相談・獣医師回答・コメント

体重減少を伴う，慢性嘔吐とのこと，心配ですね。
食事療法や薬物による対症療法で効果がなく，食欲低下も認められるとなると，深刻な異常が潜んでいる可能性が高いと思われます。
慢性嘔吐の鑑別診断は，簡単に診断のできる場合もあれば，免疫がらみの慢性腸炎やびまん性の消化管のリンパ腫など内視鏡検査による腸生検や遺伝子検査など特殊な検査を行わないと診断が付かないものまで様々です。
若い猫でもっとも疑いをもつ疾患の１つに，消化管内異物がありますが，慢性経過となると，毛球症や紐状異物などによる不完全閉塞をチェックする必要があります。
食道炎や食道拡張症のチェックも必要かと思います。これは嘔吐による二次的な合併症として起こる場合もあれば，右大動脈弓遺残のような先天性疾患が原因の場合もあります。
腫瘍性疾患は年齢的に可能性は低いと思いますが，猫白血病ウイルス（FeLV）の感染歴があれば、リンパ腫は要注意です。
いずれにしても１カ月以上の慢性嘔吐は明らかに異常であり，体重減少や食欲低化を伴うとなればより深刻な状態です。
すでに２件の病院で一般的な検査を受けられて原因が特定できないのであれば，より専門的な二次診療施設でのセカンドオピニオンがお勧めかもしれません。