内

こんにちは14歳のミニチュアシュナウザー(♀)「春」(体重5.3キロ)の僧帽弁閉鎖不全症の治療とお薬についてご相談させて頂きました。

2016年8月12歳の後半に僧帽弁閉鎖不全症と診断され投薬が始まり、心雑音、6段階中1~2段階でエースワーカー0.5 を1日1回 から始めました。元気もあり普通に生活していました。

同年12月、3段階になり、投薬は同じで、サプリ(パンフェノン、ストレリチアHe等)も組み入れて、元気もあり、1年間は段階も変化なくきました。
途中胆汁が見つかりウルソ、とSam-eも処方されています。

2017年12月。4段階と診断。
年齢もあり耳も少し遠くなってはきましたが食欲は旺盛で咳もなく元気でしたが、薬硝酸イソソルビド除放錠20mgツルハラ、1日2回が増えました。

そして2018年3月、数日前、5段階と診断。
薬(dsピモハード1.25 2回)を増やすと言われました。
短い時間ですが散歩もして(冬場は寒さが厳しいので家の中で歩いています)、お昼寝は前より少しだけ長くなったかなという感じで、咳もなく息苦しさもないし食欲も旺盛で元気にしています。

状態は変わらなくてもやはりお薬は増すべきでしょうか?
増やした方が寿命がのびるでしょうか?
お薬ばかり増えるのも心配です。

また、この薬(dsピモハード1.25)強心剤となっていますが、心臓にとってどういう影響のあるお薬でしょうか?
ジゴキシンのように心臓を頑張らせてしまう類の薬とはちがいますか?

そういう類の薬は寿命を縮めると母の心臓病で学んでいましたのでそういうものは嫌だなと思っています。
より良い治療で、症状が出来るだけ出ないで少しでも寿命を延ばして、全うさせてあげたいと願っております。ご指導宜しくお願い致します。

日時2018-03-09 15:31:59

専門の獣医師からの回答

僧帽弁閉鎖不全症からの症状がないままに薬の数が増えることに対して心配していることがよくわかります。
まず、違和感を覚えるのは、心雑音が大きかったから、薬を増加するということです。
その他に、血圧、心電図検査、レントゲン検査、超音波検査、心筋マーカーなどの検査は行っていませんか。
心雑音が大きくなることと僧帽弁閉鎖不全症のグレードの悪化は、関係することはありますが、必ずしも一致するとは限りません。
投薬量や回数、薬剤の数は、症状とその他の検査を鑑みて、病態を考慮して決定します。
現在は、エースーワーカーというACE阻害薬と硝酸イソソルビドとdsピモハートの3種類のようですが(サプリメントはおまけですから)、やはりACE阻害薬以外のものは病態を考えて処方する薬剤です。

通われている病院は、もしかしてマニュアル(心雑音により投薬を決めている)のようなものに従いあまり考えないで処方されているのかもしれませんね。
心臓病に詳しい病院へ一度受診してみてはいかがですか。
dsピモハート(強心効果と血管拡張作用を有する)は、ジゴキシンとは異なり、犬において投薬により延命が確認されている薬剤ですが、高齢では特に、必要のない病態で与えるのはやはり抵抗がありますね。

日時2018-03-09 17:17:30

春福空ママ(質問主)


大変細かく判りやすくありがとうございます。
dsピモハートはまだ飲ませていません。
掛かり付けの獣医師もこの薬は延命効果があると言っていましたが、こちらの先生の仰られたように、必要な状態で必要なお薬なら飲ませたいと思います。
心臓に詳しい病院を受診することも大切ですね。

エコーは初期にやりました。少し逆流が確認され、エースワーカーなら良いだろうと判断し投薬始めました。
その一年後、昨年末、心雑音が4段階になったから硝酸イソソルビドを増やすと言われ、進行させないようとの言葉にそれは受け入れたのですが、
本来はその時点で検査もして病態も見て薬の追加等を決定するということなのですか?

今回は5段階でしたが、迷いがありdsピモハートは与えていません。来月エコーとは言われました。

先生が仰られた「ACE阻害薬以外のものは病態を考えて処方する薬剤」とのことですが、他の受診をしてはっきりする間、今の状態でこの硝酸イソソルビドを服用していても良いのでしょうか?

日時2018-03-09 18:52:30

専門の獣医師からの回答

イソソルビドは、心臓の前負荷軽減または冠動脈の拡張を目的とする薬剤です。おそらく前者を目的とした投薬だと思いますが(処方した獣医師に聞くしかありませんが・・・)、獣医師によりこの薬剤を選択しない人は多いとおもいます(私は後者では使用しますが、前者に対して滅多に使用しません)。人間では薬剤耐性の問題で長期投薬は避けられていますが、犬でのあるデータでは耐性はないと報告されています。そのような薬剤なので、少なくとも心臓に対する前負荷が認められる場合に与えるものと認識しています。いずれにしても、心臓にどのようなことが起こっているか、心臓に関連する臓器(肺、腎臓、肝臓など)にどのような影響を与えているかを評価してから、薬剤の追加を行った方が理にかなっていると思います。ご参考になれば幸いです。

日時2018-03-10 09:57:07

春福空ママ(質問主)


細かくご指導くださり本当に感謝しています。
ご質問させてください。
・硝酸イソソルビド、今お休みしても良いでしょうか?

・僧帽弁閉鎖不全症は早期のうちに投薬を始めることで発症を未然に防ぎ切れる可能性もあると学びましたが。初期にエースワーカーを始めたのは良かったといえますか?

・症状が出ていない場合でも、検査して状況を評価した結果によって薬を追加する場合もあるということでしょうか?
・その方が発症を押さえることになりますか?

先生のご説明でdsピモハートは悪いお薬ではないことが解りその懸念は拭えました。ありがとうございます。
・dsピモハートは普通どのような病態の場合や段階で投与するものですか?
 また、表立った症状が無くても投与する場合がありますか?

症状を出さずに最後まで過ごさせたいと願う親ばかです。宜しくお願い致します。
今、心臓病にくわしい病院を捜しています。

日時2018-03-12 00:11:27

専門の獣医師からの回答

>硝酸イソソルビド、今お休みしても良いでしょうか?
・・・私が診察していないので、残念ですが、中止して良いかどうかの判断はできません。

>・僧帽弁閉鎖不全症は早期のうちに投薬を始めることで発症を未然に防ぎ切れる可能性もあると学びましたが。初期にエースワーカーを始めたのは良かったといえますか?
・・・僧帽弁閉鎖不全症の早期にACE阻害薬を投与することにより、生存期間を延長できたという論文はあったと記憶しています。ただし、関連する症状を防ぎきれるというものではないです。初期からのAEC阻害薬が良かったかどうかは、わからないのが実情で、よかったと思いたいですね。いずれにしても、内科的治療には限界がありますし、その子その子で病気の進行も違います。

>症状が出ていない場合でも、検査して状況を評価した結果によって薬を追加する場合もあるということでしょうか? その方が発症を押さえることになりますか?
・・・明らかな心臓の形態や動きなどが悪化している場合は、飼い主さまへの十分な説明、納得の上で投薬の追加をすることはあります。それにより病状の悪化速度を遅らせれば良いと思っていることですが、よかれと思ってしたことが裏目にでることもありますので、その点を踏まえて十分に説明します。効果の程が曖昧なサプリメントはそんな説明も少なくでよいからか、気軽に増やす施設はあります。

>先生のご説明でdsピモハートは悪いお薬ではないことが解りその懸念は拭えました。ありがとうございます。dsピモハートは普通どのような病態の場合や段階で投与するものですか?また、表立った症状が無くても投与する場合がありますか?
・・・dsピモハート、成分名ピモベンダンは、犬への適応の際も当初は心臓の収縮力が低下する拡張型心筋症で劇的な効果を認めた薬剤です。その後も僧帽弁閉鎖不全症で強心効果を期待して投与されたところ、それ以外の効果も認められ、さらに長期投与で生存期間の延長が報告されるようになりました。しかし、あくまでピモベンダンは、肺水腫を併発するような症状を有する病態からの使用が一般的であり、無症状からの投薬で生存期間が延長したという報告はあるのかもしれませんが、個人的には、懐疑的です。あくまで病態を考慮しての投薬開始です。どんな薬の諸刃の剣的な面はありますので、十分な検査(判断)の後での処方となります。


日時2018-03-12 08:54:25

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