イヌ・ネコの健康医療相談

相談・獣医師回答・コメント

らいむ(質問主)


猫アイコン 猫 16歳 オス 雑種

体重:5.0kg

飼育歴:16年2ヶ月

居住地:東京都杉並区

飼育環境:室内

初めてご相談させていただきます。
17歳の老猫なのですが、6月からご飯をほとんど食べなくなり、
そこから週1で点滴に通っていました。
体重が2ヵ月ほどで1キロ減りました。(6月前は6キロ、8月は5キロ)
回復しないため8月に血液検査、エコー検査を行ったところ下記のように告げられました。
≪獣医さんの説明≫
*おなかに腫瘍があります(種別は言われていません)
*胃でも、腸管でも、腎臓や膵臓などでもない場所のようです
*血液検査での腎臓の数値はそこまで悪くありません
*腫瘍について猫の8割は悪性腫瘍です
*CTをとって確定診断をするには全身麻酔と開腹して細胞採取が必要で、全身麻酔をすると腎臓にも負担がかかります
*確定診断をしないと抗がん剤などの治療はできない
*確定しなくてもサプリメント処方ならできるが期待はしない方がいい
*どうするか一度ご家族で話あってください
≪血液検査結果≫
*WBC:7240
*RBC:819
*Hb:11.7
*Ht:36
*黄疸指数:2
*血糖値:106
*BUN:25.8
*Cre:2.23
*AST:22
*ALT:25
*ALP:51
*TP:7.2
*Na:154.7
*K:4.12
*Cl:122.4

普段の様子は、
食欲以外は普通で、お散歩にも1日3回ほどでますし(人間を付き添って家の周りをお散歩)、排尿・排便なども異常ありません。
ただ、少し毛が抜ける量が多いようにも思います。

ご相談内容としては、下記を伺いたいです。
①確定診断まではした方がいいのか
②確定診断したとき(麻酔と開腹)の猫の負担(どのくらいで日常の生活に戻れる?熱は出る?どのくらいしんどいのか?)
③確定診断しなかったときにできる治療(抗がん剤はできなくてもインターフェロンやステロイドなど何かできることはあるのか)
④治療しなかった場合、どう状態が変化していくのか
⑤悪性腫瘍だったとして、抗がん剤治療はしなくても、腫瘍をとる手術だけはした方が猫的にいいのかどうか
⑥先生であれば確定診断や腫瘍摘出を勧めるかどうか
 (先生の経験上、した方がいい、しない方がいいなどありますか?)

獣医さんにご家族で話あってくださいと言われたのですが、情報量と飼い主の知識が少なすぎて、高齢猫にとって、
*開腹してまで確定診断に進み積極的治療を模索するべきなのか
*または確定診断「まで」はした方がいいのか
*このまま確定診断せずに老齢ということであきらめる方がよいのか
どれがベストな選択なのか判断ができません。。

私の気持ちとしては確定診断までしたいようには思うのですが、
猫の悪性腫瘍の完治はなく延命とネットで読みましたので、
麻酔して開腹して悪性だとわかり、結局積極的治療をしないのであれば
それは猫にとって無駄になり、逆にQOLを下げることになるのではないか。
今お散歩にも出れていて幸せそうなのにそれさえも奪うことになるのではないか。と迷いがあります。今の状態がそこまで悪くないからそう思うのだと思います。

一方で、この先状態が悪化して、弱る姿を見るとやっぱり外科的手術なり、薬の投与なりやってあげればよかったと思うような気がしています。

私の意向としては、飼い主のエゴでボロボロの状態になってまで延命したり、入院させたりして、家で過ごせる時間を奪いたくはありません。
多少猫生が短くなったとしても、最後まで猫が猫らしく生活できることが猫にとって幸せなのではと思っています。

それを叶える選択をしたいのですが、
どこまでの診断をして情報を得れば、上記を叶える治療を選択できるのか私自身がわかっていません。
猫のためにベストな選択をしたく①~⑥のご相談をさせて頂きました。

長文となり申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

日時2020-08-28 23:43:51

専門の獣医師からの回答

腹腔内腫瘍というだけの情報や悪性腫瘍の可能性が高いという確率論だけで、治療の方向性を決めることはお勧め致しません。特に、腫瘍の場合は診断が確定しないと、的確な治療は難しいと思われます。17歳という高齢のため、できるだけ負担のかからない検査、例えば、腹腔内腫瘍が触知可能な状態(指で摘まむことができる状態)でしたら、エコーガイド下における無麻酔での針吸引生検が可能だと思われます。針吸引生検だけでは、診断を確定できないかもしれません(リンパ腫や肥満細胞腫は針吸引生検で診断を確定できますが、それ以外の腫瘍で診断を確定するには、病理組織学的検査が必要です)が、腫瘍が悪性か良性かの鑑別はある程度出来ると思われます。もし、無麻酔では鎮静が保てず、麻酔が必要と判断された場合でも、今回の血液検査の結果でしたら、心臓に問題がないことを確認し、麻酔前に十分な水和を行えば、麻酔リスクは決して高くないと思われます。針吸引生検で、リンパ腫と診断された場合は、外科ではなく化学療法(抗癌剤治療)の適応となります。確定診断に至らなかった場合でも、良性腫瘍の可能性が高い場合は、積極的な外科手術で根治が期待できるかもしれません。悪性腫瘍の可能性が高い場合は、他臓器やリンパ節への転移の有無を確認するための画像診断(レントゲン検査、超音波検査、CT検査など)を実施し、その結果で外科手術の適応かどうかを判断することになります。外科手術を行うことが出来れば、病理組織学的検査を実施して、診断を確定することができるため、不完全切除であった場合でも有効な補助療法(抗癌剤や分子標的薬による治療など)を選択することができます。既に広範な転移が認められた場合(転移があるということは悪性腫瘍と判断します)は、緩和治療を選択する場合もあります。
今ある情報だけで、治療の方向性を決めることは難しいと思われますので、可能であれば針吸引生検を実施し、その結果で次のステップを検討する形の方が、個人的には良いように思われます。主治医の先生とよくご相談ください。

日時2020-09-01 00:47:23

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