捨て猫どうするの? 引き取る×引き取らない… 議論沸騰

 捨て猫を預からずに放して遺棄したとして、愛知県警は4月下旬、県動物保護管理センターの支所長らを動物愛護管理法違反の疑いで書類送検した。この事件をきっかけに、捨て猫を引き取らないのは是か非か、議論が起こっている。岐阜県ではどうなっているのか。

「自活の可能な猫を放すことは、遺棄とは考えない。職員に違法性はない」

 19日の記者会見で、愛知県の大村秀章知事はこう主張した。

 昨年の秋、愛知県大府市の病院が東海署に捨て猫1匹を持ち込んだ。同署会計課長が同センター知多支所に引き取りを頼んだが、拒否された。そのため、猫を近くの造成地に放した。

 これを知ったボランティア団体が、会計課長を刑事告発。会計課長と支所長が書類送検された。

「岐阜県では警察を通して依頼された場合、いったん引き取る」

 岐阜県生活衛生課の担当者は愛知県のケースとの違いを説明する。警察を経由した依頼の場合、保健所で飼い主が出てくるのを待ったり、新しい飼い主を探したりする。最長で1週間ほど待ってもだめな場合は、殺処分になりうる。

 ただし、一般の住民が保健所に持ち込んだ場合、対応は異なる。「まだ離乳を終えていない子猫かどうか」がポイントとなる。離乳をすでに終え1匹でもえさをとって生きていける猫は、原則として引き取らない。「屋外で飼われている猫が多く、人に飼われているかどうか区別がつきにくい」と担当者。

 首輪がなく野良猫だと思われていた猫が、実は飼い猫だったケースもあったという。札幌市では昨年、保護された飼い猫が野良猫と間違われて殺処分された。また、地域住民で育てている「地域猫」もいる。

「ただし町内の人たちを困らせているような猫は、住民の確認を取ったうえで引き取ることもありうる」

 2013年度に県内で殺処分された猫は1565匹。08年度は3174匹で、この5年間で半減している。飼い主の意識が少しずつ高まっていることなどが影響しているとみられる。昨年度、殺処分された猫の約8割は、自分でえさをとれない子猫だったという。

 県は4月下旬、保健所に収容された猫や犬を飼育し、新しい飼い主に譲り渡す譲渡専用施設「県動物愛護センター」を初めて美濃市に開設した。古田肇知事は4月の定例記者会見で「開設を機に、殺処分率を今の6割から、最終的にはゼロになるようにもっていければ」と話している。
(森直由)

(朝日新聞2014年5月23日掲載)

朝日新聞
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