種まみれになって遊んだその夜……
種まみれになって遊んだその夜……

気温が下がる秋口から冬は注意が必要? 愛犬の血尿、原因はストルバイト尿石症

 我が家には、優しくて賢いイングリッシュ・コッカー・スパニエルの男の子「グレン」(5歳)と、だいたいパッションで生きているイングリッシュ・セターMIXの女の子「ピナ」(2歳)がいます。

 今回は、ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)尿石症になってしまったグレンの話です。

よく遊んで帰ったその日

 10月末にしては暑かった日、水を吸わせたクールタンクを着せつつ、林の中で愛犬たちと遊びました。

 そのまま夕食を外で済ませ、帰宅してしばらくすると、室内のトイレシートに血のにじんだ尿が……。ピナのヒートかしら?と一瞬思ったものの、ヒートは少し前に終えているはず。

 その後トイレに行く愛犬の後を追うと、血尿の主はグレンでした。元気はあるものの、それから翌朝にかけて4~5回ほど、血の混じった尿をしていました。

 朝一に動物病院へ連れていき、レントゲン検査、エコー検査、尿検査をしてもらった結果「ストルバイト尿石症」との診断。尿検査ではストルバイト結晶が多数確認でき、レントゲン検査では確認できないものの、エコー検査では膀胱の中にごく小さな結石も2つほどありそうとのことでした。

療法食はどれにする?

 グレンのなったストルバイト尿石症は、尿石症の中でも治療をすれば溶けるタイプとのことで、投薬と食事療法で様子を見ていくことに。同時に、「しっかり水を飲ませてくださいね」との話もありました。

 受診日の翌々日までは動物病院からもらった「ロイヤルカナン」のドライフード療法食・ユリナリーs/oのサンプルでつなぎ、最短での入手が可能だったためその後も同じものを継続。フードは水分摂取量を増やすためふやかして与えていました。

血尿で受診した最初の時(左2枚)と再診時のエコー検査結果。ストルバイト尿石症が治った再診時の膀胱は黒くきれい

 グレンは療法食も喜んで食べてくれましたが、ロイヤルカナンのフードは飼い主の私にとってはニオイがきつめ。効果を見たいので8日後の再診までは続けることに決めたのですが、そこでは完治とならず……。もし次の受診以降も必要となれば別のものをと考えていました。

 そんな折、犬友達から「HAPPY DOG」のSTRUVITや「FORZA10」のウリナリーアクティウェットを勧めてもらいました。いずれもウェットフードのため、水分摂取にも最適。「ヒルズ」のウェット缶・尿ケア s/dは欠品していたこともあり、情報に感謝しました。

 結果的には、幸い2度目の再診で治っていたため手を出さないまま終えたのですが、いざ療法食となると日頃ノーマークのメーカーであることも多く、今後の備えとしての選択肢が広がったと感じています。

飲水量を増やすために

 フードのふやかし以外に水分摂取のためにしたことは、寒天ゼリーとヤギミルクの導入です。

 ただ、ユリナリーs/oはうちの愛犬の場合、ちょっとびっくりするくらい飲水量が増えました。再診時に獣医師に伝えると、「s/oはその傾向がある」とのこと。ヤギミルクなどに頼らなくても、十分に水分をとれている状態でした。

 ただ、今後も意識して水分をとらせることは続けていきたいと思っています。

 後から聞いたことですが、よく水を飲む夏とは違い、気温が下がる秋口から冬は、飲水量が減りストルバイト尿石症になりやすい季節なのだとか。

 遊んだ日は暑かったものの、その頃気温の変化が激しく、肌寒い日もありました。丸まって寝る犬たち。夏に比べると、飲水量が減っていた気がしなくもありません。

ストルバイト尿石症がわかったその週末。キャンプの時は地産のおいしい肉を一緒に食べるけど、この時はぐっと我慢(吉田美光撮影)

 今回のストルバイト尿石症の原因は、何か感染などを発端としたものなのか、それとも体質によるものなのか、判明していません。体質であれば今後もなる可能性は十分あります。

 現在は、ゴハンを療法食からそれまでのフードへと戻し終えている段階。以前は日によって肉や野菜などのトッピングをしていましたがそれらはもうしばらくやめておき、年明け尿検査をすることになっています。

 メーカー情報によると療法食を食べさせ続けても問題ないそうなのですが、「できたら通常のもので、それにいろいろ食べられるといいよね」という獣医師の言葉に賛同し、飲水量をしっかり確保しながら、これからもおいしい日々を送らせてあげられるといいなと思っています。

おまけの教訓、でもきっと大事

 先代の子が室内でまったく排泄をしなくなっていた経験から、今の2匹には意識して室内トイレを習慣づけていました。嵐が来ようが槍が降ろうがトイレのために外に出なければならないことに、当時若干のプレッシャーを感じていたためです。

 理由はそんなところにありましたが、今回、室内トイレの習慣がストルバイト尿石症の発見に役立っていました。

 もしかしたら日中遊んでいたときから血尿だったかもしれません。でも、土や草の茂みにした尿からは、そのことになかなか気づけなかったのではないかと思います。

 また反省点としては、これまで尿検査をしてこなかったこと。

 もし体質的なもので、以前から兆候があったとして、尿検査をしていればそのことがわかり、注意できていたかもしれないなと思いました。

 グレンも5歳、健康診断についても、今一度見直そうと思った出来事でもありました。

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川本央子
フリーランス編集ライター。2005年、スクーバダイビング誌とリゾート誌を発刊する株式会社水中造形センター入社。国内外数多くの海と海辺の町を訪れ記事を制作。2010年に退社し、同年6月、趣味の雑誌を手がける株式会社枻出版社入社。犬と写真に始まり、さまざまなジャンルの雑誌・ムック本の企画制作を行う。レトリーバー犬種専門誌『RETRIEVER』、写真雑誌『写ガール』副編集長を経て、2021年独立。現在は雑誌とウェブを中心に企画・編集・執筆に携わりながら、育犬と子育てに奔走する。愛犬は、穏やかで賢く、でもちょっぴり不器用なイングリッシュ・コッカー・スパニエルの男の子「グレン」と、パッションを貫くミックス犬女子の「ピナ」

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