イヌ・ネコの健康医療相談

相談・獣医師回答・コメント

さら(質問主)


猫アイコン 猫 16歳 メス 雑種

体重:3.5kg

飼育歴:16年4ヶ月

居住地:東京都江東区

飼育環境:室内

<相談したいこと>
1)入院したがビリルビン値が下がらず上がっている。このまま良くならない場合はどのような選択肢があるか?
2)医師の判断は正しかったか?
肝臓と胆嚢の異常と濃いおしっこは11/8から発見されたが鼻腔癌の診断が優先されて処置が遅れたのではないか。CTで絶食と全身麻酔してから一気に悪くなったように感じている。

<経緯>
これまでは既往症なし
10/5から隔日で鼻血数回あり。病院受診、血液検査とレントゲン、超音波検査するも原因わからず。11/8再度鼻血、血液検査で胆嚢、肝臓、脾臓に問題あり。鼻腔癌の疑いでCT予約。抗生物質投与。
​11/10、再度鼻血、血の混じった嘔吐、濃いおしっこ。11/11CT撮影し慢性鼻炎と診断。1日おきのネプライザーと毎日の抗生物質、1日二回の点鼻薬。ずっと食欲なし。​濃いおしっこ。11/14再度血の混じった嘔吐。黄疸あり。肝リピドーシスと言われる。即入院、胃瘻設置手術。11/15肝臓の値は下がってきたがビリルビンが上がっており、胆嚢(胆管?)が拡張?肥大?して通らなくなっている。超音波でみても原因わからず。このままだと予後が悪いとのこと。

日時2018-11-16 09:37:52

専門の獣医師からの回答

鼻炎と高ビリルビン血症(黄疸)とのことですが,1)の質問に対する高ビリルビン血症が改善しない場合の選択肢については原因により異なります。
2)の質問にも関する事ですが,まず鼻出血の原因がCT検査で慢性鼻炎とのことですが,画像診断のみによる診断であるのか,細胞診や病理検査を行っているかによって診断精度が異なるかと思います。
高齢の犬や猫が間欠的に鼻出血が認められる場合には,第1に鼻腔内腫瘍を疑う必要がありますので今回の検査の進め方には問題がないかと思います。
なお,腫瘍性疾患は典型的な画像所見や腫瘍細胞が生検で確認されれば診断は確定的ですが,そうでない場合,画像のみ,あるいは生検で腫瘍細胞が確認されなかったからといって完全に腫瘍を否定することはできません。
次に黄疸の関してですが,黄疸には原因によって溶血性黄疸(肝前性黄疸),肝性黄疸,肝後性黄疸(閉塞性黄疸)の3つに大別され,原因や治療が全く異なります。
今回は肝リピドーシスと診断されたとのことですが,検査の値や診断方法が明記されいないためその真義については分かりかねます。
猫では食欲不振が続くとしばしば肝リピドーシスを発症することがありますので,本症例で肝リピドーシスを発症することは十分にありえることかと思います。
食欲不振の原因として肝臓や胆嚢の問題も疑われるとのことですが,鼻炎や鼻腔内腫瘍など鼻腔の疾患は嗅覚に影響し,ネコでは食欲不振の重要な原因となります。
肝リピドーシスの診断はALPの顕著な上昇,肝性黄疸,肝エコー源性の上昇により推測しますが,肝臓の生検や細胞診で空胞を有する腫大した肝細胞が多数認められればほぼ確定的となります。
いずれいしても急性の肝リピドーシスは死亡率の高い疾患であり,治療は経鼻カテや胃瘻による強制給餌や高カロリー輸液が必要となりますが,適切な治療が行われてもすべてのネコが救命できるわけではありません。
なお,「胆嚢(胆管?)が拡張?肥大?」との記載がありますが,肝リピドーシスで胆嚢や胆管が拡張することは稀であり,肝外胆管閉塞も疑うべきかもしれません。
肝外胆管閉塞は肝臓や胆嚢からの胆汁を排泄するための総胆管が何らかの原因で完全あるいは不完全に閉塞した状態で,閉塞が重度であれば閉塞性黄疸を起こします。
この黄疸は肝リピドーシスのように肝臓内の細胆管の閉塞や肝不全による肝性黄疸とは原因が全くことなります。
閉塞性黄疸の原因となる総胆管の閉塞は総胆管内に胆石や粘液が閉塞して起こる場合と膵炎や腸炎などの炎症性疾患による総胆管周囲の炎症に起因して起こるのが一般的です。
胆石の閉塞があればCT検査で容易に確認できるのですが,膵炎や腸炎の場合には診断は簡単ではありません。
肝リピドーシスと閉塞性黄疸が併発している場合もあり,猫の黄疸の原因究明は飼主の方が考えるほど簡単ではありません。
いずれにしても,黄疸は極めて深刻な病態ですので,治療に反応しない場合には予後は厳しいかもしれません。
もし,ほんとうに胆嚢や胆管が拡張しており,今後さらにその所見が進行するようであれば,総胆管閉塞による閉塞性黄疸の可能性が濃厚となります。
胆石の閉塞でない場合には,膵炎や腸炎を伴う三臓器炎の鑑別およびカルチノイドやリンパ腫などの腫瘍性疾患も視野にいれた検査が必要になるかもしれません。
CT検査や胃瘻チューブ設置を行っている施設であれば,そのあたりのことも視野に入れて治療なされていると推測しますが,
飼い主の方が現在の検査や治療に関して不審や不満があるのであれば,セカンドオピニオンも含め納得のいくまで主治医の先生とご相談なさってみてはいかがでしょうか。

日時2018-11-22 00:45:14

さら(質問主)


詳しく説明していただきありがとうございました。
11/22夕方に自宅で息を引き取りました。
<経緯>
胆管がつまっているようでビリルビン値が16.9まで上昇したため11/19胆嚢回腸吻合手術を行いました。胆管が固くなっていたのでたぶん癌だろう、とのこと。術後13くらいまでビリルビンが下がりましたが、貧血がひどく(数値が15%)、11/20輸血し17%まで回復。しかし11/22、貧血が10%まで進み肝不全だろうと。医師より病院でできることはすべてやったが反応がないので、すべての投薬をやめ、自宅での看取りを提案されました。その日の夕方に自宅で看取りました。
どこまで医療を施すべきだったか、今でも迷いがあります。
丁寧なご回答ありがとうございました。

日時2018-11-26 13:36:53

さら(質問主)


 愛猫の死後、胆嚢回腸吻合手術の際に取った組織の検査結果がでました。胆嚢癌でした。悪性度が高く他臓器にも浸潤していたそうです。
 どのみち助からなかったのでしょう。もしも初めからわかっていれば、入院も手術もしないでずっと自宅で過ごさせてあげたかった。でも入院手術したから癌だとわかったわけです。
 本当に詳しく説明していただきありがとうございました。

日時2018-12-17 11:30:52

 
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