イヌ・ネコの健康医療相談

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Mii(質問主)


犬アイコン 犬 11歳 メス フレンチブルドック

体重:10kg

飼育歴:10年10ヶ月

居住地:埼玉県朝霞市

飼育環境:室内

8歳の時に皮膚型リンパ腫と診断され、現在11歳です。診断後、ステロイド治療を継続し、薬を服用していれば皮膚症状もほぼなく、ずっと元気に過ごしてきたのですが、1ヶ月ほど前から、顔、耳、お腹、手足などの皮膚に数ミリ〜1センチ程度のブツブツが多数でき、急激に症状が悪化してしまいました。特に耳の中は皮膚が薄いせいか、時に出血しています。
主治医から抗がん剤を勧められていますが(多分ロムスチン)、効果がない可能性や副作用が辛くて単なる延命措置になってしまう可能性があるようなら、抗がん剤は使用せず対処療法中心で家族の見守りのなかで過ごさせてあげたいと思っています(通院や検査の頻度が上がること自体もストレスを与えることになってしまうので)。一方で、皮膚症状も急に酷くなり、食欲はあるもののだるそうにしている時間も増えてきているので、抗がん剤治療に踏み出すべきか迷っています。また治療費用が高額になるのであれば、経済的に治療を継続していけるのか、という不安もあります。
皮膚型リンパ腫の抗がん剤治療の効果、予後、副作用、治療費用(投薬や検査費用など含む)の目安などを教えてください。

日時2020-06-07 07:17:25

専門の獣医師からの回答

 リンパ腫は、低分化型(高悪性度)と高分化型(低悪性度)、B細胞型とT細胞型に分類され、発生部位により、多中心型、消化器型、縦隔型、皮膚型などに分類されます。皮膚型リンパ腫は、さらに上皮向性(T細胞が主体)と非上皮向性(B細胞が主体)に大別され、上皮向性はさらに3つ(1.菌状息肉腫型、2.パジェット病様細網症型、3.セザリー症候群型)に分類されます。皮膚型リンパ腫で最も多いものは、T細胞性上皮向性リンパ腫で、診断後の生存期間中央値は6ヵ月、治療法(ロムスチンあるいはプレドニゾロン)による大きな変化はなかったという報告があります。また、上皮向性リンパ腫は、非上皮向性リンパ腫よりも生存期間が短いという報告もあります。
8歳の時に皮膚型リンパ腫と診断され、11歳までプレドニゾロンで維持されていたとのお話ですが、現在の病態に対して病理組織学的検査(皮膚生検)やクローナリティー検査を実施した上で皮膚型リンパ腫と診断されているのでしょうか?写真からは皮膚型リンパ腫も疑われますが、外観だけで他の腫瘍や非腫瘍性疾患との鑑別はできませんし、病態の挙動が大きく変化していますので、もし、3年前の診断を基に皮膚型リンパ腫と診断されているようでしたら、改めて診断を確定する必要があるかもしれません。
現病の確定診断結果がT細胞性上皮向性リンパ腫であった場合、治療(積極的な治療を行う場合は、導入治療としてロムスチン、プレドニゾロン、L-アスパラギナーゼを使用し、反応が乏しい場合は多剤併用療法を実施する)に対する反応は乏しく(一過性の効果はみられるかもしれませんが、長期寛解は難しい)、予後は不良とされています。ロムスチンの副作用は、嘔吐、下痢、骨髄抑制、肝障害など、L-アスパラギナーゼの副作用は、発熱、嘔吐、過敏反応などです。治療費に関しましては、病院により異なりますので、かかりつけの獣医師に直接お尋ねください。
どのような腫瘍性疾患であっても、全身状態が悪化し始めてからの治療は、効果が減弱する可能性が高くなりますので、疑問な点は担当の獣医師に直接に質問し、できるだけ早く方向性を決めることも大切だと思われます。

日時2020-06-09 10:16:18

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