イヌ・ネコの健康医療相談

相談・獣医師回答・コメント

しのぴ(質問主)


猫アイコン 猫 17歳 オス 雑種

体重:4.5kg

飼育歴:12年10ヶ月

居住地:埼玉県吉川市

飼育環境:室内

今年の7月に生検とレントゲンの結果、右側鼻骨部分の骨肉腫と診断されました。
現在は分子標的療法薬(パラディア)を2日おき、痛み止め用のステロイド剤(シロップ)を毎日服用しております。
最近は右鼻の膨らみが大きくなり、時折呼吸がしずらいように見えます。
対処法として、ホットタオルで患部を拭いたり赤ちゃん用の鼻水を吸う器具を使用して鼻水を吸引しています。
また、右目部分も腫れてきて瞼も開かなく目ヤニが出るようになりました。
せめて呼吸だけでも楽にしてあげたいのですが、何か手立てはありますでしょうか。また、顔面部の骨肉腫について根本的な治療法があれば教えてください。

日時2020-11-04 11:54:19

専門の獣医師からの回答

 猫の骨肉腫は、その発生(原発)部位により四肢(前肢、後肢)、体軸骨格(脊椎、肋骨、骨盤、上顎、下顎など)、骨外(ワクチン関連肉腫など)に分類されており、それぞれの平均生存期間は四肢が11.8ヵ月、体軸骨格が6ヵ月、骨外が12.6ヵ月という報告があります。転移率は5~15%で、犬ほど高くありません。
今回は鼻骨の骨肉腫とのことですので、体軸骨格の骨肉腫に該当するかと思われますが、鼻骨の骨肉腫自体が非常にまれであるため、不明な点が多いと思われます。
 猫では、四肢の骨肉腫は転移率が低いとされており、原発腫瘍の拡大切除のみで良好な予後が期待できるため、抗癌剤投与の意義は低いと考えられています。そのため、猫の骨肉腫に対する抗癌剤治療はまだ確立されておらず、原発巣を切除せずに抗癌剤を投与した際の効果も、現時点では不明だと思われます。分子標的薬に関しても、犬の転移性骨肉腫で臨床的有効性を示したという報告はありますが、猫では実証されていないと思います。
 犬では骨の融解を抑制するビスホスホネートという薬剤が疼痛緩和に有効であることが確認されています。この薬剤は、骨肉腫以外の腫瘍の骨転移による疼痛にも有効です。猫の場合は、椎骨の骨肉腫で疼痛緩和や骨吸収の抑制に効果が期待できるとの報告がありますが、副作用として腎機能が低下する可能性があるため、慎重な投与が必要です。
 呼吸を楽にする方法と致しましては、骨肉腫の根治は難しいと思われますので、適切な抗生物質を用いた感染対策や酸素吸入(酸素BOXのレンタルがあります)などが考えられますが、劇的な効果は期待できないと思われます。
 担当の先生もパラディアを使うなど、可能性を探りながら治療を行っておられると思います。不安に思われたことはよく相談されて、こまめに意思疎通をはかることが大切だと思います。

日時2020-11-07 17:26:44

しのぴ(質問主)


回答ありがとうございます。
鼻骨の骨肉腫は症例も少なく情報が無いので苦慮しております。
痛みを表に出してはおりませんが、腫瘍の影響か呼吸がしずらいのを何とかしてあげたいです。今後もいろいろ試してみたいと思います。

日時2020-11-17 10:25:56

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