相談・獣医師回答・コメント
さくら(質問主)
犬 6歳 メス ミニチュアダックスフンド
体重:5.8kg
飼育歴:6年8ヶ月
居住地:北海道苫小牧市
飼育環境:室内
アレルギー性腸炎です。
A病院で昨年11月に炎症性腸疾患疑いで、血液検査、便検査、食物アレルギー検査、内視鏡を経て診断され治療を開始して1年が経ちました。便検査で菌が見つかり、アレルギー検査では多数の食材のアレルギーがわかり、内視鏡は問題ありませんでした。
アレルギー食材を除去したフードに変更。
最初の半年間、プレドニゾロン5mgとフラジール朝夕4分の1錠を服用。ステロイドをやめたくアトピカに変更。この頃は大変調子が良かったです。
今年、4月に統合医療をしているB病院に転院。
漢方、アトピカからアトモアへ変更、乳酸菌zootを服用。
5月に激しい嘔吐と下痢。
9月に膵炎。
10月に再び嘔吐と下痢。
B病院が休みが多く仕事の関係で通院ができずA病院に戻り通院中です。
現在、薬は朝夕にフラジール4分の1錠とサプリのフォーティフローラを服用。便の調子も大変良く、以前より量も減りました。今はとても元気です。
ここで質問なのですが、フラジールはずっと飲み続けてもいいのでしょうか?
うちの子に効いてる薬ということなのでしょうか??
長いこと続ける薬ではない…というイメージがありまして気になっています。
2021-11-12 13:31:15
専門の獣医師からの回答
フラジールの有効成分は,メトロニダゾールです。
本剤は,本来は一部の原虫に対する駆虫薬あるいは嫌気性菌に対する抗菌薬として使用される薬物です。
ご質問のフラジールの副作用ですが,メトロニダゾール中毒に注意が必要です。
メトロニダゾール中毒では,中枢性神経症状や長期投与による末梢神経障害が問題となることがあります。
犬の場合,60mg/kg/日と高用量を数日間以上投与することで発現する場合が多いのですが,これには個体差があり,30mg/kg/日で前庭・小脳の機能障害が発現した報告もあるようです。
長期投与の場合は,7.5mg/kgを1日2回投与しますが,この量での副作用は稀かと思います。
腸炎に関しては,リンパ球形質細胞性腸炎と思われますが,食事アレルギーを除き,食事療法のみでの治療では反応が悪く,プレドニゾロンが第1選択薬となり,必要最低量で維持することで副作用を軽減できます。プレドニゾロンの副作用が許容できない場合には,シクロスポリンを2~5mg/kg,1日2回を併用しますが,シクロスポリン単独では効果が乏しい場合が多いです。
メトロニダゾールは,IBDの治療において免疫調節機能が期待されていましたが,現在ではメトロニダゾールの免疫調節機能に関しては否定的な見解が多くなっています。
少なくともフラジール単独での治療は,病態的に考えると有効性は低いと思います。
プレドニゾロンの代用薬として,最近では人のクローン病の治療薬が有用性であったとする報告もあります。
いずれにしても低アレルギー食に反応が乏しいIBDは生涯治療が必要となることが多いので,治療方針や使用する薬物に関しては,主治医の先生とよくご相談して頂くと共に,定期的な検査が大切です。
2021-11-20 08:37:33
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