イヌ・ネコの健康医療相談

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かげ(質問主)


犬アイコン 犬 12歳 オス マルチーズ

体重:4.7kg

飼育歴:11年9ヶ月

居住地:千葉県習志野市

飼育環境:室内

脾臓の結節と血腫について質問させてください。
1週間ほど前に臍ヘルニアと鼠径ヘルニアと診断され、その際に血液検査をしました。
1週間経ち、血液検査の結果とヘルニアの手術の相談で再来院したところ、ALPの数値が高いのでエコー検査をすることになり胆泥症と脾臓に白い部分と黒い部分が見つかりました。
担当医の説明では、白い部分は結節で、黒い部分は血腫ということでした。今のところ小さいものなので経過観察もできるが、万が一悪性の場合や良性でも大きくなってしまった場合に備えてヘルニア手術とともに全摘出してしまった方が良いのではないかということでした。担当医は脾臓は全摘出しても全く問題ないとの事でしたが、免疫系に支障をきたすという意見もあるし、簡単に全摘出の判断をしても良いのか悩んでいます。
なお、食欲、体調は普段通りで脾臓の肥大など外側からの変化を認められるものはありません。

日時2020-06-07 04:22:41

専門の獣医師からの回答

脾臓には、赤血球の処理、赤血球および血小板の貯蔵、造血、免疫を担う機能がありますが、これらの機能は他の臓器で代償できるものが多いため、全摘出可能な臓器と考えられています。ただ、代償できる臓器に問題がある場合(例えば骨髄の低形成など)は、望ましくないとされていますので、全摘出には慎重な判断が必要です。
今回のように超音波検査で脾臓に小さな腫瘤(結節や血種を含む)が見つかった場合、診断を確定できれば良いのですが、形態だけで腫瘍性病変(血管肉腫、リンパ腫、組織球性肉腫など)か非腫瘍性病変(血種や結節性過形成など)かを区別することは難しいと思われます。細胞診を実施することにより、診断が確定できる場合(リンパ腫など)もありますが、出血の危険性を伴う場合、細胞診は禁忌とされているため、診断の確定には摘出した脾臓の病理組織学的検査が必要となります。
超音波検査で脾臓に小さな腫瘤が偶然見つかり、転移病巣(別の臓器に腫瘍があった場合、脾臓の腫瘤が転移である可能性があります)が除外された場合は、通常は腫瘤の大きさをモニターします。定期的に腫瘤の大きさを測定し、大きくなる傾向が認められれば、手術による早期の摘出も検討します。大きくなる傾向がなければ、モニターを継続します。腫瘤が見つかった時点で、診断が未確定のまま将来を予測することは出来ませんので、腫瘤の形態的変化を時間的な経過とともに客観的に評価していく形になります。手術は脾臓の全摘出が一般的です(脾臓は全摘出が可能な臓器であり、部分摘出は難易度が高いため、通常は全摘出が行われます)。脾臓の腫瘤が破裂して腹腔内出血をおこす可能性がある場合は、緊急性がありますが、何cmになれば手術を行った方が良いというような基準はないと思われます。
今回は臍ヘルニアと鼠経ヘルニアの手術が予定されているとのことですが、その際に脾臓の全摘出を必ず行わなければならない状態ではないと思われます。ただ、結節や血種が今後どのような挙動をとるかは、現時点で判断できない(将来は予測できない)ため、予防的な処置としての提案だと思います。臍ヘルニアと鼠経ヘルニアの手術の緊急性についてはわかりませんが、もし、時間的な余裕があるようでしたら、脾臓腫瘤の大きさをモニターした後に、ヘルニアの手術を実施するという選択ができるかもしれません。担当の獣医師と良くご相談ください。

日時2020-06-09 10:23:09

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