イヌ・ネコの健康医療相談

犬の血尿で検査したら膀胱に腫瘍があり、手術を勧められました

飼い主からの相談に専門の獣医師が回答します

キャンディ(質問主)


犬アイコン 犬 9歳 メス ビーグル

体重:14kg

飼育歴:8年11ヶ月

居住地:神奈川県横浜市磯子区

飼育環境:屋外

1年半前に血尿が出て、病院で抗生物質を処方されました。その後、治ったかのように見えたが、最近また血尿がでて、エコーで検査したところ、腫瘍のようなものがあるとのことで、尿沈渣をおこないました。尿沈渣では、異形の細胞が見受けられるとのことで、造影検査とレントゲンを撮りました。レントゲン撮影は肺やその他臓器、造影検査は膀胱の撮影をおこないました。レントゲン撮影では、その他臓器は問題ないとの診断です。造影検査では、腫瘍の位置の確認を目的に撮影し、1.3センチ位の腫瘍が膀胱の先端にあり尿管との距離もあるので、切除する手術を勧められてます。造影検査時に幹部の組織が取れたので外部の検査機関に検査に出したところ、組織の量が足りなく、悪性腫瘍の疑いがあるとのはっきりしない検査結果でした。どちらにしろ、悪性腫瘍の疑いと切除可能な位置(尿管と距離がある)あるので、手術を行い、その後抗生物質(細胞の増殖を抑える効果のある)の投与を行うそうです。早めに手術した方がよいでしょうと言われてます。手術の後の体への負担や、その後考えられる経過などよくわからないのですが、どう判断したらよいか、アドバイスをいただけたらと思います。宜しくお願い致します。※膀胱に空気を入れ撮影した写真を送ります。

日時2016-08-28 20:54:36

専門の獣医師からの回答

膀胱の頭側に1.3cm大の腫瘤があり、細胞診で悪性腫瘍の可能性を否定できていない、とのこと。犬の膀胱には移行上皮癌という悪性度の高い腫瘍が発生することがあります。この腫瘍は腎臓から膀胱に尿を運ぶ左右の尿管の膀胱への入り口(膀胱三角)近くに出来やすく、またその場所は膀胱から尿道に尿が出てゆく出口にも近いために、腫瘍の完全切除が困難なことが珍しくありません。

ご愛犬の場合、腫瘤を含め周囲を広めに余裕を持って切除できそうとのこと、膀胱自体はおよそ70%まで切除しても特に問題ないとされています。
術後しばらくは頻尿と血尿がみられますが、これらの症状は時間とともに改善します。
 
悪性でない可能性も残されていますが、手術を受ける場合のメリットとして、切除した組織を改めて病理組織検査できる、ということがあります。
細胞診と違って詳細に検査できますので、これによって良性であることが解ればその後の心配事が解消されることとなります。また、悪性腫瘍であった場合には組織診断をもとにその後の治療方針について主治医と具体的に相談を進め易くなります。

術前の身体検査で麻酔や手術に対する問題がなければ、膀胱の手術は特別に体への負担が大きいというものではありません。
膀胱の悪性腫瘍が疑われる場合には、少しでも術後の再発を避けるために早めの手術が適切と思われます。
 
不安に感じておられることがあれば、必ず手術の前に主治医や病院スタッフに相談しておかれることをお勧め致します。 どうぞお大事になさって下さい。

日時2016-09-01 14:18:38

キャンディ(質問主)


獣医師様。
ご丁寧にありがとうございました。
回答いただき少し不安が解消されたのと、決断ができました。本当にありがとうございます。
一点不安なのが、大きな大病院ではなく、町医者で手術も普段他の動物を診察している部屋でやるので衛生的に不安です。

日時2016-09-01 17:34:37

大切な愛犬の手術ですから、飼い主様として色々とご心配されるのは当然のことと思います。膀胱頭側を切除する手術は、ことさらに難易度の高いものではありません。そのため、手術をさせて頂く側としては、極めて珍しく困難な手術に挑戦するのとは違った意味で、「ミスは許されない」という重い責任を感じるものです。命は一つしかありませんから、獣医師にとって簡単な麻酔、簡単な手術というものは無いのです。
 日ごろ犬の避妊手術の経験を積んでおられる獣医師であれば、技術的な心配はなさらなくて良いのではないでしょうか。手術室などの設備面に不安を感じておられるようですが、この点も日ごろ安全に犬の避妊手術をしておられる施設であれば大丈夫と思われます。
 とは言え、手術である以上予想外の事態は絶対に起こらない、と事前に確約できるものではありません。病院に対する不信感があるまま手術をうけられることは、病院にとっても飼い主様にとって望ましいことではありませんから、主治医の先生と不安に感じておられることについてよくご相談いただき、「ここまで考えてくれているのなら主治医の先生を信頼して愛犬の手術を任せよう。」というようになると良いですね。 

日時2016-09-05 17:56:24

キャンディ(質問主)


アドハイスありがとうございます。
参考にさせて頂きます。

日時2016-09-05 19:46:24

キャンディ(質問主)


獣医師さま
上記相談者ですすが、手術は膀胱を半分近く取り細胞診の結果、ガンでした。切り取った淵まで細胞が確認されたとのことですが、今後の治療として最善の方法を教えてください。
かかっている獣医さんは細胞を増殖させない薬(粉薬)をあたえると言ってます。その薬は腸などに負担をかける薬らしく、以前血尿が出た当初に通院した時に処方されたことがあり、血便が出てないかチエックしてました。

日時2016-09-06 19:30:51

切除縁に腫瘍細胞が見つかった、とのこと。
大変残念なことですが浸潤性に広がる膀胱の悪性腫瘍では往々にして見受けられることなのです。
膀胱に残っている腫瘍細胞にどう対応するか、についてはどうしても厳しい内容になってしまいますが。
1)再手術でさらに膀胱を切除するか、膀胱を全摘出する。
2)抗がん剤などによる化学療法を行う。
3)今後、膀胱内で腫瘍が大きくなって来た時に腎臓から膀胱に尿が流入する部位の尿管開口部が狭窄したり、膀胱からの尿の出口が狭窄して排尿出来なくなる可能性があります。
その際は手術(尿管移植術などの尿路変更術や膀胱全摘出術)や、ステントといって尿管や尿道に細い管を挿入して尿の流れを良くする方法があります。

再度膀胱を追加切除する方法は、すでに膀胱全体に腫瘍が広がっている場合は、再手術しても再発します。
膀胱全摘出は手術の難易度が高く、術後の尿失禁に対する管理などの問題がありますが、積極的な治療法として一部の施設では行われています。
積極的な外科手術を受ける場合は、可能な範囲でリンパ節などを含めた周囲組織への腫瘍の浸潤が無いことが確認できると良いでしょう。

次に、化学療法(薬剤による治療)ですが、ご相談の内容からおそらく抗炎症・鎮痛薬であるピロキシカムか、それと類似の薬剤をすでに開始しておられると思われます。
この薬剤は、いわゆる抗がん剤ではありませんがCOX2受容体を有する上皮系の腫瘍に有効ということで、犬における膀胱の移行上皮癌には通常使用されるものです。
この薬剤に追加で他の抗がん剤を併用するという方法もあります。ご愛犬の体調や薬剤の効果と副作用、および治療コストや通院可能な間隔など幾つか考慮すべき点がありますので、具体的な薬剤については主治医とご相談下さい。

日時2016-09-14 13:58:19

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