イヌ・ネコの健康医療相談

相談・獣医師回答・コメント

ニコカズ(質問主)


犬アイコン 犬 15歳 オス プードル(トイプードル)

体重:4.1kg

飼育歴:15年4ヶ月

居住地:沖縄県宜野湾市

飼育環境:室内

2018年12月末に肺水腫を発症し、僧房弁閉鎖不全症と診断されました。その時から強心剤ピモベンダン1.25mgを1日1錠を2回、利尿剤ラシックス20を1日1/2錠を2回の投薬治療を始めました。
その後約1年経った2019年11月頃に少し咳込むようになり、ピモベンダン、ラシックスともに1日3回に変更。
ある程度落ち着いていましたが今年3月29日、咳込むうえに就寝時の呼吸が激しくなったので病院で診察してもらい、レントゲン検査を実施。
ラシックスが効きにくくなっているそうで、先生からは「ラシックスより利尿効果が強く長く効くルプラックに変更します。腎臓への負担はありますが肺水腫で息ができず苦しい思いをさせないように心臓の治療を優先して肺水腫にならないような治療をしましょう。」と説明を受けました。また肺高血圧症の説明はなかったのですが、シルデナフィルを追加することになりました。
その時の処方はピモベンダン1.25mgを1日6錠(2錠ずつ約8時間毎に3回に分けて)、ルプラック4mgを1日1/2錠を1回、シルデナフィル粉末を1日1包(1錠を粉末にして14日分に分封。何mgの錠剤かは未確認。)となりました。
その後4月20日に咳、呼吸ともに激しくなった為、病院に連れていくと「肺水腫です。今回は薬の量を増やしますが、もう増やすことはできません。呼吸が苦しくなった場合は酸素室に入れて安静にしてください」との説明を受け利尿剤を皮下注射してもらい、後日酸素発生器をネット購入。
それから現在では、投薬はピモベンダン1.25mgを1日6錠(2錠ずつ約8時間毎に3回に分けて)、ルプラック4mgを1日1錠を1回、シルデナフィルを1日1包(2錠を粉末にして14日分に分封。)となっていて、状態は咳、呼吸とも落ち着き体調のいい日もあるのですが、ほぼ昼夜を問わず寝ていたかと思えば、急に起き上がり咳込み、何か吐き出そうとしていたり、深くて早い呼吸をしています。体重は1年前と比べると0.1~0.2kgの減少程度で、食欲はあり水を頻繁に飲みます。オシッコはけっこう薄い黄色で、ウンチは少し柔らかい感じです。

いくつか相談したい事があります。
シルデナフィルは肺血管を拡張し血圧を下げる、とネットで見かけたのですが、ピモベンダンも同じように血管を拡張し血圧を下げる作用もあると認識していました。ルプラックも血管壁のナトリウムが減ることにより血圧が下がるとネットで見ました。薬同士の飲み合わせとして弊害はないのでしょうか?血圧を下げ過ぎる事にはならないのでしょうか?先生は問題ないとおっしゃっていました。
あと現在の薬の量、種類はこれ以上増やせないと先生から言われたのですが、この量は適正なのでしょうか?逆に過剰ということはないでしょうか?
また、ルプラックを1/2錠から1錠に増やされたのですが、利尿剤は服用して薬が効いている間だけ肺や血液の余分な水分を取り除けるのであるのなら、1回の量を増やすより投薬する回数を増やした方が効果があるかと素人の私は考えてしまいます。
最後に、利尿剤でオシッコの回数が増えており、室内にいて自然にオシッコをする頻度は平均して2~3時間に1度なのですが、1時間毎に外に連れ出すとほぼオシッコをします。膀胱がいっぱいになり自然に尿意をもよおしてからオシッコするよりも1時間毎にオシッコをこまめにさせればそれだけ肺に水分が溜まった状態を減らすことになるのでしょうか?

長文で申し訳ありませんが、助言いただけると助かります。どうぞよろしくお願いいたします。

日時2020-05-08 02:05:50

専門の獣医師からの回答

 シルデナフィルは肺高血圧症に使用するお薬です。肺動脈を主に拡張させます。ピモベンダンも肺動脈を拡張させ、また抹消動脈の血管も拡張させる作用がありますが、シルデナフィルほどではありません。そしてピモベンダンは強心作用も有しています。動脈を拡張させながら強心効果を示しますので、僧帽弁閉鎖不全症の一般的な治療薬の1つです。フロセミドもルプラックも利尿剤ですので、血圧を下げる作用もあります。肺水腫の第一選択薬でもあります。
 3剤を併用すること自体は特に問題はありませんが、それぞれ(シルデナフィルは不明)の薬剤はかなりの量になっています。腎臓に負担がかかっていないか心配です。電解質(Na,K,Cl)のチェックも必要です。ただ、これだけの量を飲ませているにもかかわらず肺水腫が出るということであれば、減量は難しいのかもしれません。ルプラックは、1日2回のほうが作用時間が長いのでいいと思います。
 今使っている薬剤は、1回の量を増やすと効果が高まりますが、作用時間が過ぎればその効果がなくなりますので、適切な投与間隔で投与します。ピモベンダンもフロセミドなども目的とする効果が見られないのであれば、1回用量を増やし、また1日の投与回数も増やします。ただ、繰り返しますが、今でもかなりの量を飲んでいますので、これ以上の増量は無理と思います。本当に肺高血圧があるのか、また他に使える薬はないのか、など精査が必要です。腎臓のチェックは頻繁にした方がいいと思います。また、血圧に関しては、直接血圧を測らないと何ともコメントできません。うっ血が進んでいると薬を飲んでも血圧が下がっていないこともあります。
 一般的な投与回数は、ピモベンダンは1日2回(重度は3回)、ルプラックは1日2回、シルデナフィルは1日2-3回の投与です。このままの量を増やすのではなく、1日量で計算していきます。絶対に勝手に増やしたりしないでください。非常に危険です。担当の先生によく相談して投与量とその間隔を決めてください。そしてこれ以外に有効な薬剤はないのかということも。
 排尿に関しては、尿量が問題ですので、膀胱にたまっている時間で効果は変わりません。2-3時間おきでも1時間おきでも排尿の頻度は関係がありません。

日時2020-05-08 19:38:07

ニコカズ(質問主)


お忙しい中、時間を作ってアドバイスをしていただき本当にありがとうございました。
正直、個人的には6年ほど前から通院させている現在の病院に対して少し不信感があり、セカンドオピニオンができるのならそうしたいのですが、私の相方は、重症化している状態で他の動物病院に連れていくのは新しい病院側にも犬にとっても負担になるんじゃないか、という考えです。
なのでこのように相談を受け付けてくれて、専門の獣医師さんの話が聞ける場があることは大変ありがたいですし、参考になりました。
こういう場を作ってくれたsippo編集部の方々にも感謝いたします。

回答読ませていただきました。
他に有効な薬がありませんか、と担当の先生にお聞きしたいのですが、先生もいろいろ考えての処方かと思われ、先生の気分を害さないか、不安な面があり、なかなか踏み切れません。
また薬の量からみて腎臓への負担が大きい、との事。
担当の先生が、肺水腫で苦しむよりも腎臓は後回し(別の言い方でしたが、そういう風にこちらは受け取りました)という治療方針なのですが、近いうちに病院で血液検査や電解質の検査で腎臓の状態を調べていただこうと考えています。
検査の結果BUNやCre等の数値や状態によって様々だとは思いますが、一般的に僧房弁閉鎖不全症の状態で腎臓が悪くなった場合、腎臓に対してどのような治療が考えられるのでしょうか?

日時2020-05-10 23:29:49

 心不全の末期には必ず腎臓病が伴います。ですから、末期の治療は、心臓と腎臓とを見ながらになります。どちらも重要な臓器ですが、いわれるように心臓病を中心とした治療にならざるを得ません。ただし、腎臓病で命を失うこともありますので、あくまでも両者を見ながら治療しないといけません。
 腎臓病は、BUNやCreの上昇、低カリウム血症(急性腎障害になれば高カリウム血症:危ない)、リンの上昇などが一般的な指標です。この子の場合には、一概には言えませんが、一般的な治療法として、レニンアンジオテンシン阻害薬、吸着剤、リン吸着剤、食事療法(腎臓用や心臓病の処方食)、K製剤などを使用します。そして、食欲がないようであれば点滴を併用します。点滴を入れすぎると心臓に負担がかかりますし、少なすぎると腎臓に対する効果が限定的になります。
 また、腎臓があまりにも悪く、心臓病で命を失う可能性より、腎臓病でそうなる可能性が高くなるようであれば、利尿薬を減量するなども検討しなくてはなりません。今から暑くなり飲水量が増す季節です。飲水量の増加に比例して、循環血液量が増加しますので、腎臓にはいいですが、心臓には厳しい季節になります。暑い日は、クーラーをつけて体温の上昇に気を付けてください。体温があがりパンティングするようであれば心拍数が上昇し、心不全が悪化します。

日時2020-05-11 09:56:39

ニコカズ(質問主)


回答ありがとうございました。
これから暑くなる季節に向けて腎臓検査をし、その結果をふまえて対処していこうと思います。
いろいろお教えいただき心から感謝いたします。
申し訳ありませんが、最後にひとつ質問させてください。
利尿剤を服用すると、肺や血液の余分な水分を尿として排出しますが、利尿剤の作用時間が過ぎ利尿剤の効果がなくなったあとの普通(?)の尿には「肺や血液の余分な水分」は含まれていないのでしょうか?
利尿剤の作用があって初めて肺や血液の余分な水分は尿として排出されるのでしょうか?
腎臓病の数ある症状のひとつとして尿の回数が増える、とネットで見たのですが、もし尿の回数が増え、もしその尿で「肺や血液の余分な水分」も排出されるのであれば、利尿剤を減らしても肺水腫になる可能性が低くなるのかと思いまして。

日時2020-05-13 20:36:34

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