相談・獣医師回答・コメント
チップ(質問主)
犬 14歳 オス ミニチュアダックスフンド
体重:6.8kg
飼育歴:13年2ヶ月
居住地:香川県高松市
飼育環境:室内
肛門腺のアポクリン腺癌と1週間前に診断されました。
大きくなるのも非常に早くリンパと脾臓に転移しています。
手術した方がいいのでしょうか?
それとも抗がん剤で緩和ケアーする方が
今は食欲はあまり無いのですが大好きなオヤツは食べます
最近ウンチがあまり出ません
どうすれば良いのでしょうか?
2019-04-17 23:36:58
専門の獣医師からの回答
既にリンパ節と脾臓に転移している肛門嚢アポクリン腺癌を手術で根治させることは難しいと思われるため、手術の目的は、排便困難の緩和になると思われます。今、便が出にくくて苦しんでいるようでしたら、外科的治療が第一選択になると思われます。肛門嚢周辺の腫瘍塊により肛門が圧迫されたことで排便困難が生じている場合は、原因となっている腫瘍塊を摘出すれば、排便困難は緩和されると思います。また、肛門が圧迫されていないのに排便困難が生じている場合は、転移により腫脹した骨盤内あるいは腰下のリンパ節が直腸を圧迫していることに起因すると思われますので、リンパ節の摘出が必要となります。リンパ節の摘出は、肛門嚢周辺の腫瘍塊摘出に比べると、難易度の高い手術となります。外科的に摘出できなかった腫瘍細胞に対しては、術後の放射線療法が最も効果が期待できますが、施設が無いなど実施が難しい場合は、分子標的薬を使用することで、腫瘍細胞の増殖をある程度抑制できるかもしれません。手術を実施しない場合は、抗癌剤の有効性は乏しいと思われますので、緩和治療としては、放射線療法か分子標的薬での治療が良いように思われます。その場合、放射線療法は腫瘍塊や腫脹したリンパ節を縮小させる効果が期待できるため、排便困難の改善に繋がると思われますが、分子標的薬は進行を抑制する効果は期待できるものの、縮小させる効果はあまり期待できないため、排便困難の改善には繋がらない可能性もあります。もし、他の疾患があることで、外科的治療や分子標的薬の治療が難しい場合は、緩下剤などで便を柔らかくして出やすくする、消化の良い低脂肪食で便の量を減少させるなどの対症療法が選択肢になると思われます。また、高カルシウム血症による多飲多尿がみられている場合は、外科手術による腫瘍細胞の減容積かビスホスホネートという薬の使用が症状の緩和に繋がると思われます。
13歳2ヵ月という高齢犬のため、かかりつけの先生と治療の方向性について良くご相談ください。
2019-04-28 02:21:21
チップ(質問主)
お返事遅くなりなりまして申し訳ありません。
細やかなご丁寧なお返事ありがとうございました。
外科的な治療、薬、放射線による治療に重ねてCAT療法という治療がある事を知りました。
合わせてこの治療をしたら効果があるのか?
費用的にどれくらいかかるのか?と、頭を悩ませております。
できることはしてあげたく思っていますが、お恥ずかしい話ですが高額な治療はなかなか難しいので、心悩ませております。
この子が1日でも長く幸せに過ごせるようできるだけの事はしてあげたいと思っております。
今回は、誠にありがとうございました。
2019-04-30 19:36:08
ご連絡ありがとうございます。
肛門嚢アポクリン腺癌に対するCAT療法(がん免疫細胞療法)の効果は、まだ充分評価されていないため、選択肢に入れなくても良いと思われます。
高額な治療を行うことが、必ずしも良い治療とは限りません。できるだけ寄り添ってあげることで、ワンちゃんが喜んで、免疫力が上がれば、それもりっぱな治療だと思います。
日々大切にお過ごしください。
2019-05-02 00:06:16
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