イヌ・ネコの健康医療相談

相談・獣医師回答・コメント

なお(質問主)


猫アイコン 猫 10歳 オス 雑種

体重:4kg

飼育歴:0年5ヶ月

居住地:千葉県松戸市

飼育環境:室内

【持病】
3月頃の血液検査では、猫エイズ・白血病が陽性だと言われています。
他の項目は、ギリギリセーフといった結果でした。
他に、鼻炎もありますが、現在は落ち着いています。
(去勢手術はしていません)

【相談内容】
一月程続いている下痢について、考えられる原因及びしてあげられること。

7月中旬からひと月程下痢の症状が続いています。
便はとろとろした状態です。
以前は1日1〜2度だった便の頻度は2〜4度ほどに回数も増えました。
期間中に三日程、朝から何度も嘔吐をする日がありました。
吐出物は、未消化のフードであったり、胃液?(白濁していたり透明だったり)です。
以前も下痢をしたことがあったのですが、その時は猫回虫が原因でした。
今回は、検便・細菌検査・皮下注射をしていただき、検便で回虫は発見されなかったとのこと。
細菌検査では、エイズ等もあるせいか、どの薬も効き目はイマイチだといわれましたが、その中でもやや効果のありそうなお薬を処方していただきましたが効き目はなかったように思います。
思い当たる節としては、下痢を起こす前夜に、仕事で帰宅が遅れたのですが、いつもつけているエアコンが稼働していなかったことがあります。
これといった原因もわからないようでセカンドオピニオンも考えているのですが、下痢たまに嘔吐が続いているわりに、食欲もあり元気もある為、無駄な負担になってしまうのではと迷っています。

【写真】
1、2吐出物、3便

日時2017-08-18 19:50:07

専門の獣医師からの回答

猫後天性免疫不全ウイルス(いわゆる猫エイズウイルス、FIV)と猫白血病ウイルス(FeLV)が共に陽性の猫は、1年生存率が1割程度といわれており、ちょっとしたことで体調を崩してしまいます。
そうでなくても高齢の猫はストレスに弱く、ましてFIVとFeLVが両陽性となると、下痢や嘔吐の持続は、栄養状態の悪化はもとより、脱水症からの腎不全などさらに深刻な病態に進行する危険が高くなります。
現在、元気食欲はあるとのことですが体重減少が進行していると要注意です。

現在認められている慢性の難治性下痢について考えられる原因としては、上記ウイルス感染症を考慮すると、リンパ腫やその他の消化器の悪性腫瘍(胃癌や小腸腺癌)も疑っておく必要があります。
その他にも免疫がらみの腸炎や細菌や寄生虫の感染症も注意が必要です。

腫瘍性疾患は超音波検査と細胞診で診断できる場合がありますが、内視鏡検査やCT検査などより詳細な検査が必要となることもあります。
寄生虫に関しては何度も糞便検査を繰り返し、また原虫などに関しては近年では特別な検査で確認することができるようになっています。

FIV、FeLV陽性であれば、寄生虫は完全に駆除しておかないと病態悪化の原因となります。
治療に関しては、難治性の下痢や嘔吐の原因にもよりますが、お薬以上に食事管理が重要なことがあります。
不治の病であるFIVとFeLVが共に陽性であることから、治療に対する反応が悪いことは想像がつきますが、食事や下痢止めなどのお薬をいろいろとためしながらもうしばらく様子をみるか、改善の兆しがないのであれば、思い切ってセカンドオピニオンで精密検査を受けられるのがよいかと思います。
セカンドオピニオンをお願いする場合は、主治医の先生にお願いして、これまでの治療経過を紹介病院に詳しく提示して頂くことが大切です。

日時2017-08-21 14:21:14

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